胃カメラとは?費用や検査でわかることなどを解説
INDEX
40歳を過ぎると、周囲で「胃カメラ検査を受けた」という話をちょっとした機会に耳にすることが増えてきます。一方で、「自分もそろそろ受けたほうがいいのか」と思いつつ、次のような疑問や不安が払拭できず検査を受けていないという方も少なくないようです。
- ・胃カメラ検査は保険が使えるのか?
- ・検査にはどのくらい費用がかかるのか?
- ・胃カメラ検査は何がわかって、どんなメリットがあるのか?
- ・胃カメラは「苦しい」「痛い」と聞くが、楽にできる方法はあるのか?
そこで今回は上記の不安や疑問をお持ちの方へ、胃カメラ検査の費用や目的、メリット、注意点などを詳しく解説していきましょう。
胃カメラ検査の費用相場 検査に保険を適用させるには?
はじめに、胃カメラ検査の費用について保険・保険外を含め詳しくご紹介します。
保険適用は「医師が検査を必要とした場合」のみ
胃カメラ検査の費用は、何らかの病気の疑いがある、あるいは他の検査で異常が見つかったなどの理由で医師が必要と判断した場合に保険が適用できます。とくに症状もなく、病気の早期発見や「何となく受けてみたい」という理由での胃カメラ検査は自由診療(保険適用外)となるためご注意ください。
胃カメラ検査のほかに「何をしたか」で費用が変わる
胃カメラ検査の費用は、胃カメラのほかにどんな処置や検査をするかで費用が大きく変わります。例えば、胃カメラ検査では、あわせて胃ガンの原因であるピロリ菌の有無を調べる検査や、胃粘膜の萎縮の程度を調べる検査などをおこなうことができます。以下に、胃カメラ検査の費用に含まれる処置や検査をまとめましたので、検査を受ける際の参考にしてください。
「胃カメラ検査」の際に発生する費用 |
---|
|
保険診療の費用相場は5,000円~15,000円(3割負担の場合)
胃カメラ検査を保険診療で受けた場合、費用の相場はおよそ5,000円から15,000円前後です。胃カメラ検査の費用自体は3,420円(3割負担)ですが、これに初診料や他の検査・処置の費用が加算されていきます。
自費診療(保険適用外)の費用相場は10,000円~25,000円
胃カメラ検査を自由診療(保険適用外)で受けた場合、費用の相場は10,000円から25,000円前後です。これにピロリ菌検査や病理組織検査(生検)をあわせて行う場合は、この金額に別途費用が加算されます。自由診療は医療機関が各自で金額を設定できるため、同じ検査内容でも受診する施設によって費用は異なります。したがって、受診の際は必ず事前に費用を確認しておきましょう。
そもそも「胃カメラ」とは? 検査でわかること
ある程度の費用の目安がわかったところで、次に胃カメラ検査とはそもそもどんな検査なのか、検査で何がわかるのかをご紹介していきましょう。
食道・胃・十二指腸の内部を直接カメラで観察
胃カメラ検査は正式名を「上部消化管内視鏡検査」といいます。のどの奥に麻酔をし、鼻や口から内視鏡を入れて食道や胃、十二指腸の内部を直接観察していきます。胃の検査では「バリウム検査(上部消化管造造影検査)」が有名ですが、バリウム検査は胃に放射線を当てて粘膜の形や大きさなどを確認する検査です。胃の全体像を把握するのが「バリウム検査」なのに対し、胃カメラ検査は胃の内部を細かく観察し、異常を調べる検査といえます。
ガンや胃潰瘍、ポリープの早期発見に有効
胃カメラ検査では、食道や胃、十二指腸などにできる潰瘍や炎症、出血、ポリープ、ガンなどの病変を見つけることができます。胃カメラ検査を定期的に受けると、以下の表にある病気の早期発見に非常に有効です。
胃カメラ検査で早期発見ができる病気 |
---|
|
胃カメラ検査で胃ガン死亡率が減少
胃カメラ検査とバリウム検査は、胃ガンの死亡率を減少させることが科学的にも証明されています。胃ガンは日本人がかかるガンで3番目に多く、さらに死亡率も肺、大腸に次いで3番目に高い病気です。
近年は、原因となるピロリ菌検査の充足や治療技術の向上により、死亡率は年々減少傾向にあります。一方で、早期の胃ガンは自覚症状に乏しく、不調を感じた時には病状が進行して治療が困難になるケースも少なくありません。
したがって、死亡率を下げるためには胃カメラ検査による定期的なチェックが必須といえます。実際に、胃カメラ検査を受けている人は受けていない人と比べて、死亡率が47%も減少したという報告もあります。
胃カメラ検査のメリット
胃カメラ検査には次のようなメリットがあります。
粘膜の性状・凹凸・色が直接確認できる
胃カメラ検査は小型カメラで胃の中を直接観察しながら、わずかな粘膜の隆起や凹み、色の変化、模様の違いなどを確認できます。これに対して、バリウム検査は胃の形や表面の凹凸は把握できるものの、平らな病変や色の違いなどは確認できません。したがって、胃の内部の異変を探知したい場合は、バリウム検査よりも胃カメラ検査のほうが適しています。
小さな病変を発見できる
胃カメラ検査は1㎜程度の小さな病変でも発見できます。ズーム機能を使えば、その病変の詳しい様子を見ることも可能です。これにより、検査の段階でその病変が悪性なのか良性なのか、ある程度の目安がつけられます。
食道ガンを発見しやすい
胃カメラ検査は胃のほかに、食道や十二指腸の内側の様子も隅々まで観察できます。これまで主流だったバリウム検査は、食道内でバリウムが流れてしまうため病変を見つけるのが困難でした。そのため、食道ガンは発見が難しいガンの1つとされていましたが、胃カメラ検査の発達により早期発見が可能となっています。
気になる部位の採取・検査が可能
胃カメラ検査の他の検査にない特長の1つが、検査で見つかった病変の一部をそのまま採取し、すぐに組織検査がおこなえる点です(生検・病理組織検査)。病変の発見から詳しい検査、確定診断までがスピーディなのも、胃カメラ検査の大きな利点といえます。
早期の小さなガンや出血を治療できる
胃カメラ検査のさらなる強みは、検査と一緒に治療ができる点です。例えば、検査中に小さなガンが見つかった場合、スコープの先からハサミを出して病変を切除できます。また、胃潰瘍による出血も、クリップで患部を挟む止血処置が行えます。
胃カメラ検査のデメリット
良いところだけに感じられる胃カメラ検査ですが、一方でデメリットもあります。胃カメラ検査を検討の際は以下にあげるデメリットもよく理解したうえで、検査にのぞみましょう。
バリウム検査よりも費用が高い
同じ胃の検査でも、胃カメラ検査はバリウム検査よりも費用が高く設定されているのが一般的です。保険適用外で比較した場合、胃カメラ検査のほうがバリウム検査よりも1万円前後高い傾向があります。
胃の全体像を診るのは不向き
胃カメラ検査で一度に確認できるのは、先端のカメラが映し出す範囲に限られます。したがって、胃の動きや形の異常、ならびに胃の全体像を知りたい場合は胃カメラ検査よりもバリウム検査のほうが向いています。
薬物によるアレルギー反応を生じる場合がある
胃カメラ検査では前処置として「のどの麻酔」を行いますが、稀にその麻酔薬でアレルギー反応を引き起こすことがあります。数万人に1人と確率は非常に低いのですが、アレルギー体質の方や歯科治療の麻酔でトラブルになった経験のある方などはとくに注意が必要です。ただ、その場合でもアレルギー反応の少ない別の麻酔で対応できるため、心配な方は事前に担当医に相談しておきましょう。
カメラ挿入時に違和感やえずき(嘔吐反射)を生じることがある
胃カメラ検査は事前に麻酔をするとはいえ、カメラがのどを通る時の違和感をゼロにはできません。とくに、嘔吐反射(えずき)の強い方の苦痛は大きく、「二度と検査を受けたくない」と感じる方も少なくないようです。対策として「鼻から入れる(経鼻)胃カメラ検査を選ぶ」「鎮静剤を使って眠った状態で検査を受ける」などがあります。
鎮静剤を使用する場合は移動手段に制限がある
胃カメラの挿入に不安がある場合、その解決策の1つとして鎮静剤の使用があります。鎮静剤を使用すると眠った状態で検査を受けられ、痛みや違和感、不快感が軽減できます。一方で、検査で鎮静剤を使用する場合は、当日に車や自転車の運転ができません。移動手段は電車やバスなどの公共交通機関のみとなるため注意が必要です。
胃カメラ検査は「鼻から(経鼻)」と「口から(経口)」のどちらが楽?
胃カメラ検査には、カメラのついたスコープを口から入れるタイプ(経口)と、鼻から入れるタイプ(経鼻)の2種類の方法があります。一般に、「検査が楽」と言われるのは鼻から入れる経鼻内視鏡です。以下にそれぞれの特徴や比較などをご紹介していきましょう。
鼻から(経鼻)のほうが苦痛は軽減
鼻から(経鼻)の胃カメラのメリットは、スコープを挿入する際に舌の奥の部分を刺激せず「オェッ」となる不快感(嘔吐反射)が起こりくい点です。とはいえ、鼻から入れると聞くと「それはそれで痛いのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
ただ、経鼻内視鏡は直径5~6㎜ほどと非常に細いため、痛みや不快感がほとんどありません。また、かつては「画質が悪い」と言われていた経鼻内視鏡ですが、近年はカメラの精度も上がってその問題も解決されています。したがって、検査を楽に受けたい場合は鼻から入れる胃カメラをおすすめします。
鼻腔が狭い場合は口から(経口)になる場合も
胃カメラ検査の苦痛を軽減できる経鼻内視鏡ですが、一方で鼻腔内がもともと狭い方の場合は、スコープを挿入する際に痛みを感じやすくなります。また、スコープの太さよりも鼻腔がせまい方や花粉症・鼻ポリープなどの疾患がある方は、経鼻内視鏡が選べない場合があります。
胃カメラ検査の流れと所要時間・注意点
ここでは、胃カメラ検査の流れや所要時間、各ステップにおける注意点などをご紹介していきます。
【検査前日】食事は21時まで!それ以降の飲食はNG(水はOK)
胃カメラ検査の前日は夕食をすませた後、夜21時から翌日の検査終了まで絶食となります。医療機関によっては「20時以降」というところもあるため、何時以降から飲食禁止かを事前によく確認しておきましょう。なお、のどが渇いたら水は飲んでも問題ないため、水分補給はしっかりおこないましょう。また、普段から服用している薬がある場合は、担当医にご相談ください。
【検査当日】検査時間は10分~20分ほど(トータルで1~2時間)
起床後にのどが渇く場合は、受診2時間前までにコップ1杯程度の水であれば飲んでも問題ありませんが、その他の飲食(朝食やアメ、ガムなど)は控えてください。
処置室で検査に必要な薬剤を服用したのち、のどの奥に麻酔をしたら検査開始です。胃カメラ検査にかかる時間の目安は10分~20分ほどで、トータルの所要時間は1~2時間程度です。
【検査終了後】麻酔の効果が消えたら飲食OK
検査が終わったら少し休憩をはさみ、その後医師から結果の説明を受けます。なお、胃カメラ検査中に生検(組織を切り取って調べる検査)を実施した場合は、後日その結果を聞くための再受診が必要です。胃カメラ検査終了後、1時間ほど経って麻酔が切れたら飲食ができます。ただし、油分の多いものやアルコールは控えるようにしましょう。
胃カメラ検査の医療機関の選び方
最後に、胃カメラ検査を受ける医療機関を選ぶ際のポイントをご紹介しましょう。
日本消化器内視鏡学会専門医が在籍している
胃カメラ検査を受ける際は、内視鏡の専門医が在籍しているかをまず確認してみましょう。内視鏡専門医は、日本消化器内視鏡学会が一定の水準以上の技術があると認めた内視鏡検査のスペシャリストです。技術スキルの高い専門医による検査は痛みなどの不快感も少なく、個々の事情に応じて対応してくれるため安心して検査が受けられます。
「経口」と「経鼻」のいずれかが選択できる
胃カメラ検査も近年は自分に合う方法を選べるようになっています。経口と経鼻にはそれぞれにメリット・デメリットがありますが、それをよく理解したうえでいずれかを選択できる医療機関を選びましょう。
検査に続き、消化器内科の診療を受けられる
胃カメラ検査、同じ施設内で診察や治療が受けられる医療機関を選ぶのもポイントの1つです。検査結果を持ち帰ったり、同じ説明をもう一度受けたりする時間や手間が省けます。胃カメラ検査の場合は、消化器内科を専門にする医師が在籍しているとなおよいでしょう。
まとめ
以上の内容を簡単にまとめると、胃カメラ検査で押えておきたいのは次の4つのポイントです。
- ・胃カメラ検査は「医師が必要」と判断した場合のみ費用に保険が適用できる
- ・自由診療(保険適用外)の胃カメラ検査の費用の目安は1万円~2万5千円前後
- ・胃カメラ検査は胃ガンの早期発見や死亡率の低下に有効
- ・口から(経口)よりも鼻から(経鼻)のほうが検査の苦痛は軽減できる
ヒロオカクリニックの健診センターには、日本消化器学会が認めた内視鏡専門医・認定医が多数在籍しています。内視鏡のスペシャリストが個々の状況にあわせて検査を痛みなくスムーズに進めてまいります。また、当院には消化器内科専門外来も設置しておりますので、検査に続き専門医による診療を受けていただくことも可能です。
ヒロオカクリニックの胃カメラ検査は月・火・水・金の週4回実施しています。ご興味のある方は、ぜひ本サイトの「予約・お問い合わせ」よりお気軽にお申込みください。