コロナ後遺症の「咳が止まらない」症状について解説

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マスク着用の条件が緩和されるなど、アフター・コロナがこれまで以上に意識されるようになりました(*1)。

しかし、「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状」の脅威は引き続き残っています。

いわゆるコロナ後遺症のことで、発症から3カ月経った時点でみられることもあり、まだまだ油断はできません(*2、*3)。

この記事では、コロナ後遺症の症状のうち「咳が止まらない」症状について集中的に解説します。

*1 厚生労働省 マスクの着用について
*2 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A
*3 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について

コロナ後遺症とは:定義と症状

WHO(世界保健機関)はコロナ後遺症を次のように定義しています(*4)。

■コロナ後遺症の定義
・新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、ほかの疾患による症状として説明がつかないもの
・通常は発症から3カ月経った時点にもみられる

コロナ後遺症の症状には次のようなものがあります(*4)。

■コロナ後遺症の症状
・疲労感・倦怠感
・関節痛
・筋肉痛
・咳
・喀痰
・息切れ
・胸痛
・脱毛
・記憶障害
・集中力低下
・頭痛
・抑うつ
・嗅覚障害
・味覚障害
・動悸
・下痢
・腹痛
・睡眠障害
・筋力低下

このようにコロナ後遺症の症状は全身に現れ、精神面にも支障をきたします。

しかもいずれも生活の質を著しく落とすつらいもので、それが2カ月3カ月と続くことになります。

以下、咳について詳しくみていきます。

*4 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について

【症状】コロナ後遺症による咳の特徴

コロナ後遺症による咳症状の特徴を紹介します。

咳が続く、むせやすい

大阪市はコロナ後遺症の咳症状について、次のような症状があると報告しています(*5)。

■コロナ後遺症の咳症状の特徴
・咳が続く(≒咳が止まらない)、むせやすい
・咳が2、3カ月続く
・症状が強い

大阪市は新型コロナ感染症を発症した人が強い咳症状を引き起こし、それが2週間程度続くようなら早めに医療機関を受診するようにすすめています。

*5 大阪府新型コロナウイルス感染症対策FAQサイト 

「1カ月後でも17%」と「1年後でも5%」

千葉県はコロナ後遺症の咳症状の発生確率について報告しています(*6)。

それによると、海外の報告では、新型コロナ感染症で2カ月入院し、その後回復して1カ月経過した人が咳症状を起こす頻度は17%となっています。

他のコロナ後遺症の中で最も発生確率が高いのは倦怠感の40%で、そのほか息切れ36%、嗅覚障害24%、不安22%、味覚障害16%、抑うつ15%でした。

国内の報告では、新型コロナ感染症と診断されてから12カ月が経過した時点で咳症状が残っている確率は5%でした。

ほかの症状の、診断12カ月後に残っている症状別の確率は次のとおりです。

・13%:疲労感、倦怠感
・9%:呼吸困難
・8%:筋力低下、集中力低下
・7%:睡眠障害、記憶障害
・6%:関節痛、筋肉痛
・5%:咳、痰、脱毛、頭痛、味覚障害、嗅覚障害

*6 千葉県 新型コロナウイルス感染症療養終了後も続く症状(いわゆる後遺症)について

咳は中年者と高齢者に多い

これも千葉県の報告ですが、コロナ後遺症の咳は、中年者と高齢者に多く認められました(*6)。

中年者・高齢者に多い症状はそのほかに、痰、関節痛、筋肉痛、眼科症状がありました。

なお若い人に多いコロナ後遺症の症状は、感覚過敏、脱毛、頭痛、集中力低下、味覚障害、嗅覚障害でした。

*6 千葉県 新型コロナウイルス感染症療養終了後も続く症状(いわゆる後遺症)について

【原因】なぜ咳が止まらない症状が起きるのか

コロナ後遺症で咳が止まらなくなる理由はいくつかあります。

口の粘膜が薄くなる

咳が止まらない症状が起きる理由として、新型コロナ感染症によって口の粘膜が薄くなることが挙げられます(*5)。

粘膜が乾燥すると咳が起こりやすくなるので、粘膜が薄くなっても咳が起きると考えられます。

新型コロナウイルスは粘膜を経由して体内に侵入することが多いので、粘膜がおかされやすくなります(*7)。

喉が乾燥して咳が出る

唾液と咳は深い関係があり、唾液が多く出すぎるとむせてしまい、その結果、咳が出ることがあります。

また、唾液が少なすぎると今度は喉が乾いてしまい、その結果、喉に炎症が起きてその刺激で咳を引き起こすことがあります。

新型コロナ感染症では、唾液が出にくくなる症状も報告されています(*8)。

そのため「新型コロナ感染症で唾液が出にくくなる」→「それがコロナ後遺症でも続く」→「喉が乾燥する」→「喉に炎症が起きる」→「その刺激で咳が出る」という順番で咳が発生すると考えられます。

*5 大阪府新型コロナウイルス感染症対策FAQサイト 
*7 NIID 国立感染症研究所 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路について
*8 大阪府新型コロナウイルス感染症対策FAQサイト 

【対処】出勤、通学してもよいのか

コロナ後遺症として咳が出ている場合、本人や周囲の人は「新型コロナをうつしてしまうのではないか」と心配すると思います。

しかし咳が出ていても、それがコロナ後遺症の症状であれば、出勤や通学は問題ないとされています(*9)。

「コロナ後遺症の症状であれば」というのは「新型コロナ感染症が治ったあとの後遺症の症状であれば」という意味です。

咳をしていても出勤、通学してよいのは、コロナ後遺症を起こしていても、新型コロナウイルスの感染性が消失しているからです(*10)。

感染性は新型コロナ感染症の症状が出てから10日も経過すると急激に低下して、その後消失します。

そのため新型コロナ感染症について保健所から療養解除や就業制限の解除が出されれば、咳をしていても出勤、通学が可能になるわけです(*9)。

もちろん通常の咳エチケットは必要になります。

*9 大阪府新型コロナウイルス感染症対策FAQサイト 
*10 厚生労働省 広報誌「構成労働」2022年12月号 新型コロナウイルス最前線

【治療法】かかりつけ医に相談を

コロナ後遺症に悩んだら、なるべく早くクリニックなどにかかってください。かかりつけ医があれば、その医師に相談してください(*11)。

クリニックなどでのコロナ後遺症の治療は対処療法になります。つまり根治を目指すのではなく、症状を和らげたりなくしたりすることを目指します。

*11 厚生労働省 広報誌「構成労働」2022年12月号 新型コロナウイルス最前線

まとめ~これ以上我慢する必要はありません

記事の内容を箇条書きでまとめます。

・コロナ後遺症は新型コロナウイルス罹患後、3カ月続くこともある
・咳はコロナ後遺症の症状の1つ
・新型コロナ感染症の回復から1カ月後に咳が出る確率は17%
・新型コロナ感染症と診断されてから12カ月後に咳が残っている確率は5%
・咳は口の粘膜が薄くなったり喉が乾いたりすることで起きる
・「コロナ後遺症としての咳」なら出勤、通学しても大丈夫(咳エチケットは守って)
・かかりつけ医やお近くのクリニックで治療を

コロナ後遺症は、新型コロナ感染症に苦しんだあとにまた苦しむというつらさがあります。

そのため無理せず、なるべく早く医療機関にかかったほうがよいでしょう。

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