雇い入れ時健康診断とは 検査項目について
INDEX
企業は労働者を雇用するとき、その労働者に健康診断を受診させなければなりません。
これを雇い入れ時健康診断といい、労働安全衛生規則という法令で定められています(*1)。
この記事では、雇い入れ時健康診断で行われる検査項目を紹介します。また、雇い入れ時健康診断を行う意義についても解説します。
検査項目は11ある
雇い入れ時健康診断では、次の11の検査を受けることになります。
1)既往歴と業務歴の調査
2)自覚症状と他覚症状の有無の検査
3)身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査
4)胸部エックス線検査
5)血圧の測定
6)貧血検査
(血色素量と赤血球数の検査)
7)肝機能検査
(血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)の検査)
8)血中脂質検査
(低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)、血清トリグリセライドの量の検査)
9)血糖検査
10)尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11)心電図検査
多いと感じるかもしれませんが、6)7)8)9)は1回の血液検査(採血)で済みます。
企業などで働いていると、年1回、定期健康診断を受けなければなりませんが、その検査項目とほぼ同じです。
健康診断は原則、医療機関で受けることになります。
雇い入れ時健康診断の対象者とは
企業が雇い入れ時健康診断を行わなければならないのは、「常時使用する労働者」に限られます。それ以外の働く人は、受けなくてもよいことになっています。
「常時使用する労働者」は次の2つの条件に合う人です。
条件A:雇用期間の定めがない労働契約で雇用される
条件B:1週間の所定労働時間が、通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上
いわゆる正社員は2つの条件に当てはまります。
ただし、条件Aには例外があります。雇用期間の定めがあっても、「契約期間が1年以上」「契約更新によって1年以上使用される予定がある」「契約更新によって1年以上引き続き使用されている」場合、条件Bをクリアすれば、企業は雇い入れ時健康診断を行わなければなりません。
また条件Aに合致して、条件Bを満たさなくても、1週間の所定労働時間が通常の労働者の1週間の所定労働時間の2分の1以上の場合、雇い入れ時健康診断を「行うことが望ましい」とされています。
雇い入れ時健康診断の費用は原則、企業が負担する
雇い入れ時健康診断の費用は、大体1万円~1万5千円くらいかかります。公的医療保険は使えません。
ちなみに当院の健診メニューでは「法定健診B」のコースが雇入れ時健康診断および1年に1回の法定で義務づけられている定期健康診断の項目を網羅しております。
では、この費用は、企業が負担するのでしょうか、労働者が負担するのでしょうか。
実は法令では、どちらが負担すべきか定めていません。
しかし、企業が負担すべきである、との見解が有力です。
その根拠は2つあります。
まず、法令は「企業に対して」雇い入れ時健康診断の実施を指示しています。そうであるならば、費用も当然、企業が負担すべきであると考えることができます。
また、厚生労働省(当時は労働省)は、企業が労働者に対して行う定期健康診断の費用は、事業者が負担すべきとの見解を示しています(*2)。これは定期健康診断のルールですが、雇い入れ時健康診断も「同じ健康診断」なので、やはり企業が負担すべきであると考えることができます。
3カ月以内の健康診断結果なら雇い入れ時に使える
雇い入れ時健康診断には「3カ月ルール」があります。労働者が入社するときに、その前3カ月以内に健康診断を受けていて、その結果を証明する書類を企業に提出すれば、雇い入れ時健康診断は行なわなくてよい、という決まりです。
例えば、労働者が会社の健康診断を受けて、それから3カ月以内に退職して他社に入社した場合、その新しい会社に前の会社の健康診断の結果を提出すれば、雇い入れ時健康診断は受けなくてよくなります。
なぜ雇い入れ時に健康診断を課しているのか
雇い入れ時健康診断を行う目的は、企業が、労働者の健康状態を把握することです。
ではなぜ企業は、労働者の健康状態を、雇うときに把握していないといけないのでしょうか。それは、適正配置をするためと、入社後の健康管理をするためです。
業務内容によっては、その業務を遂行するために一定の健康状態が必要になります。企業側が、雇い入れ時健康診断の結果を把握していれば、適材適所の配置ができます。
また、企業は労働者の健康の増進と維持に努めなければなりません。企業は雇用した労働者に、年1回以上の定期健康診断を行わなければなりません。雇い入れ時健康診断は、その第1歩になるわけです。
なお企業は、雇い入れ時健康診断の結果を受けて、内定を出していた人を不採用にすることはできません。
まとめ~健康経営への投資
企業には今、健康経営が求められています。従業員の健康があってこその企業の繁栄ですので、従業員の健康を考えることは経営者の責務と考えられているのです。
雇い入れ時健康診断は、法令でその実施が義務づけられていて、企業には少なからぬコストが発生しますが、健康経営に寄与することを考えると、むしろ「投資」と考えたほうがよいでしょう。
また労働者は、雇い入れ時健康診断を受けることで、自分の健康状態を客観的に把握することができます。
企業は労働者を雇用するとき、その労働者に健康診断を受診させなければなりません。
これを雇い入れ時健康診断といい、労働安全衛生規則という法令で定められています(*1)。
この記事では、雇い入れ時健康診断で行われる検査項目を紹介します。また、雇い入れ時健康診断を行う意義についても解説します。
検査項目は11ある
雇い入れ時健康診断では、次の11の検査を受けることになります。
1)既往歴と業務歴の調査
2)自覚症状と他覚症状の有無の検査
3)身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査
4)胸部エックス線検査
5)血圧の測定
6)貧血検査(血色素量と赤血球数の検査)
7)肝機能検査(血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)の検査)
8)血中脂質検査(低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)、血清トリグリセライドの量の検査)
9)血糖検査
10)尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11)心電図検査
多いと感じるかもしれませんが、6)7)8)9)は1回の血液検査(採血)で済みます。
企業などで働いていると、年1回、定期健康診断を受けなければなりませんが、その検査項目とほぼ同じです。
健康診断は原則、医療機関で受けることになります。
雇い入れ時健康診断の対象者とは
企業が雇い入れ時健康診断を行わなければならないのは、「常時使用する労働者」に限られます。それ以外の働く人は、受けなくてもよいことになっています。
「常時使用する労働者」は次の2つの条件に合う人です。
条件A:雇用期間の定めがない労働契約で雇用される
条件B:1週間の所定労働時間が、通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上
いわゆる正社員は2つの条件に当てはまります。
ただし、条件Aには例外があります。雇用期間の定めがあっても、「契約期間が1年以上」「契約更新によって1年以上使用される予定がある」「契約更新によって1年以上引き続き使用されている」場合、条件Bをクリアすれば、企業は雇い入れ時健康診断を行わなければなりません。
また条件Aに合致して、条件Bを満たさなくても、1週間の所定労働時間が通常の労働者の1週間の所定労働時間の2分の1以上の場合、雇い入れ時健康診断を「行うことが望ましい」とされています。
雇い入れ時健康診断の費用は原則、企業が負担する
雇い入れ時健康診断の費用は、大体1万円~1万5千円くらいかかります。公的医療保険は使えません。
ちなみに当院の健診メニューでは「法定健診B」のコースが雇入れ時健康診断および1年に1回の法定で義務づけられている定期健康診断の項目を網羅しております。
では、この費用は、企業が負担するのでしょうか、労働者が負担するのでしょうか。
実は法令では、どちらが負担すべきか定めていません。
しかし、企業が負担すべきである、との見解が有力です。
その根拠は2つあります。
まず、法令は「企業に対して」雇い入れ時健康診断の実施を指示しています。そうであるならば、費用も当然、企業が負担すべきであると考えることができます。
また、厚生労働省(当時は労働省)は、企業が労働者に対して行う定期健康診断の費用は、事業者が負担すべきとの見解を示しています(*2)。これは定期健康診断のルールですが、雇い入れ時健康診断も「同じ健康診断」なので、やはり企業が負担すべきであると考えることができます。
3カ月以内の健康診断結果なら雇い入れ時に使える
雇い入れ時健康診断には「3カ月ルール」があります。労働者が入社するときに、その前3カ月以内に健康診断を受けていて、その結果を証明する書類を企業に提出すれば、雇い入れ時健康診断は行なわなくてよい、という決まりです。
例えば、労働者が会社の健康診断を受けて、それから3カ月以内に退職して他社に入社した場合、その新しい会社に前の会社の健康診断の結果を提出すれば、雇い入れ時健康診断は受けなくてよくなります。
なぜ雇い入れ時に健康診断を課しているのか
雇い入れ時健康診断を行う目的は、企業が、労働者の健康状態を把握することです。
ではなぜ企業は、労働者の健康状態を、雇うときに把握していないといけないのでしょうか。それは、適正配置をするためと、入社後の健康管理をするためです。
業務内容によっては、その業務を遂行するために一定の健康状態が必要になります。企業側が、雇い入れ時健康診断の結果を把握していれば、適材適所の配置ができます。
また、企業は労働者の健康の増進と維持に努めなければなりません。企業は雇用した労働者に、年1回以上の定期健康診断を行わなければなりません。雇い入れ時健康診断は、その第1歩になるわけです。
なお企業は、雇い入れ時健康診断の結果を受けて、内定を出していた人を不採用にすることはできません。
まとめ~健康経営への投資
企業には今、健康経営が求められています。従業員の健康があってこその企業の繁栄ですので、従業員の健康を考えることは経営者の責務と考えられているのです。
雇い入れ時健康診断は、法令でその実施が義務づけられていて、企業には少なからぬコストが発生しますが、健康経営に寄与することを考えると、むしろ「投資」と考えたほうがよいでしょう。
また労働者は、雇い入れ時健康診断を受けることで、自分の健康状態を客観的に把握することができます。
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