「幹細胞培養上清液の効果」をエビデンスを示して解説
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幹細胞培養上清液については、大学(医学部)や研究者、医師、医療系企業などが研究と開発を重ね、その効果を実証しようとしていて、一部は実証されています。
また厚生労働省も幹細胞培養上清液に関心を払っています。
そこでこの記事では「幹細胞培養上清液に期待できる効果」をエビデンス(科学的、医学的根拠)を示しながら解説します。
【基礎知識】幹細胞培養上清液とは何か、なぜ期待されているのか
エビデンスを示す前に、幹細胞培養上清液の基礎知識を紹介します。
幹細胞とは、さまざまな細胞になることができる細胞のことで、心臓の細胞も脳や血液の細胞も、幹細胞からつくられます。
幹細胞の培養とは、研究室で幹細胞を増やす作業のことです。
そして上清液とは上澄み液のことで、したがって幹細胞培養上清液とは、幹細胞を培養するときに使う液体の上澄み液、という意味になります。
幹細胞という極めて重要な細胞が浸かっていた液体であれば、上澄み液にも重要な成分が含まれているのではないかという推測のもと研究が進められ、実際に良い結果が発表されています。
自治医科大は難治性疾患の治療法を確立するために
それでは幹細胞培養上清液の効果を示すエビデンスを紹介していきます。
科学研究費(科研費)助成事業は、日本学術振興会が独創的、先駆的な研究に対して助成を行うものです。
自治医科大(医学部)の研究チームは2020年に「幹細胞培養上清の浄化濃縮法の開発と再生医療への応用」の研究で、429万円の科研費を獲得しました(*1)。
幹細胞培養上清液関連の研究が独創的・先駆的と認められたわけです。
組織の修正・再生の効果を期待
自治医科大の研究チームは幹細胞培養上清液を研究する意義について、「再生医療において幹細胞が分泌する液性因子の効果が注目される」と述べています。幹細胞が分泌する液性因子こそ、上清液に含まれる期待の物質です。
さらに「ヒト脂肪幹細胞の培養上清には、細胞が分泌する増殖因子や血管新生因子、酵素などが含まれており、組織の修復再生への効果が期待される」ともコメントしています。
組織とは人体を構成している組織のことで、幹細胞培養上清液にこれを修復、再生する効果があると推測していることがわかります。
治すのが難しい病気の治療に使えるのではないか
この研究の目的は、質の高い幹細胞培養上清液をつくること。これを「浄化濃縮幹細胞培養上清(液)」と呼んでいます。
ではなぜ同研究チームは、上質の幹細胞培養上清液をつくろうとしているのでしょうか。
それは「難治性疾患の新たな再生治療法を確立する」ためです。治すのが難しい病気の治療に幹細胞培養上清液が役立つのではないか、と考えこの研究に着手しました。
日本歯科大学はパーキンソン病の治療のために
日本歯科大学の研究チームも科研費を獲得しています。研究テーマは「口腔内から採取したヒト組織幹細胞培養上清を用いたパーキンソン病への再生開発」(*2)。
幹細胞は体内の複数の場所に存在しますが、同大の研究チームは口のなかの幹細胞を使うことにしました。
低リスクの治療法の確立を目指す
同大の研究チームはこれまで、幹細胞からつくった神経系細胞を、パーキンソン病を発症した動物の脳に移植して、症状を回復させることに成功しています。
この研究結果から、幹細胞培養上清液でパーキンソン病を治療できないか、と考えました。
同研究チームは「ヒト組織幹細胞(頬脂肪体由来幹細胞と歯髄幹細胞)の培養上清を使用した新規の神経再生療法を開発」したい、としています。
研究チームによると、パーキンソン病の根本的な治療として細胞移植という方法が検討されていますが、これは当然ながら細胞を必要とします。
しかし幹細胞培養上清液でパーキンソン病を治すことができれば、細胞を使わなくて済みます。
そのため幹細胞培養上清液なら「ヒト組織幹細胞移植療法以上に、感染や免疫にも倫理的にも問題はなく、腫瘍形成のリスクもない」と考え、この研究に着手しました。
痛みを和らげる治療を開発するために
国際抗老化再生医療学会雑誌に「筋骨格系疼痛に対する間葉系幹細胞培養上清液の治療効果」(三島雅辰著)という論文が掲載されました(*3)。
また「ヒト由来間葉系幹細胞培養上清による肺疾患に関する研究」(研究責任医師、稲見則仁)という研究も公開されています(*4)。
この2つの研究は、幹細胞培養上清液に病気による痛みを和らげる効果があるのではないか、という仮説のもと進められています。
いずれも大規模な研究ではありませんが、幹細胞培養上清液に高い効果を期待する医師・研究者がいることがわかります。
幹細胞培養上清液で特許を取った医療企業も
細胞培養などを手がける株式会社バイオミメティクスシンパシーズ(本社・東京都江東区、資本金約18億円)は、「間葉系幹細胞の培養上清を含む剤」で特許を取得しています(*5)。
「間葉系幹細胞の培養上清を含む剤」は要するに特殊な幹細胞培養上清液です。
特許権者は同社ですが、「間葉系幹細胞の培養上清を含む剤」を発明したのは3人の医師です。
この特殊な幹細胞培養上清液は、腸炎の予防剤や治療剤に使う目的でつくられました。そして同社はさらに、美容目的でも使うことを目指しています(*6)。
厚生労働省のグループも高い関心を示す
厚生労働省も幹細胞培養上清液に注目しています。
同省に「再生医療等安全性確保法の見直しに係るワーキンググループ」というチームがあります。同グループは国内の再生医療研究の第一人者たちで構成され、再生医療や遺伝子治療のルールづくりをすすめています(*7)。
再生医療と幹細胞は深く関わっていて、例えば再生医療の1つに、培養して増やした幹細胞を患者さんの体内に移植する治療法があります(*8)。
同グループの第2回会合(2021年1月開催)でエクソソームについて話し合われました(*9)。
エクソソームの可能性と注意点
エクソソームとは幹細胞から分泌される、直径50~150ナノメートルほどの微小な顆粒状の物質です。エクソソームにもDNAやRNAを含む核酸やタンパク質といった細胞内物質が含まれます。
エクソソームが幹細胞から分泌されるということは、幹細胞が入っていた幹細胞培養上清液にも含まれているはずです。そしてエクソソームこそ、幹細胞培養上清液の有効成分なのです。
同グループはエクソソームについて「さまざまな疾患に対する新規治療方法の候補として注目されている」と認識しています。
その一方で「エクソソームなどについて、科学的な観点からは、現状、新規医療技術として再生法の対象とするのは困難であると結論づけた」とするなど、課題も提起しています。
さらに幹細胞培養上清液については、「リスクが懸念されるところであり、技術の規制の在り方を検討することが重要である」とも指摘しています。
期待が大きく注目されている幹細胞培養上清液だけに、その利活用には一定の規制が必要なのでしょう。
エクソソームはコラーゲン産生に関わる
エクソソームについては興味深い研究結果があります。
藤田医科大学と日本メナード化粧品株式会社は共同で、幹細胞から分泌されるエクソソームに皮膚のコラーゲンの産生に関わる作用があることを突き止めました(*10)。
コラーゲンは加齢とともに減少することが知られていて、これが皮膚の老化の一因とされています。この研究結果は老化防止作用を期待させます。
まとめ~このような方におすすめします
この記事の内容を箇条書きでまとめます。
・幹細胞培養上清液の効果を期待する大学(医学部)、研究者、医師、医療系企業がありさまざまな角度から研究、開発が行われている
・期待される効果には、難治性疾患の治療、パーキンソン病の治療、痛みの緩和、腸炎の予防、美容、再生医療、コラーゲン産生などがある
幹細胞培養上清液を使った治療はすでに始まっていて、当院ヒロオカクリニックでも次のような症状や関心を持つ方におすすめしています(*11)。
■幹細胞培養上清液を使った治療をおすすめする方
・慢性疼痛に悩まされている方
・五十肩に悩まされている方
・ゴルフ肘に悩まされている方
・自己免疫疾患の患者さん
・更年期障害の患者さん
・アンチエイジングに関心がある方
・心筋梗塞後、脳梗塞後の患者さん
・コロナ後遺症の患者さん
・花粉症患者さん
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新宿 ヒロオカクリニックでは幹細胞上清液の治療を行っております。
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