婦人科検診は女性の病気から女性を守る
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婦人科検診は「検診」であって「健診」でないところがポイントです。
健診は広く健康をチェックすることで一次予防を目指します。
一方、検診は特定の病気にフォーカスをあてて検査をする二次予防になります。
婦人科検診は、女性特有の病気にフォーカスをあてます。
そのため、健診で異常がみつからなかったからといって、「婦人科検診を受けなくてよい」理由にはなりません。
女性特有の病気から女性を守る婦人科検診について解説します。
何を調べ、何がわかるのか
婦人科検診の検査メニューはクリニックや病院などによって異なりますが、次のような内容になっていることが一般的です。
<婦人科検診の検査メニュー>
・子宮頸がん検査(子宮頚部細胞診)とHPV検査
・子宮体がん検査(子宮体部細胞診)
・経腟超音波検査
・マンモグラフィと乳視触診
それぞれ何を調べ、どのような病気がわかるのか確認していきます。
子宮頸がん検査とHPV検査でわかること
子宮頸がん検査は子宮頚部細胞診ともいい、子宮の入口付近の子宮頸部の細胞を調べます。大型の綿棒で子宮頚部をこすり細胞を採取して、顕微鏡で細胞の変化を調べます。
この検査で子宮頸がんの疑いがあるかどうかがわかります。
HPV検査は子宮頸がん検査と同時に行なわれることが多いでしょう。
HPVはヒトパピローマウイルスの略称で、これに長期間感染していると子宮頸がんの発症リスクが高くなります。HPVが子宮頚部の細胞に異変を起こし、がんにつながります。
子宮体がん検査でわかること
子宮体がん検査は子宮体部細胞診ともいい、子宮の奥の子宮体部の子宮内膜の細胞を調べます。こちらも大型の綿棒でこすって細胞を採取します。
子宮の奥に大型の綿棒を挿入することになるので、子宮頸がん検査よりは多少痛みがありますが、それほどつらいものではないでしょう。
子宮体がん検査では、医師によっては子宮内を子宮鏡で観察することもあります。
この検査で、子宮体がんの疑いがあるかどうかがわかります。
経腟超音波検査でわかること
経腟超音波検査は超音波で子宮内膜の厚みを調べる検査です。
子宮体がんを発症すると、子宮内膜の厚みが増すことからこの検査が必要になります。
超音波検査のよいところは、医師が目視できることです。もちろん超音波画像は、スマホのカメラの写真のようにそのものがしっかりみえるわけではありませんが、医師が「ライブで」確認できる意義は大きく、小さな異常を発見できることもあります。
そして経腟超音波検査は子宮や卵巣のなかの状態までわかるので、子宮頸がんや子宮体がんだけでなく、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣のう腫なども調べることができます。
経腟超音波検査では、超音波を発生させるプローブと呼ばれる細い棒を膣のなかに入れるので抵抗を感じる人もいますが、痛みはほとんどなく、違和感もそれほど大きくないとされ、検査も5分程度で終わります。
マンモグラフィと乳視触診でわかること
マンモグラフィは、乳房専用のX線撮影で乳がんの有無を調べます。
撮影台の上に乳房を乗せ、乳房の上から板で押しつけて乳房を薄くして撮影するので多少痛みがありますが、我慢できないほどではないとされています。
そしてマンモグラフィは、乳がんの初期症状である微細な石灰化も発見できることがあることから、受ける意義は大きいといえます。
乳視触診では、医師が乳房をみたり触れたりして、しこり、腫れ、乳首からの分泌液の有無などを調べます。マンモグラフィと一緒に行うことが多いのですが、乳視触診に抵抗を感じる人がいるので、マンモグラフィだけを行うクリニックもあります。
新宿区民は区のがん検診を利用しましょう
全国の市区町村は住民サービスの一環として、低料金でがん検診を行っています。
ここでは新宿区の婦人科検診について紹介します。
新宿区で行なっている婦人科系のがん検診は、子宮頸がん検査とマンモグラフィです。
新宿区の子宮頸がん検査の対象は20歳以上の偶数年齢の女性で、料金は900円です。
マンモグラフィは40歳以上の偶数年齢の女性で、料金は800円です。
要精密検査になったら
婦人科検診は二次予防のための検査なので、これでわかることは「その病気の疑いがあるかどうか」です。つまり婦人科検診で病気が確定するわけではありません。
婦人科検診の結果「その病気の疑いがある」と出たら、精密検査を受けることになります。
婦人科のクリニックや病院に行き、さらに詳しい検査を受け病気の有無を確定させます。
まとめ~これでしかわからないことがある
婦人科系の病気は、女性しか発症しないという特殊性があります。そのため男女兼用の検査では婦人科系の病気を発見することはできません。
しかし、発症の仕方は特殊であっても、病気それ自体は特殊ではありません。女性のがんの1位は乳がんで、子宮がん(子宮頸がん+子宮体がん)は5位です。しかも子宮頸がんは低年齢化が進んでいるとされています。
婦人科検診でしかわからないことがあるので、前向きに受診を検討することをおすすめします。