「初期は自覚症状がない」といわれる糖尿病にどうやって気づく?

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病気の早期発見が重要なのは、早期治療に取り組むことができ、それによって治療効果が出やすく、完治する確率が上がり、治療期間が短くなり、小規模な治療で済むので体への負担も少なく、医療費を抑えることができると期待できるからです。

病気によっては早期発見・早期治療が生命にかかわることがあります。

糖尿病も、命にかかわる合併症を引き起こすことがあるので早期発見をしたいところですが、初期は自覚症状がないことで知られています(*1)。

では、糖尿病にどうやって気づいたらよいのでしょうか。

*1 糖尿病情報センター 糖尿病とは

結論:健康診断を受ける

先に結論を紹介します。

・糖尿病を早期発見するには血液検査が一番

したがって、健康診断を必ず受けるようにしましょう。

血糖値とHbA1cを調べる

健康診断で行う血液検査では、糖尿病関連では血糖値とHbA1cを調べます。

血糖とは血液中のブドウ糖のことで、血糖値が低すぎると低血糖を、高すぎると糖尿病につながる高血糖を引き起こします。正常値は次のとおりです。

・血糖値の正常値(食前)70~100mg/dl

HbA1cは「ヘモグロビン・エー・ワン・シー」と読み、ヘモグロビンは赤血球内のタンパク質で、細胞に酸素を運ぶ働きをします。

血糖値が高いほどヘモグロビンと結合するブドウ糖の量が増え、HbA1cの値は高くなります。HbA1cにはJDSとNGSPという2つの種類があり、正常値は次のとおり。

・HbA1cの正常値:JDSは5.2%未満、NGSPは5.6%未満
(当院では通常NGSPの基準値を使用し4.6% – 6.2%を基準範囲としています)

このように、血液検査を受ければ、2つの検査項目を使って糖尿病のリスクや進行度を把握することができます。

これだけ優れた検査を採血するだけで受けることができるので、健康診断は必ず受けるようにしたいものです(*2、*3、*4)。

*2 糖尿病情報センター 糖尿病は早く見つけましょう
*3 e-ヘルスネット 血糖値
*4 国立循環器病研究センター 対象疾患・治療法 – HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)ってなに?

糖尿病リスクを知っておく

糖尿病のリスクを知っておけば「自分は糖尿病を発症しやすいかもしれない」と自覚することができます。

この自覚があれば健康診断を受けるモチベーションになりますし、血液検査の数値が悪化すれば「対策を講じよう」と思うことができます。

■糖尿病のリスク(*1)
・肥満
・食べすぎ
・運動不足
・遺伝

「肥満、食べすぎ、運動不足は対策することができるが、遺伝はどうしようもない」と感じるかもしれませんが、そうではありません。

親などに糖尿病を発症している人がいれば、遺伝している可能性を否定できませんが、それでもその他のリスクを低減することで発症を抑制できることがあります。

また遺伝的要素がなくても、それ以外のリスクが高いと糖尿病を発症しやすくなります。

また、「糖尿病の発症のしやすさは遺伝することがある」ことを知っておけば、より強く警戒することができます。

*1 糖尿病情報センター 糖尿病とは

なぜ糖尿病治療で早期発見が重要なのか

糖尿病治療で早期発見・早期治療が重要になるのは、合併症を起こさないようにしたいからです。

合併症とは、ある病気が悪化して引き起こされるより恐い病気のことです。

糖尿病の合併症には次のものがあります(*5)。

■糖尿病の合併症(悪化することで引き起こされる病気)
★網膜症(白内障、緑内障)
★腎症
★末梢神経障害
・感染症
・肺炎
・肺結核
・勃起障害
・尿路感染症
・膀胱炎
・排尿障害
・動脈硬化
・脳梗塞
・狭心症
・心筋梗塞
・水虫
・足潰瘍
・足壊疽
・末梢動脈疾患
・タコ

★印は3大合併症といい、最も強く警戒しなければならない糖尿病の合併症です。この3つの合併症を発症、悪化させてしまうと、失明、腎不全、足の切断といった事態を招くことになりかねません。

また、脳梗塞と心筋梗塞は治療が遅れると命に関わる病気です。

そのほかの病気も生活の質を著しく低下させるものなので「発症させたくない病気」です。

糖尿病の早期発見・早期治療は、命を守り、生活の質を維持するために重要です。

*5 糖尿病情報センター 糖尿病とは

なぜ糖尿病の初期は症状が出ないのか

糖尿病は深刻な病気なのに、初期症状が皆無であることも珍しくありません。

糖尿病の初期は「血液中のブドウ糖の量が増えているだけ」なので、痛みもかゆみも起きず、それで自力で気づくことができないのです。

糖尿病が進行したときに出てくる症状

初期に自覚症状が出ない糖尿病ですが、進行して重症化すると体調が次のように悪化します(*5)。

■糖尿病が重症化したときに出てくる自覚症状
・喉が渇く、水をよく飲む
・尿の回数が増える
・体重が減る、食べても体重が増えない
・疲れやすくなる
・意識障害を起こす

このような自覚症状が出てからでは遅い、と思っておいて間違いありません。

体重について解説します。

肥満=体重増は糖尿病リスクになりますが、糖尿病の重症化による自覚症状には含まれていません。ただしリスク要因であることには間違いないので体重増に注意しなければなりません。

そして重症化した糖尿病の症状には、体重減が含まれます。糖尿病では、血液中のブドウ糖を細胞に取り込むインスリンの働きが弱まるので、細胞はブドウ糖を利用することができず、その代わり脂肪や筋肉のタンパク質を利用するようになります。脂肪と筋肉が減るので体重減を引き起こします。

*5 糖尿病情報センター 糖尿病とは

まとめ~健康管理をしましょう

記事の内容を箇条書きでまとめます。

・糖尿病の初期は自覚症状がないのが一般的
・糖尿病の初期をとらえるには、血液検査が一番。健康診断を受けましょう
・糖尿病リスク(肥満、食べすぎ、運動不足、遺伝)がある人は警戒を強めて
・糖尿病で早期発見・早期治療が重要になるのは合併症を引き起こさないため
・糖尿病が重症化すると自覚症状が出てくるが、それはもはや危険信号

糖尿病は恐い病気ですが、リスクが増大していることを知ることができる病気であり、対策を取ることができます。

健康管理を徹底して、糖尿病を起こさないようにしましょう。

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