肥満の原因は何か「太るメカニズム」を解説
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「肥満の原因は何か」と質問すると、多くの人は「食べるから太る」と答えるのではないでしょうか。
ではなぜ、食べると人は太るのでしょうか。
また、なぜ、同じ量の食事をしても太る人と太らない人がいるのでしょうか。
この記事では、肥満の原因と太るメカニズムを解説します。ぜひ、肥満解消のヒントを得てください。
食べると太るのは脂肪細胞が太るから
食べると太るのは、食べると体内の白色脂肪細胞(白色脂肪組織と呼ぶこともあります)が太るからです。
白と褐色、2種類の脂肪細胞
人の脂肪細胞には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞があります。褐色脂肪細胞は血液中の遊離脂肪酸を取り込んで熱をつくってエネルギーを放出するので、肥満とは逆の効果を生み出します。肥満をつくるのは、白色脂肪細胞です。
白色脂肪細胞は球体で、血液中に脂質や糖などの中性脂肪が増えると、それを取り込んでぷっくり膨らみます。白色脂肪細胞は、脂肪をエネルギーとして蓄積する役割を持っています。
肥満でない人の白色脂肪細胞の直径は80マイクロメートルほどですが、肥満の人の白色脂肪細胞は140マイクロメートルにまで膨らみます。
また、白色脂肪細胞は増えます。
以前は、20歳ぐらいになると白色脂肪細胞は400億個ぐらいになってそれ以上増えないとされていましたが、最近の研究では、肥満の人は800億個ほどの白色脂肪細胞があることがわかっています(*1、2)。
食べすぎ、運動不足、食べ方、遺伝などさまざま
ではなぜ、白色脂肪細胞が太ったり、増えたりしてしまうのでしょうか。
国立循環器病研究センターは、次の6つの原因を挙げています(*3)。
●食べすぎ
●運動不足
●食べ方の異常
●ライフスタイルの変化
●遺伝的体質
1つずつみていきましょう。
食べすぎて運動不足になると太るのは当然
食べすぎと運動不足は、最も有名な肥満の原因でしょう。肥満の最も単純なメカニズムは、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ったときに起きる、というものです。つまり、摂取エネルギーが増え、消費エネルギーが減ると、肥満になります。
食べすぎは摂取エネルギーを増やし、運動不足は消費エネルギーを減らすので、肥満の2大原因と呼んでもよいでしょう。
食べ方とライフスタイルがなぜ肥満をつくるのか
同じ量を食べて同じ量の運動をしても、太る人と太らない人がいます。この現象は「摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ったときに肥満になる」という理屈では説明できません。
そこで食べ方が注目されるようになりました。次のような食べ方をしている人は肥満になりやすいことがわかっています。
<太りやすい食べ方>
●食事の回数が少ない
●朝食を抜いて、夜にまとめ食いする
●早食い
さらに、ライフスタイルの乱れも肥満を誘発します。例えば次のようなケースは太りやすくなります。
<太りやすい生活>
●ストレスや不安感が大きく、そこから逃げるために食べてしまう
●無意識に何かを食べてしまったり、「ながら食い」の習慣がある
ストレスは肥満と大きく関わっています。国立循環器病研究センターは、肥満を引き起こしやすいストレスとして次の項目を挙げています。
●結婚
●妊娠
●出産
●閉経
●仕事
●転勤
肥満は遺伝するが対策はある
1994年に肥満遺伝子が発見され、体内に脂肪を蓄積しやすい体質が遺伝することがわかりました。太っている人の子供が肥満になっている場合、遺伝のせいかもしれません。
しかし、肥満の原因は「遺伝3:環境7」といわれています。つまり、仮に肥満遺伝子を受け継いだとしても、食生活や運動習慣など肥満になりにくい環境を整えておけば、遺伝の影響を最小限にできるわけです。
国立循環器病研究センターは、「遺伝的に肥満体質であっても、肥満は必ず予防できる」と断言しています。
肥満の定義「BMI25以上」
日本肥満学会はBMI25以上を肥満と定義しています(*4)。
BMIは体格指数といい、次の計算式で算出します。
●BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
身長1.5mの人なら、56.25kg以上でBMI25になり、肥満になります。
身長1.7mの人なら、72.25kg以上でBMI25になり、肥満になります。
BMIの評価は以下のとおりです。
●18.5以下:低体重(やせすぎ)
●18.5~25未満:普通体重
●25~30未満:肥満1度
●30~35未満:肥満2度
●35以上:高度肥満
まとめ~「肥満は恐い」と覚えておきましょう
肥満の原因をみてきました。
肥満は遺伝するので、同じ量を食べて、同じ量運動して、ライフスタイルも似通っていても、肥満になる人とならない人がいるのは事実です。
しかし、肥満遺伝子の影響力は3割でしかなく、残りの7割は食習慣などの環境です。肥満にならない環境と、肥満を解消する環境をつくっていきましょう。
日本肥満学会によると、肥満は次の11の病気を引き起こします。
●耐糖能障害
●脂質異常症
●高血圧
●高尿酸血症
●痛風
●冠動脈疾患
●脳梗塞
●脂肪肝
●月経異常及び妊娠合併症
●睡眠時無呼吸症候群
●肥満低換気症候群
●整形外科的疾患
●肥満関連腎臓病
どれもつらくて苦しい病気で、なおかつ、さらに重大な病気を引き起こす可能性を持っています。
「肥満は恐い」と覚えておいて、ぜひ対策を講じてください。
新宿 ヒロオカクリニックでは、「かかりつけ医」として常勤の宮本医師(総合内科専門医)を中心に糖尿病専門医、循環器内科専門医、腎臓専門医等の多くの専門医が協力して各種生活習慣病の診察・治療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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