水虫の原因とは?症状や治療法について解説

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「足の指先が痒くてムズムズする」「足の皮がポロポロめくれてきた」このような症状は水虫かもしれません。水虫は一度かかると、治るまで根気強く治療する必要があります。また、家族の中に水虫の人がひとりいると、他の家族にも感染することがあります。

この記事では、水虫の症状や原因、治療法について、また水虫をうつしたりうつされたりしないためにできることについて解説します。水虫が気になっている方はぜひご覧ください。

水虫の原因

水虫の原因

水虫は白癬菌が原因でおこる皮膚の病気です。近年は女性にも多く、3人に1人が水虫を経験したことがあるというデータもあります。水虫は治りにくいのが特徴です。冬のブーツ、革靴や湿った靴下をはいたままでいると、足が蒸れた状態が続き、白癬菌が増殖して水虫が発生します。

感染しやすい場所

白癬菌は水虫の人の皮膚や爪に潜んでいます。家庭に水虫の人がいる場合、体から落ちた皮膚や爪が原因で感染することもあります。水虫の人から剥がれ落ちた白癬菌は、スリッパやバスマット、絨毯や床などを介して他の人にうつります。また、プールや公衆浴場にある床や足ふきマットが感染の原因となることもあります。

ただし、白癬菌がついただけで水虫を発症することはありません。白癬菌が足についたまま湿度が高く不衛生な状態で長時間過ごすと、白癬菌が増殖して水虫になります。

足の水虫のタイプ

足の水虫のタイプ

足にできる水虫は、大きく分けて3タイプに分類できます。

趾間型

指の間の皮がめくれ、ジュクジュクした状態になります。白くふやけて皮がめくれ、赤くただれていることが多いタイプです。水虫で最も多いのがこの趾間型です。慢性化した水虫は、皮がめくれたあとに水疱ができ、ふやけてまた皮がめくれるということを繰り返します。

また、このタイプの水虫は強いかゆみをともなうのも特徴です。多くは足の薬指と小指の間にできます。

小水胞型

小水疱型水虫は、足底や土踏まず、足のふちに沿って小さな水疱がたくさんできます。水疱がつぶれては皮がめくれ、また水疱ができるという症状を繰り返します。

また、強いかゆみをともなうことが特徴です。水疱がつぶれると中から水が出てきますが、その水が付着しても水虫がうつることはありません。水疱を無理につぶすと細菌感染をおこす恐れがあるため、あえて皮をめくったり、つぶしたりしないようにしましょう。

角質増殖型

足の裏全体が分厚く硬くなり、カサカサと白っぽくなって皮がむけたり、ひび割れたりします。「かかと水虫」とも呼ばれており、比較的まれなタイプです。夏場よりも空気が乾燥する冬場に多くみられ、かゆみはほとんどありません。また、爪水虫をともなっていることが多くあります。

指の間などにできた水虫を放置していると、白癬菌が皮膚の奥深くまで進行して足の裏全体に広がります。角質増殖型は水虫が進行した最終形態ともいえるため、治療にも時間がかかります。

水虫の症状と発生しやすい部位

水虫の症状と発生しやすい部位

水虫ができるのは足だけではありません。しかしながら、発症した部位によって症状や呼びかたが異なるため、水虫だと気が付かずにいるうちに進行してしまうことがあります。症状としては、かゆみがある、皮膚がジュクジュクしている、皮がポロポロとめくれる、角質が硬くなって粉をふいたように見えるなどさまざまです。

足の指の間

最も水虫ができやすい部位です。特に薬指と小指の間によくできます。指の間の皮がジュクジュクして皮がめくれる「湿潤型」と、皮が薄くむけて赤くただれたように見える「乾燥型」があります。特に、湿潤型はかゆみが強いのが特徴です。単なる皮むけだと思って放置していると進行してしまうため、「水虫かな?」と思ったら早めに皮膚科を受診しましょう。

水虫を放置していると、爪にまで白癬菌が広がる原因になります。爪水虫のいちばんの特徴は、爪が硬く厚くなることや、色が黄色くなったり白く濁ったりすることです。

もろくなった爪がボロボロと剥がれ落ちる、変形してしまうなどの症状もみられます。また、爪水虫の場合、かゆみを感じることはあまりありません。

爪水虫を持っている人は、爪に白癬菌が付着しているため、爪きりの時にも注意しましょう。飛び散った爪に触れることが原因で感染する可能性があります。

爪水虫をもっている人のほとんどは、足の水虫ももっています。そのため、爪だけを治療するのではなく、足の水虫を同時に治療していくことが必要です。

かかと

「かかと水虫」と呼ばれるものです。足の裏全体がゴワゴワと乾燥して硬くなり、皮膚が厚くなります。特に、かかとに症状があらわれることが多く、ひび割れることがあります。かかとはもともと角質が厚いため、水虫に感染していなくても乾燥する冬場にはひび割れることがあります。

ただし、春になってもひび割れの症状が改善しないようであれば、かかと水虫の可能性があります。通常、かかとだけに症状があらわれることはありませんが、あかぎれ、乾燥によるひび割れと見分けるのが難しいため注意が必要です。

手にも水虫ができることがあります。手のひら、指、指の間にできますが、手白癬は比較的まれです。角化(皮膚が硬くなる)症状がほとんどですが、指の間がジュクジュクしたり、逆にカサカサになって皮がめくれたり、手のひらにかけて水疱ができたりすることもあります。

ごくまれにではありますが、同居している家族が水虫だった場合、子どものハイハイが原因で手にうつることがあります。子どもへの感染を防ぐためにも、しっかりと水虫の治療をすることが大切です。

体部

体にできる水虫で「ぜにたむし」とも呼ばれています。原因の多くは、柔道やレスリングなどスポーツでの身体接触、ペットとの濃厚接触、他者との接触によるものです。おもに肌が露出している首や腕、脚などに発症します。

ペットが白癬菌を持っているかどうかは、脱毛の有無でわかる場合があります。体を異常にかゆがったり、毛がちぎれたりはげたりしている部分があるようであれば、白癬菌に感染しているが原因となっている可能性があります。

股部

股部にできる水虫は「いんきんたむし」とも呼ばれるものです。多くは男性に発症しますが、女性にもまれにみられます。鼠径部から太ももの内側にかけて、皮膚の赤みや強いかゆみの症状があらわれます。

また、痛みをともなうこともあります。湿気が原因となるため、ムレやすい部分に発症・再発することが多いのが特徴です。太っている人の場合、肌がこすれ合う部分に発症することもあります。

頭部

頭部にできる水虫は「しらくも」とも呼ばれています。髪の毛に白癬菌が寄生することが原因で発症します。楕円形の脱毛や、髪の毛が切れやすくなったり、抜けやすくなったりすることが特徴です。かゆみはあまりありませんが、頭皮表面にフケのような鱗粉が溜まることがあります。

戦前にはよくみられた「しらくも」ですが、現代では発症数が少なくなっています。ただし、まれにペットからの感染が原因で罹ることがあります。

水虫の治療法

水虫の治療法

水虫の治療は皮膚科でおこないます。皮膚を削り取り、顕微鏡で観察する簡単な検査で診断することができます。

水虫の治療は、おもに外用薬の塗布によっておこないますが、爪水虫の治療の原則は、内服薬とされています。水虫ができた部位や症状によって使う薬が異なるため、医療機関を受診して適切な薬を処方してもらいましょう。

水虫治療の薬:外用薬

水虫の治療には抗真菌薬を使用します。外用薬には、軟膏、クリーム、スプレーなどさまざまなタイプがあり、塗り始めてから最低でも1か月は使用を続けることが必要です。

また、爪の表面だけに発症した爪水虫には、発症した部分の爪を削ってから外用薬を使用します。いずれの場合も、途中で塗るのをやめてしまうと再発する可能性が高いため、根気強く治療を続けましょう。

水虫治療の薬:内服薬

水虫治療の内服薬は、おもに爪水虫に対して用いられていますが、外用薬でかぶれる人や治りが悪い人、中等症以上の人にも処方されます。服用すると有効成分が血液から爪の先まで運ばれて、爪の奥にいる白癬菌を殺したり、それ以上増えたりするのを防ぎます。

現在、国内で用いられている水虫治療の内服薬は、ネイリン(ホスラブコナゾール)、ラミシール(テルビナフィン)、イトリゾール(イトラコナゾール)の3つで、いずれも医師の処方が必要です。これらの内服薬は、肝機能障害、貧血、胃腸障害など、副作用の原因となるおそれがあるため、治療中は定期的な血液検査で経過を観察します。

水虫と間違えやすい皮膚疾患

水虫と間違えやすい皮膚疾患

症状がよく似ているため、水虫と間違えやすい皮膚疾患がいくつかあります。自己判断の間違った処置が原因で悪化してしまうと、かえって治癒までに時間がかかることになります。似た症状には注意しましょう。

接触皮膚炎

いわゆる「かぶれ」のことで、アレルギー性と接触性に分類されます。アレルギー性の皮膚炎は原因物質(アレルゲン)となるものが肌に触れたときに、体から異物を排除しようとしておこる免疫反応です。

一方で、接触性の皮膚炎は、アレルギーに関係なく刺激性のあるものに触れたときにおこる反応です。いずれの皮膚炎もかゆみや赤み、皮むけなどがおこりますが、比較的短期間で症状が治まります。

汗疱性湿疹

手足の指や手のひらに小さな水疱がたくさんでき、やがて皮がめくれて治癒します。2~3週間で症状が治まりますが、再び水疱ができるということを繰り返します。

汗をかく夏場に多くみられ、水虫と間違えられやすい疾患のひとつです。汗疱性湿疹の症状は水虫とよく似ているため、見分けるのが難しく、医療機関での顕微鏡検査が必要です。

皮膚カンジダ症

皮膚カンジダ症は、カンジダ菌というカビの一種への感染が原因で発症する皮膚炎です。カンジダ菌は手や指の間、口の周り、陰部や股部、おむつをしているところなど、湿った場所を好みます。

水虫とよく似た水疱や皮のめくれ、皮膚のかゆみがあります。顕微鏡検査をするとすぐにわかります。

水虫の予防策

水虫の予防策

水虫かな?と思ったら、「悪化させないこと」と「他の人にうつさないこと」が大切です。ここでは、感染の原因をつくらないためにも、家庭内で注意するべきことを確認します。

日ごろの足ケア

足は指の間までよく洗いましょう。ただし硬いタオルでゴシゴシ洗ったり、軽石でこすったりするのは禁物です。細かい傷が原因で、そこから白癬菌に感染することがあります。

また、プールサイドなどを歩くときにも足に傷ができないよう注意しましょう。プールや公衆浴場などを利用したら、シャワーで足をよく流すとともに、家に帰ってからもう一度洗うことを心がけてください。

足が蒸れないようにする

湿った環境は、白癬菌増殖の原因となります。ブーツや革靴を長時間履いたままでいることを避け、職場ではスリッパにはき替えるなど、足が蒸れないようにしましょう。靴下も通気性の良い綿素材や、5本指のものを選ぶと、足が蒸れにくくなるのでおすすめです。

足をよく拭く

足がぬれたまま放置していると、白癬菌が増殖する原因になります。入浴後やプールからあがった後は足をよく拭き、乾燥した状態を保ちましょう。

また、公衆浴場やプールなど、裸足で歩く場所には白癬菌が潜んでいますので、利用後は足の裏をよく拭きましょう。ただし、白癬菌が足の裏についても、増殖し始めるまで24時間以上かかると言われています。すぐに水虫の原因になるわけではありません。

バスマットを共有しない

家庭内に水虫の人がいる場合、バスマットに付着した白癬菌が原因となります。家族内の感染を予防するために、バスマットを共有しないよう注意して、こまめに洗濯しましょう。同じように、スリッパも感染の原因になるため、共有を避けましょう。

床をよく拭く

水虫の人が家庭内にいる場合は、フローリングの床をよく拭きましょう。絨毯はアルコールで表面をよく拭き取ります。同時に、水虫の人が裸足で家の中を歩かないように注意することも必要です。

水虫の人は、お風呂からあがった後も裸足で歩くことがないように注意します。すぐに靴下をはくようにしましょう。

玄関マットなどは干す

洗えるマット類は定期的に洗うよう心がけましょう。洗えない玄関マットなどは天日干しにするなど、部屋を清潔に保つことで水虫の感染、再発を予防できます。

水虫のQ&A

水虫のQ&A

ここでは、水虫に関するよくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてください。

水虫を放置するとどうなる?

水虫を放置していると悪化し、爪水虫やかかと水虫に進行します。進行すればするほど治療にも時間がかかるようになるため、水虫かな?と思ったら、早めに治療を始めることが大切です。水虫ができる部位によって使う薬も異なるため、自己流で治療するのではなく、医療機関を受診しましょう。

水虫にアルコール消毒は効く?

できてしまった水虫に対しては、アルコール消毒の効果はありません。しかし、白癬菌は放置することが原因で増殖するので、足を清潔に保ち、さらにアルコール消毒することで水虫を予防することができます。

子どもも水虫になる?

子どもも水虫になります。家庭内に水虫の人がいる場合、剥がれ落ちた皮膚には白癬菌が付着しています。床に落ちた白癬菌が子どもの足や手に付着し、そのことが原因で水虫になる可能性があります。ただし、子どもはよく動くことや新陳代謝が活発なことから、うつることはまれだといわれています。

まとめ

水虫は白癬菌というカビの増殖が原因でおこる皮膚病

水虫は白癬菌というカビの増殖が原因でおこる皮膚病です。白癬菌は高温で蒸れた場所を好んで増殖します。水虫のできる部位はさまざまで、呼びかたも異なります。

また、近年では水虫にかかる女性も増えています。革靴やブーツなど通気性の悪い状態は、発症の原因となりやすいので注意しましょう。

水虫だとわかったら、適切な治療をおこないましょう。放置していると悪化し、治療が長期化する原因となってしまいます。家族にうつさないためにも、できるだけ早く医療機関を受診して治療を開始することが重要です。

水虫にお悩みの方、水虫かもしれないと思っている方は、ヒロオカクリニックにご相談ください。

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