自宅で簡単に出来る巻き爪の治し方(ヒロオカ・マッカーシー法)

外来でしばしば巻き爪の患者様の相談を受けます。足趾に体重がかかることが少なく歩く事が少ないお年寄りや寝たきりの方では、しばしば足の爪が巻貝の様に変形しており、爪を切ることも困難な場合があります(図1)。また、若い人で先の細い靴を履いて趾先を圧迫して歩く事が多い人や、爪を深く角を切りすぎた場合に、皮膚に食い込んでいる爪が炎症を起こす場合があり、これを陥入爪と言います。ひどくなると爪の脇から炎症性の組織が盛り上がってきます。これを炎症性肉芽(にくげ)といいます(図2)。この場合は抗生剤を長期に服用しても炎症は治らず、局所麻酔をして陥入した爪を2~3mm幅で根元から切り取ります。

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図1 図2

巻き爪の私の考える一般的予防方法は以下の通りです。

◆ No no walk (お能の様にすり足で歩かず、足趾を地面に踏み込むようにして歩く。)
◆ No cutting deeply (爪の角を深く切り込まない。)
◆No wearing a tapered shoes (足幅の広い人は格好良い足先の細い靴を諦める。)

 

 炎症を起こしかけているものの保存的に様子を見ることが出来ると判断された場合は、爪の長さに相当する2.5mm幅の粘着性伸縮テープを25cmほどに切り、陥入爪側の趾の皮膚の爪ギリギリの線に貼り、外側に引っ張りながら趾を一周ようにして足底から足背にかけて貼る。歩行する事によって足底のテープの重みで引っ張られて陥入爪に接する趾の皮膚が爪から離れるように作用して爪の食い込みを予防する事が期待できます(図3)。

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図3

 様々な巻き爪を改善させると謳った製品が市販されていますが、意外に高額であったり劣化したり、すぐ剥がれてしまったりして満足のいくものはありませんでした。

そこで長年巻き爪で悩んでいる患者さんと相談し、簡単に安価で装着できる巻き爪処置を施しましたところ、1か月後にはほとんど円形に近く変形していた爪がほぼ正常の形状に復しました。この方法を私と患者様の名前を取って「ヒロオカ・マッカーシー法」と名付けました。

 1)変形した爪の上に厚さ0.6mm,幅19mmの3Mスコッチ超強力両面テープを貼ります。貼りつける際に爪先から2mm程度離し、爪の両側の皮膚に決して触れないギリギリのところで爪に貼りつけます(図4)
2)目の細かいメッシュ状金属板エキスバンドをテープのサイズに切って少し湾曲をつけて粘着テープの上に貼り付けます(図5)。
3)接着したエキスバンドが剥がれないように粘着性伸縮テープを3cm×3cmに切り、角が上になり爪の上で菱形になるよう貼り付けます(図6)。
4)最後に接着したものを補強する目的で、大きめの粘着性収縮テープを趾を一周するように貼り付けます(図7)。
5)週に一度程度補強粘着性伸縮テープを交換し、1か月程度経つと巻き爪の変形が改善されていることを実感します。

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図4

図5 図6 図7

  ※テープかぶれなど皮膚の弱い方は注意が必要です。

  ※既に陥入爪となっており、炎症の強い方は適応になりません。

参考:ポール マッカーシーさん
   米国出身の宗教学者、日本文学者、翻訳家。 ミネソタ大学助教授、立教大学助教授、駿河台大学名誉教授。
   1975年ハーバード大学Ph.D.(日本文学)翻訳書に谷崎潤一郎「幼少時代」「猫と庄造と二人の女」他 司馬遼太郎の「坂の上の雲」

2017年11月 弘岡泰正

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