高血圧の人が降圧剤という薬を飲まないとどうなるのか、種類も紹介
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クリニックで高血圧と診断されると、医師は降圧剤という薬を処方するでしょう。
降圧剤は血圧を下げる薬なので、これを飲まないと血圧が高いまま推移して病気が次のステージに進んでしまいます。
そのため「降圧剤が処方されて、それを飲まない人がいるのか」と思うかもしれませんが、います。
降圧剤を飲むと血圧が下がるので、そのとき「治った」と勘違いして、自己判断で服用を中断してしまう人がいるのです。それがどれだけ健康にとってよくないことなのか解説します。
また降圧剤にはさまざまな種類があるので、あわせて紹介します。
飲むのをやめると上がる
降圧剤はよく、眼鏡のようなもの、といわれます。
眼鏡をかけると、みえなかったものがみえるようになります。しかし眼鏡を外すと、またみえなくなります。
降圧剤もそれと同じで、飲んでいる間は血圧を抑えますが、飲まなくなるとまた血圧は上がり始めます。
イメージとしては「抑えている」
高血圧はさまざまな原因によって引き起こされますが、降圧剤がそれらの原因を取り除いているわけではありません。
したがって降圧剤の効果は「治す」というより「抑えている」と表現したほうがよいでしょう。
降圧剤を飲んだとき、血圧を抑える効果は1、2日程度とされています。つまり3日目には抑えている効果が消えるので、血圧が再び高くなってしまいます。
高血圧の原因についてですが「これが高血圧を引き起こしている」という明確なものはわかっていません。
ただ、高血圧の危険因子はかなりわかっていて、次のとおりです。
・加齢
・遺伝的要因
・塩分の摂りすぎ
・喫煙
・肥満
・運動不足
・多量の飲酒
・ストレス
・糖尿病
・脂質異常症
降圧剤はこれらを治すものではないので、降圧剤を飲んでもこれらの危険因子が消えるわけではなく、そのため降圧剤を飲むのをやめると血圧が上がってきてしまうわけです。
高血圧が続くとどうなるのか
降圧剤を飲むのをやめると高血圧に戻ってしまうので、高血圧が引き起こす病気にかかりやすくなります。
高血圧がリスクを高める病気や症状は次のとおりです。
・心臓が肥大する
・血液の循環がうまくいかなくなる
・腎臓の機能が低下する
・動脈硬化
・心不全
・狭心症
・心筋梗塞
・脳出血
・脳梗塞
これらは生活の質を著しく低下させ、命の危険に及ぶものもあります。
「降圧剤を飲まないと、心筋梗塞になるかもしれない」と覚えておいてもよいでしょう。
医師が「もう飲まなくてよい」と判断することがある
降圧剤を一生飲み続けたほうがよい人はいます。
その一方で、医師の判断で、降圧剤を飲まなくてよくなる人もいます。
先ほど紹介した高血圧の危険因子を取り除くと、降圧剤を飲まなくても血圧が下がることがあるからです。
そのため医師は、降圧剤を処方するだけでなく、患者さんに減塩食や禁煙、ダイエットなどをすすめます。
患者さんが生活習慣や食習慣を改善すると、降圧剤が要らない状態まで回復できることがあります。
ただし、あくまで、降圧剤の服用をやめるかどうかは医師の判断が必要です。
7種類の降圧剤
降圧剤には次の7種類があります。
・カルシウム拮抗薬
・ACE阻害薬
・ARB
・利尿剤
・α1遮断薬
・β遮断薬
・中枢性交感神経抑制薬
1つずつ薬の性質を解説します。
カルシウム拮抗薬
カルシウム拮抗薬は、血管を広げて血圧を下げる薬です。
カルシウムイオンが血管内に増えると血管が収縮するので血圧が上がってしまいます。カルシウム拮抗薬はカルシウムイオンの働きを抑えます。
カルシウム拮抗薬は複数の医薬品メーカーが販売していて、商品名はアダラート、ランデル、セバミット、カルブロック、アムロジピン、カルスロット、ノルバスクなどとなっています。
ACE阻害薬
血圧を上昇させる、アンジオテンシンというホルモンがあります。ACE阻害薬は、アンジオテンシンがつくられないようにする薬です。
商品名は、レニベース、エースコールなどです。
ARB
ARBもACE阻害薬同様、アンジオテンシンというホルモンがつくられるのを阻害します。ACE阻害薬より副作用が少ないといわれています。
商品名は、オルメテック、ミカルディスなどです。
利尿剤
利尿剤は尿を排出しやすくする薬です。尿を出すことによって体内の水分とナトリウムが体外に出るので、血圧の低下を期待することができます。
体内の水分が多いと血液量が増えるので、血圧を高めます。
体位のナトリウムが多いと水分を多く保持してしまうので、やはり血圧が高くなります。
商品名は、アルダクトン、ラシックス、ナトリックスなどです。
α1遮断薬
血圧は自律神経の不調によっても上昇します。
α1遮断薬は自律神経に作用して血圧の低下を狙う薬です。
商品名は、カルデナリン、エブランチルなどです。
β遮断薬
β遮断薬も自律神経に働きかけて血圧を下げます。
商品名はテノーミン、メインテートなどです。
中枢性交感神経抑制薬
中枢性交感神経抑制薬も神経に関与する薬です。
α1遮断薬やβ遮断薬で効果が出ないときに、この薬を使います。
商品名はアルドメット、カタプレスなどです。
まとめ~薬でコントロールする、という意識を持ってください
降圧剤は、高血圧患者さんの強力な武器になります。
しかし降圧剤は、いわば「血圧を下げるだけ」なので、高血圧を引き起こしている根本原因は依然存在したままになっています。
そのため降圧剤を処方された方は「この薬で血圧をコントロールする」という意識を持つようにしてください。
医師の指示通り服用することを強くおすすめします。