糖尿病(2型)の原因を知ると予防と治療のモチベーションが高まるはず

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2型糖尿病(以下、単に糖尿病)の原因は何か、と尋ねたら多くの人は「肥満」「食習慣の乱れ」「運動不足」などと答えるのではないでしょうか。

その答えは正しくて、肥満を解消したり、栄養バランスが取れた食事を規則正しく摂ったり、適度な運動を心がけることは糖尿病予防にも糖尿病治療にもなります。

ではなぜ肥満や運動不足などが糖尿病を引き起こすのでしょうか。

糖尿病の原因を深掘りしていくと、この病気の本質がみえてきます。それがみえてくると、本気で「予防しよう」「治療しよう」と思えるはずです。

キーワードはインスリンです。

インスリンが鍵

原因には間接的な原因と直接的な原因があります。

肥満や食習慣の乱れ、運動不足は間接的な原因であり、インスリンの不具合が糖尿病の直接的な原因になります(*1)。

なぜならインスリンこそが、血液内の糖(血糖)を減らすからです。インスリンに不具合が起きることで血糖値が上がり、血糖値が許容範囲を超えると「糖尿病」と診断されます。

細胞はインスリンのおかげで糖を吸収できる

人は酸素と栄養がないと生きられないのですが、これは「細胞は酸素と栄養がないと生きられない」と言い換えることができます。人は細胞でできていて、細胞は酸素と栄養を必要としているからです。

そして重要な栄養の1つが糖です。

食べたものの一部は体内で糖に変わり、血液にのって全身の細胞に運ばれます。

では、細胞に糖などを与えればよいのかというとそうではなく、細胞は自分の力では糖を取り込むことができません。

インスリンが手助けすることで、細胞は糖を取り込み、それをエネルギーに変えて生き続けることができます。

インスリンがないと細胞は糖を取り込むことができず、糖は血液中に残ったままになります。それでも食事をして糖が供給され続けるので血糖値が上がるわけです。

インスリンの異常には「減る」と「効かない」の2つがある

インスリンは膵臓から分泌されるホルモンです。ホルモンとは、体の働きを調整する化学物質です。

インスリンは、細胞が糖を取り込む働きを調整する化学物質というわけです。

糖尿病の原因となるインスリンの異常には「減る」異常と「効かない」異常の2つがあります。

減る異常:インスリン分泌低下

インスリンが減る現象のことをインスリン分泌低下といいます。

膵臓はインスリンを無尽蔵に出せるわけではありません。血糖値が上がると、膵臓は「頑張って」インスリンを大量に分泌しようとします。しかしこれが続くと膵臓が「疲れて」しまい、インスリンの分泌量が減ってしまうわけです。

インスリンの分泌量が低下すると高血糖がさらに強まるのでさらに膵臓が疲弊し、それでさらにインスリンの分泌量が減ります。高血糖が高血糖を呼ぶこの悪循環を「高血糖による毒性」といいます。本来は人のエネルギーになるはずの糖が、あたかも毒のように作用してしまうからです。

なお1型糖尿病では、インスリン分泌に関わっている「膵臓ランゲルハンス島β細胞」という細胞が破壊されインスリンが出なくなってしまいます。

効かない異常:インスリン抵抗性

2型糖尿病の話に戻します。

インスリンが十分に分泌されているのに高血糖になってしまうことがあります。それはインスリンの効果が低下してしまうからです。細胞にいくらインスリンを与えても、細胞が糖を取り込まなくなるのです。細胞が「抵抗」しているので、この現象をインスリン抵抗性と呼びます。

そしてインスリン抵抗性が現れると、細胞が糖を取り込むにはより多くのインスリンが必要になるので膵臓が「頑張って」しまいます。その結果、膵臓が「疲れて」インスリンの分泌が低下します。

「インスリン抵抗性→インスリン分泌低下→糖尿病」というルートで糖尿病を発症することもあります。

インスリン抵抗性が生じる原因は2つあり、1つ目は遺伝的な異常です。2つ目は生活習慣の悪化により発生するものです。肥満、過食、脂っこい食事、運動不足、ストレスはインスリン抵抗性を強め糖尿病に近づいてしまいます。

なぜ肥満や運動不足がインスリン抵抗性を生むのか

糖尿病の予防と治療のために肥満を解消して運動をしたほうがよいのは、肥満や運動不足がインスリン抵抗性を生むからです。

ではなぜ、肥満や運動不足がインスリンの効果を下げてしまうのでしょうか。

肥満や運動不足は、体の脂肪を増やします。脂肪細胞から分泌されるアディポカインという物質がインスリン抵抗性を生みます。

まとめ~大量のドミノ倒しのよう

ここまでの流れを整理すると以下のようになります。「糖尿病への道」は3つあります。

■糖尿病への道その1

生活習慣の乱れ

血糖値が高くなる

膵臓がインスリンをたくさん出す

膵臓が疲れる

インスリンの分泌量が減る

血糖値が上昇する

糖尿病になる

 

■糖尿病への道その2

肥満や運動不足

脂肪が増える

アディポカインが増える

インスリン抵抗性が生じる

血糖値が上昇する

糖尿病になる

 

■糖尿病への道その3

インスリン抵抗性が生まれる

インスリンの効果が薄れるから大量のインスリンが必要になる

膵臓がインスリンをたくさん出す

膵臓が疲れる

インスリンの分泌量が減る

血糖値が上昇する

糖尿病になる

 

糖尿病の原因を知ると、糖尿病が大量のドミノ倒しのように押し寄せてくるさまざまな原因によって引き起こされることがわかります。生活習慣の乱れや肥満や運動不足を解消することの重要性がわかります。

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