高血圧は原因を知って適切な対策を取って治していきましょう

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高血圧が恐い病気(症状)であり、治さなければならない症状であることを、知らない人はいないでしょう。

しかし、高血圧は放置されやすい症状でもあります。

オムロンの調査では、血圧が高めと指摘されて医療機関を受診した人は53.5%にすぎず、残りの46.5%は医療機関に行っていません(*1)。

つまり高血圧が恐いのは、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を引き起こすだけでなく、「放置」されるからなのです。

治せるかもしれないのに、放置されてはその見込みがなくなってしまいます。

放置してしまうのは、高血圧の対策方法をよく知らないからではないでしょうか。

そこでこの記事では、高血圧の原因を解説したうえで、生活のなかに取り込んでいただきたい対策を紹介します。

どれだけ恐いか

治療や対策のモチベーションを高めるには、病気の深刻さを知ることが欠かせません。

厚生労働省は、もし高血圧を完全に予防できたら毎年10万人の命を救えるだろう、としています(*2)。

しかし現在は完全予防どころか、成人の2人に1人は高血圧という状態です。そして高血圧は、生活習慣病死亡の最大の要因の1つになっています。

高血圧の「終着駅」は脳梗塞心筋梗塞で、いずれも生死にかかわる重大な病気です。

死に至らなくても、高血圧から糖尿病に進めば、その「終着駅」は網膜症腎症神経障害の3つで、それぞれ失明、腎不全による人工透析、足の切断といった悲劇に見舞われることになります(*3*4)。

死なないために、糖尿病に進まないために、高血圧対策に取り組んでください。

改善できる原因は食塩、肥満、飲酒、運動不足、ストレス

高血圧には、本態性高血圧と二次性高血圧の2種類があって、生活習慣病死亡に深く関わるのは本態性高血圧のほうです。

日常生活で問題になる「高血圧」は本態性のことなので、この記事では本態性高血圧のことを高血圧と表記します。

高血圧の原因ははっきりわかっていて、次の6つになります。

<高血圧の6大原因>
・食塩の過剰摂取
・肥満
・飲酒
・運動不足
・ストレス
・体質(遺伝的な問題)

このうち体質は遺伝的な問題なので、本人の意思で改善することはできません。

しかしその他の5つは、本人の意思と取り組みで直すことができます。

まずは減塩から

高血圧の6つの原因のうち、厚生労働省が最も重視しているのは食塩の過剰摂取です。

したがって、高血圧が気になったらまずは減塩を心がけましょう。

男性7.5g未満、女性6.5g未満を達成するカギは隠れ塩分

高血圧予防につながる食塩摂取の目標値は、男性が1日7.5g未満、女性が1日6.5g未満です。

食塩6.5gや7.5gは「多そう」と感じる人がいるかもしれませんが、「隠れ塩分」も含めた量なので注意してください。

隠れ塩分とは、食品や食材に含まれている塩分のことです。

日本の食卓には隠れ塩分が多く存在し、醤油、味噌、ソース、漬物、ラーメンなどは多くの食塩を含みます。

ラーメン1杯は、スープまでの飲み干すと6gもの食塩を摂取したことになります。

普段の食生活には「食塩の落とし穴」がいくつもあると認識して、食塩をふりかけることを禁じて、減塩の食品や食材を意識的に購入して、醤油や味噌やソースなどの調味料を極力使わないようにする必要があります。

高血圧の人は1日6g未満

すでに医療機関で高血圧と診断されている方は、減塩目標がさらに厳しくなり、1日6g未満にしなければなりません。

体内の食塩を排除するために野菜などを食べる

体にたまった食塩を体外に出すには、野菜、果物、大豆を多く摂ることが有効です。

これらの食品に含まれているカリウムという成分は、腎臓から食塩を排出しやすくします。

食塩(ナトリウム)は悪玉、カリウムは善玉と思われていて、高血圧予防の観点からするとその認識は正しいのですが、本来は、ナトリウムもカリウムも体にとって必要な成分です。

体をつくっている細胞を維持するには体内に水分を保持し続けなければならないのですが、そのためには、細胞内にカリウムが入り、細胞の外にナトリウムが存在しなければなりません。

カリウムとナトリウムのバランスが取れているとき健康が保たれるわけです。

ところが食の観点からながめると、ナトリウム(食塩)はおいしさを生むのに、カリウム(野菜など)は摂取を苦手にする人が多いという事情があります。

それでナトリウム過剰とカリウム不足が起きてしまいます。

高血圧予防のために「減塩しよう」「野菜を多く食べよう」というのは、ナトリウムとカリウムのバランスを取るためです。

腎臓の機能が低下するとカリウムを摂取できなくなることも

高血圧予防にはカリウムを摂取しなければならないのですが、腎臓の機能が低下している人は、カリウムの摂取が制限されます。医師から、生野菜を食べることを禁じられることがあります。

腎臓の機能が低下するとカリウムを排泄できなくなるので、体内のカリウムが増えすぎて異常な血圧低下を引き起こすからです。

高血圧の状態が続くと糖尿病につながり、腎臓の機能が低下します。

しかし、腎臓の機能が低下すると、高血圧予防にプラスに働く野菜(カリウム)を食べることができなくなります。

だからこそ、腎臓の機能が低下する前に、糖尿病を発症する前に、高血圧を引き起こす前に、野菜を多く食べて血圧を正常にしておかなければなりません。

まとめ~できることを1つずつ

減塩や野菜を多く摂る食習慣を実行できたら、その他の高血圧の原因を取り除きましょう。つまり、肥満を解消し、深酒の習慣をあらため、適度に運動するようにして、ストレスを解消するようにしてください。

日本臨床内科医会は血圧を下げる効果が期待できる行動として、次の6つを挙げています(*5)。

<血圧を下げる効果が期待できる行動>
・休養
・睡眠
・運動
・暑さ対策
・ぬるめのお湯の入浴
・少量のアルコール摂取

すべてを同時に取り組むことは難しいと思うので、1つずつ取り組むようにしてください。

一歩一歩確実に前進していくことでしか、高血圧は予防できません。

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