動脈硬化の症状、原因、治療、予防法を解説

INDEX

動脈とは酸素や栄養を豊富に含んだ血液(動脈血)を流す血管のことで、これが硬くなるのが動脈硬化です。

健康な動脈は伸縮性と弾力性を兼ね備えています。動脈は心臓から勢いよく出てくる血液を受け止めるので強い力を受けますが、伸縮性と弾力性に富んでいればその力を軽減できて血管を守ることができます。

しかし動脈硬化が進んでいると血管がその力をもろに受けることになってダメージを受けます。

動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めるので、予防したいものです。そしてもし動脈硬化を発症してしまったら、悪化させないようにしましょう。

この記事では動脈硬化の症状、原因、治療、予防法を解説したうえで、閉塞性動脈硬化症についても紹介します。

症状~無症状から始まって徐々に悪化

動脈硬化は血管が硬くなってから支障が起きる病気です。動脈が硬くなったことを自分で気づくことはほぼ不可能なので、動脈硬化は無症状から始まって徐々に悪化していきます。

次は頭痛やめまいなど

無症状の次に起きるのは、頭痛、めまい、耳鳴り、疲労感、動悸、足の痛み、足の冷えなどです。

これらの症状は動脈が硬くなって血流が悪化することなどで生じます。

恐いのはそのあとの合併症

動脈硬化の症状としては頭痛やめまいなどだけなのですが、恐いのはそのあとです。

動脈硬化では血管の内側にプラークという堆積物が形成されるのですが、これによって血管内が狭くなるので血流が悪化して、心臓への負担を増やします。

また、プラークははがれ落ちることがあり、それが血流にのって細い血管に到着すると血管を塞いでしまいます。血管が詰まるとその先にある細胞に血液が届かないので、つまり酸素と栄養が届かないので細胞が死んでしまいます。

こうした異常や支障によって発症するのが合併症で、これはときに命に関わります。

動脈硬化の合併症は重大な病気ばかり

動脈硬化を予防・治療しなければならないのは、命に関わることもある合併症を引き起こしたくないからです。

動脈硬化の合併症には脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症などがあります。

「梗塞」とは血管が詰まってその先にある細胞が壊死してしまう状態のことです。したがって脳梗塞では脳細胞の一部が壊死し、心筋梗塞では心臓の細胞の一部が壊死してしまいます。脳と心臓は人の生存に関わる極めて重要な臓器なので、それで脳梗塞や心筋梗塞を発症してすぐに治療をしないと死亡してしまうことがあります。

閉塞性動脈硬化症については後段であらためて解説します。

原因は生活習慣

動脈硬化の原因は、コレステロール、肥満、運動不足、喫煙、高血圧です。いずれも生活習慣と深く関わっています。

なぜコレステロールと肥満が原因になるのか

コレステロールが多い食事を摂り続けたり、肥満の状態が長期化したりすると、動脈に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)がこびりつき、これがプラークになります。それにより動脈硬化の原因に数えられているのです。

なぜ運動不足が原因になるのか

運動不足が原因になるのは、運動不足によって肥満につながってしまうからです。

また運動をしないと体内の一酸化窒素(NO)が減ります。一酸化窒素は血管に弾力性などを与えるので、これが不足すると動脈が硬くなります。

なぜ喫煙が原因になるのか

喫煙が動脈硬化の原因になるのは、体内に一酸化炭素(CO)が発生するからです。一酸化炭素は血液内の赤血球と結びつき、これが酸素不足を引き起こします。体内の酸素が減ると心臓はたくさん血液を流そうとして一生懸命動くので血圧が高くなります。

なぜ高血圧が原因になるのか

高血圧は、血液が血管のなかを勢いよく流れている状態なので、この状態が長期化すると血管を傷つけます。その傷にプラークが溜まりやすくなります。

また、一酸化炭素は血管をドロドロにする性質もあるので、これも血流を悪化させ血圧を押し上げる原因になります。

線維化が起きて硬くなる

さて、コレステロール、肥満、運動不足、喫煙、高血圧が動脈硬化を引き起こすわけですが、ではなぜこの過程で血管が硬くなるのでしょうか。

それは線維化という現象が起きているからです。線維化が起きると組織が硬くなるので、血管で線維化が起きると血管が硬くなります。

加齢も原因の1つ

上記で紹介した原因以外に、もう1つ重要な動脈硬化の原因があって、それは加齢です。食事に気づかい、肥満ではなく、運動習慣があり、タバコも吸わず、血圧が安定している人でも、高齢になるにつれて動脈硬化が起きていきます。

当然ですが人は誰しも加齢から逃れることはできません。そのため動脈硬化の予防では、加齢以外の原因を排除して少しでも血管が硬くなるのを遅らせる必要があるわけです。

治療と予防

動脈硬化の治療法は、原因を取り除くことです。例えば高血圧から動脈硬化が起きていれば、高血圧の薬を使います。コレステロールから動脈硬化が起きていれば、医師はコレステロールを下げる薬を処方します。

肥満であればダイエットや適度な運動が推奨され、禁煙が求められます。

これらは動脈硬化の治療法であると同時に、予防法にもなります。

動脈硬化でないうちから、コレステロールに気づかった食事や、肥満予防、運動、禁煙、血圧コントロールを心がけましょう。

動脈硬化の治療がこの程度で済むのは、動脈硬化だからです。動脈硬化から合併症に進んでしまうと、治療はより高度かつ複雑になってしまいます。

動脈硬化を発症してしまったら、動脈硬化でとどめましょう。

閉塞性動脈硬化症について

脳梗塞と心筋梗塞は脳と心臓に関わることなので、多くの人が恐い病気として警戒しています。しかし足の血管が詰まる病気については、あまり警戒されないきらいがあります。

閉塞性動脈硬化症について知っている人も、それほど多くないのではないでしょうか。

しかし閉塞性動脈硬化症もかなり恐い病気です。

発症メカニズムは脳梗塞・心筋梗塞と同じ

閉塞性動脈硬化症が起きる原理は脳梗塞や心筋梗塞と同じで、足の血管が詰まってその先の細胞が壊死してしまいます。

閉塞性動脈硬化症が悪化すると最悪、足を切断することになります。

4段階の症状を知っておいて

閉塞性動脈硬化症の症状は4段階で進んでいきます。

1度:足が冷たくなったり、しびれたりします。

2度:歩き続けているとふくらはぎが痛くなって歩けなくなるが、しばらく休むと痛みがなくなります。これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。

3度:安静にしていても痛みが走ります。

4度:足の組織が壊死します。または、小さな傷でも感染症を引き起こすこともあります。

1度の足に異変を感じた段階でクリニックにかかりたいものです。

まとめ~対策が取れる病気

記事の内容を箇条書きでまとめます。

・動脈硬化の初期は無症状で、続いて頭痛やめまいが起きます
・動脈硬化が恐いのは脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症といった合併症のリスクを高めるから
・原因はコレステロール、肥満、運動不足、喫煙、高血圧
・治療と予防は、原因を取り除くこと。脂質異常症(コレステロールの病気)や高血圧の治療をすることは動脈硬化症の予防につながる

動脈硬化それ自体は深刻な病気とはいいにくいのですが、深刻な病気につながりやすいので厳重に警戒しなければなりません。

その一方で動脈硬化は対策が取れる病気なので、健康診断などでこれが疑われたらクリニックにかかるようにしてください。

新宿ヒロオカクリニックでは東京医科大学の循環器内科の冨山教授および松尾先生をはじめ循環器内科の専門医が診察を行っております。

ご予約はお電話かWebでお願いいたします。

TEL 0570-002-666

Web予約はこちら

 

 

症状別に記事が確認できる 特集記事一覧

各検査機器も備えて迅速に診察・治療を行います

主に心臓や血管に係わる病気全般の診療を行います。田原院長の診療のほか、東京医科大学の冨山教授も月曜日に診療を行っております。

ご利用詳細

CONTACT予約・お問い合わせ

Web予約・お問合せ 電話する