血圧の正常値と平均値を知っておくと健康にプラスになる理由
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医師や医療機関や保健機関が国民にしきりに「血圧を測りましょう」と呼び掛けるのは、脳や心臓の病気を発症する危険度がそれによってわかるからです。血圧の数値が高い状態は、運動やダイエットが必要になったサインであり、治療が必要になるサインでもあります。
しかし、せっかく血圧計を購入しても、漫然と測っていては効果が期待できません。
血圧の正常値や平均値などの値を理解して、意識的な測定を習慣づけてみてください。
そもそも血圧とは
血圧とは、血管内を流れる血液が、血管の内側を押す圧力のことです。
血液は体内の細胞に酸素と栄養を届けるので、血液が勢いよく流れることは、早く酸素と栄養が届くことになるので本来はよいことです。
しかし、長期間にわたって血液が勢いよく流れ続けていると、血管の内側がダメージを受けます。それがゆくゆくは心臓病や脳の病気を引き起こしてしまいます。
正常値は2種類ある「115以下と120以下」
血圧の正常値には次の2種類があります。正常である状態と健康である状態を維持するには、どちらもクリアする必要があります。
<血圧の正常値>
・家庭血圧:115/75mmHg未満
・診療室血圧:120/80mmHg未満
「高血圧は140ぐらいではないのか」と感じた方もいると思いますが、その値は高血圧の数値であり、異常と判断される値です。この点については後段で解説します。
家庭血圧とは、家庭内で測定する血圧値のことで、医療機関の診療室で測定するときより低く出る傾向にあります。
診察室だと緊張して血圧が高くなる傾向があるので、家庭血圧と診療室血圧にわけて正常値を定めています。
115/75の115のことを上の血圧、75のことを下の血圧と呼ぶことがありますが、正確には、収縮期血圧と拡張期血圧といいます。
心臓がギュッと縮まって血液を力強く送り出したとき、血圧が最も高くなり、それが収縮期血圧です。
心臓が緩んで心臓内に血液をため込んだとき、血圧が最も低くなり、それが拡張期血圧です。
収縮期血圧が上昇しても、拡張期血圧が上昇しても、病気のリスクが高まることがわかっているので、両方の血圧を測定する必要があります。
平均値はさまざまある
続いて血圧の平均値をみていきます。
平均と聞くと、普通や正常をイメージするかもしれませんが、血圧の平均値は、正常とは関係ないので注意してください。
血圧の平均値はさまざまな種類があります。例えば、年代別の平均値、地域別の平均値、時代ごとの平均値、男女別の平均値などがあります。
したがって、健康維持のために注意しなければならないのは、先ほど紹介した正常値と、あとで紹介する高血圧の値(異常値)です。
では血圧の平均値は意味がないのかというと、もちろんそのようなことはありません。
例えばA県の血圧平均値のほうが、B県の血圧平均値より高い場合、A県には血圧にとってよくない習慣があるかもしれない、と推測することができます。
比較をするうえで血圧の平均値はとても重要です。
政府が興味深いデータを公開しています(*1)。
●2017年の「血圧を下げる薬を使用している人を含む」血圧の平均値
・男性:135.2/82.3mmHg
・女性:128.9/77.6 mmHg
正常値は「家庭血圧:115/75mmHg以下」「診療室血圧:120/80mmHg以下」なので、女性の下の血圧以外、正常でないことがわかります。
やはり日本人は総じて、男女の区別なく血圧に注意しなければならないことがわかります。
2010年の数値も確認してみます。
●2010年の「血圧を下げる薬を使用している人を含む」血圧の平均値
・男性:135.3/81.6mmHg
・女性:128.7/76.8 mmHg
2010年→2017年の比較では、男性は上がわずかに改善され下が悪化していて、女性は上も下も悪化していることがわかります。
このことから、医療機関や保健機関などが血圧注意と呼び掛けている割に、血圧の平均値が改善しているわけではないことがわかります。
高血圧も2種類ある「135以上と140以上」
血圧が高くなりすぎると、医師から高血圧症と診断されます。つまり異常値です。
高血圧にも家庭血圧と診察室血圧があり、次のとおりです。
<高血圧の値(異常値)>
・家庭血圧:135/85mmHg以上
・診療室血圧:140/90mmHg以上
この値は病気レベルなので、もし家庭の血圧計でこの数値が出たら早めに医療機関に受診しましょう。診療科は、内科や循環器内科になります。
正常値と異常値の間の値が出たら警戒を
正常値と異常値をもう一度確認してみます。
<血圧の正常値>
・家庭血圧:115/75mmHg未満
・診療室血圧:120/80mmHg未満
<高血圧の値(異常値)>
・家庭血圧:135/85mmHg以上
・診療室血圧:140/90mmHg以上
正常値と異常値の間にギャップがあることがわかります。つまり、正常値を超えたからといってすぐに異常になるわけではなく、異常値に届いていないからといって正常というわけではない、ということになります。
このギャップのなかの評価もなされています。
診察室血圧でいうと、「上120~129 mmHg、下80mmHg未満」の状態を、正常高値血圧といい、やや警戒が必要になります。
さらに、やはり診療室血圧が「上130~139 mmHg、下80~89 mmHg」になると、高値血圧といい、より強い警戒が必要になります。
まとめ~正常値から得られる教訓
血圧の正常値を知ったことで、次のことがわかります。
・正常値を保つようにしよう
・正常高値血圧になったら、生活習慣を変えて正常値に戻すようにしよう高値血圧になったら、より警戒を強めよう
・異常値になったら、医療機関にかかろう
血圧測定を、健康意識を高めるキッカケにしていきましょう。
新宿 ヒロオカクリニックでは、「かかりつけ医」として常勤の宮本医師(総合内科専門医)を中心に糖尿病専門医、循環器内科専門医、腎臓専門医等の多くの専門医が協力して各種生活習慣病の診察・治療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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