アレルギー性鼻炎の症状・治し方など分かりやすく解説

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アレルギー性鼻炎と診断された方で、鼻がつまって息が苦しく夜も眠れない、という経験をされた方は少なくないでしょう。アレルギー性鼻炎では、鼻づまりの他、ひどいくしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状がおこります。

この記事では、アレルギー性鼻炎の症状を和らげるための治療法や自分できる対処法などについて解説します。アレルギー性の鼻炎でお困りの方はぜひ最後までお読みください。

アレルギー性鼻炎とは

アレルギー性鼻炎とは

わたしたちの体には、細菌や微生物などの異物が入ってきたときに排除しようとする免疫作用があります。ところが近年、ライフスタイルの変化や環境の変化によって免疫が正常に働かなくなってきており、アレルギー性の疾患が増えている原因の一つになっています。

そしてアレルギー性鼻炎とは、鼻の粘膜が炎症を起こしている状態のことです。アレルギー性鼻炎を発症すると、連続してくしゃみが出たり、鼻水が大量に出たり、鼻の粘膜が腫れて鼻づまりがおきたりします。

アレルギー性鼻炎のタイプ

アレルギー性鼻炎のタイプ

アレルギー性鼻炎には2つのタイプがあります。一年を通して起こる「通年性」と一年のうち特定の季節にだけ起こる「季節性」です。

通年性アレルギー

通年性アレルギーとは、ハウスダストに対して発症するアレルギーで、一年中アレルギー反応が出ることもあります。ハウスダストとは、衣類から出るホコリや、ダニの死骸や糞、カビの胞子、ペットのフケや抜け毛など、空気中を漂う微細な物質のことです。

通年性アレルギーの特徴はサラサラの鼻水と鼻づまり、くしゃみです。一般的に目の症状は出にくいと言われていますが、アレルギー物質が付着した手で目を触ったりすると、アレルギー性の結膜炎を起こすこともあります。

季節性アレルギー

季節性のアレルギーとは、特定の季節に飛ぶ花粉や微粒子などに反応して発症するアレルギーで、花粉症とも呼ばれます。良く知られているものとしては、スギやヒノキの花粉が飛ぶ2月から5月、イネ科の花粉が飛ぶ6月から8月、ブタクサの花粉では8月から10月ごろに鼻炎の症状がひどくなる方がいます。

アレルギー性鼻炎の症状

アレルギー性鼻炎の症状

アレルギー性鼻炎の主な症状は鼻水、鼻づまり、くしゃみです。鼻水はサラサラしており、風邪の時の鼻水のような粘度はあまりありません。

くしゃみは連続して起こり、回数も多いのが特徴です。空咳や頭痛、発熱の症状がでることもあります。

鼻づまりは鼻の粘膜が腫れることで起きますが、呼吸がしづらく、そのため夜もぐっすり眠れなくなるつらい症状のひとつです。寝不足が原因でイライラしたり、勉強や仕事に集中できなくなったりすることもあります。

アレルギー性鼻炎と風邪との違い

アレルギー性鼻炎と風邪との違い

アレルギー性鼻炎も風邪による鼻炎も、鼻水、鼻づまり、くしゃみという同じ症状が出ますが、一般的に風邪は5日ほどで症状は改善に向かいます。一方、アレルギー性の鼻炎は症状が長引くのが特徴です。自然に治ることはまずありません。

さらに、アレルギー性鼻炎の原因はハウスダストや花粉ですが、風邪による鼻炎の原因はほとんどがウイルスです。また、アレルギー性鼻炎の鼻水はサラサラしていて色も透明ですが、風邪の鼻水は色が黄色っぽく粘度があります。

アレルギー性鼻炎の検査と診断

アレルギー性の鼻炎かどうかを診断するための検査方法はいくつかありますが、良くおこなわれるのはプリックテストで皮膚アレルギーテストとも呼ばれます。アレルゲンとなり得るものを肌に塗り、針の先でつついて肌に染み込ませ、15分後に肌の状態を見るというテストです。

アレルゲンに反応して肌が赤くなったり、ぷっくり腫れたりしたら、その物質に対してアレルギーがあると判断します。このテストでは17種類のアレルゲンについて調べることが可能です。

このテストは副作用もないため、赤ちゃんからお年寄りまですべての人に対しておこなうことが可能です。プリックテストで何に対してアレルギーを起こしているのかがわからない場合、血液検査で血液中のIgEが結合する特定の物質があるかどうかを調べます。

アレルギー性鼻炎の治療

アレルギー性鼻炎の治療

アレルギー性鼻炎の治療は主に「薬物療法」「アレルゲン免疫療法」「手術」の3つです。ほとんどの場合、問診などの聞き取りや症状から診断されて治療が行われますが、もう少し詳しい検査をすることもあります。

薬物療法

アレルギー性の鼻炎に対する薬剤には、鼻水を抑えるための抗ヒスタミン剤や抗アレルギー薬、鼻づまりを改善するためのロイコトリエン受容体拮抗薬、鼻の炎症を抑えるためのステロイド点鼻薬などがあります。

ただし、鼻づまり改善薬は長期間使用することで慢性的な鼻づまりを起こす原因にもなるため、注意が必要です。市販薬としても販売されていますが、可能であれば耳鼻科やクリニックで処方してもらいましょう。抗アレルギー薬は医師の処方が必要なため、ドラッグストアで購入することができません。

アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法は「減感作療法」とも呼ばれている治療法です。あえてアレルゲンとなるものを体内に入れて体を慣らす方法です。

スギ、ダニに対して、舌下錠を使用した舌下免疫療法が可能です。しかしながら、数年かけておこなう治療のため、気長に取り組むことが必要です。正しく治療が行われれば、アレルギーの軽減、抗アレルギー薬の減薬が期待できます。

手術

手術は「下鼻甲介粘膜焼灼術(かびこうかいねんまくしょうしゃくじゅつ)」といい、鼻の粘膜をレーザーで焼いて炎症を抑える治療です。鼻水、鼻づまりの症状を緩和することが期待できます。

しかしながら、アレルギーを根本から改善する治療法ではありません。そのため、1~2年は効果が持続しますが、再びアレルギー性の鼻炎が起こることもあります。

花粉症の対策はいつから始めるべき?

花粉症の対策はいつから始めるべき?

一般的にスギ花粉は2月頃から飛散を始め、それに先駆けて2週間ほど前から薬を服用し始めることで症状を抑えることが可能です。花粉症の治療はできるだけ早く始める方が良いと言われています。これを初期治療といいます。

花粉症のお薬は即効性のあるものもありますが、抗アレルギー剤は飲み始めてから効き目が表れるまでに1~2週間ほどかかるのが特徴です。花粉症と診断されたことがあり、毎年つらい時期を過ごしておられる方は早めに医療機関を受診しましょう。

アレルギー性鼻炎を悪化させる要因

アレルギー性鼻炎を悪化させる要因

アレルギー性鼻炎を悪化させる要因となるものはさまざまです。まず原因となるアレルゲンを取り除くのがもっとも大切ですが、それ以外にも注意すべきことがありますので、ご紹介しましょう。

環境化学物質

タバコの煙や排気ガス、PM2.5などは大量の有害な化学物質を含んでおり、それらを吸い込むことでアレルギー性の鼻炎を悪化させることがわかっています。特に近年、中国から飛来した黄砂がアレルギー性鼻炎を悪化させる原因として注目されています。

黄砂とは、中国の砂漠地帯から巻き上げられた砂の粒子が偏西風に乗って日本に飛来したものです。その黄砂には科学物質や菌が付着していることが多いのが特徴です。その黄砂が飛来する時期はスギやヒノキの花粉が飛散する2月~5月に重なるため、アレルギー性鼻炎を持っている方は特に注意が必要です。

住んでいる場所

都会では花粉に加えて車の排気ガスから排出される有害物質も多く、さらに地面を覆うコンクリートから花粉が舞いあがるため、アレルギー性鼻炎がひどくなると言われています。また、住環境の変化もアレルギー性鼻炎を悪化させる要因となっています。気密性の高い住宅環境では湿気が発生しやすく、カビが生えやすいため、カビの胞子を含むハウスダストがアレルギー性鼻炎を悪化させることがあります。

疲労・ストレス

疲労やストレスはアレルギー性鼻炎を悪化させると言われています。睡眠不足や過労は自律神経を狂わせ、体調を崩す原因になります。さらに、アレルギー性鼻炎による不眠が続くとストレスになり、さらに症状を悪化させるため悪循環が生じるのです。

そのため、規則正しい生活や質の良い睡眠を日ごろから心がけることは、アレルギー性鼻炎の発症を抑えることや、症状を軽くすることにもつながります。日常生活にも気を配るとともに、適度にストレスを発散させて、アレルギー性鼻炎を悪化させることがないようにしましょう。

食べ物

ある種の食べ物もアレルギー性の鼻炎を悪化させる要因となります。アレルギー性疾患は腸内環境と密接な関係があると言われています。

そのため、アレルギー性鼻炎の方は腸内環境を良いものに保つことも必要です。腸内の悪玉菌を増やす脂っこい食べ物や調理法は、アレルギー性鼻炎を悪化させる要因となります。

また、香辛料の効いた辛い物やアルコールは血流を促します。体に炎症を起こしやすくなるため、アレルギー性鼻炎を持っている方は注意が必要です。

逆に体を冷やすものも、アレルギー性鼻炎を悪化させることにつながります。冷たいものや生もの、フルーツなどの食べ過ぎに注意しましょう。

アレルギー性鼻炎のセルフケア

アレルギー性鼻炎のセルフケア

アレルギー性鼻炎が起きている時は、不快な症状をできるだけ緩和したいものです。不快な症状をやわらげる、いくつかの方法をご紹介します。

鼻うがい

鼻の粘膜についたアレルゲンを取り除くことが、症状の軽減に有効です。鼻うがいには0.9%程度の薄い食塩水を使用します。自作することも可能ですが、一度しっかり沸騰させたお湯を使わないと雑菌が混じることもあるため注意が必要です。

また、真水での鼻うがいは鼻粘膜を傷つけることがあるので避けましょう。市販の鼻うがい用の製品を使うのが手軽です。

ワセリンを塗る

アレルギー性の鼻炎を起こしているとき、鼻をかみすぎて肌荒れすることがあります。ヒリヒリして痛い時は、ワセリンを塗っておくと痛みが緩和されます。

また、鼻の穴の周りにワセリンを塗っておくと、塗ったワセリンに花粉が付くため、花粉を吸い込むことを防ぎ、花粉症を緩和することも可能です。ワセリンはドラッグストアでも販売されており、比較的安価なため試しやすいでしょう。

部屋の加湿

部屋が乾燥していると鼻づまりがひどくなる傾向があります。加湿器を使用したり、洗濯物を部屋につるしたりして部屋の湿度を上げてみましょう。また、部屋の中でもマスクを着用することで、鼻やのどを乾燥させないようにすることができます。

マスク・メガネ

外に出るときには、マスクとメガネをして出かけましょう。マスクをすることで花粉や化学物質の吸い込みを軽減することが可能です。

完全に炎症を抑えることはできなくても、鼻炎の症状を軽減することや、発症を遅らせることができると言われています。また、目から入ってくる花粉を防ぐためにメガネをかけることも有効です。

環境整備

天気予報で花粉が大量に飛びそうだという情報があるときは、窓を開けないようにしましょう。また洗濯物や布団は室内干しにします。さらに、外出から帰ってきた際には外で服についた花粉を叩き落とし、家に持ち込まないことが大切です。

また、掃除機はまめにかけましょう。ただし、いきなり掃除機をかけると床に落ちた花粉が空中に舞い上がるため、モップや雑巾で床を拭いてから掃除機をかけるようにしましょう。

アレルギー性鼻炎に関する疑問

アレルギー性鼻炎に関する疑問

アレルギー性鼻炎に関するよくある質問です。

アレルギー性鼻炎は治る?

アレルギー性鼻炎は自然にはよくなりません。つらい症状が続くようであれば、積極的に医療機関を受診しましょう。

アレルギー性鼻炎の薬をずっと飲んでいても大丈夫?

アレルギー治療のためには、一定期間薬を飲むことが必要です。そのため、薬は長期間服用することを前提として作られています。薬を服用する期間については医師とよく相談しましょう。自己中断するとかえって症状を悪化させることがあります。

アレルギー性鼻炎は遺伝?

親がアレルギー体質の場合、子供にアレルギー体質が遺伝する確率は、そうでない場合に比べて約4倍と言われています。ただし、アレルギーを発症するかどうかは環境的な要因も関係するため、親がアレルギー体質だからと言って、子供が必ずしもアレルギーを発症するとは限らないようです。

小さい子どもは花粉症になる?

2008年の調査で、0歳~4歳で花粉症の子供が1割いたと報告されています。小児花粉症の割合は年々増えていると考られています。

花粉症はどれぐらい続くの?

花粉症は、特定の花粉が飛んでいる期間はずっと続きます。スギ花粉では2月から5月の初めごろまで飛散しているため、3か月は花粉症が続くと考えてよいでしょう。

アレルギー性鼻炎と上手に付き合おう

アレルギー性鼻炎と上手に付き合おう

アレルギー性鼻炎の症状は、時に夜も眠れないほどの鼻づまりを起こすことがあり、生活の質を大きく損ねます。アレルギー性鼻炎を改善するためには適切な環境整備をするとともに、アレルギーのもとになっているものを遠ざけるのが治療の基本です。そのうえで、症状が改善されないようであれば病院で治療を受けましょう。

ヒロオカクリニックでは、アレルギー性鼻炎の方の治療やアドバイスを行っています。アレルギー性鼻炎でお困りの方は、ぜひご相談ください。

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アレルギーの原因は遺伝的なものに限るわけではなく、しっかりと治療すれば改善されるものも多数あります。重症化する前に専門医の治療を受けることをお勧めします。

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