【秋と冬の花粉症】寒い季節ならではのアレルギーも紹介
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花粉症は春先、せいぜい夏までの病気――と思っていると、秋と冬に発症する花粉症に気づきにくくなります。
秋と冬に鼻がグジュグジュしてくしゃみが出ると「冷え込んできたから風邪を引いたかな」と思うかもしれませんが、花粉症の可能性もあります。
秋と冬の花粉症の特徴を紹介したうえで、注意の仕方を解説します。
【秋】道ばたの背の低い草花がリスキー
東邦大学医療センターは、「秋にくしゃみ、鼻づまり、微熱が出たら花粉症を疑ってみて」と呼びかけています(*1)。
秋の花粉症の原因になりやすいのは、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ。いずれも道ばたによく生えている背の低い草花です。
秋の花粉症の特徴は、スギやヒノキ以外の植物が原因になることです。
「3番目のブタクサ」は8~10月に注意
ブタクサの花粉が飛ぶ時期は8~10月といわれています。そしてブタクサは、スギとヒノキに次ぐ、花粉症の原因になりやすい植物です。
ブタクサの花粉は遠くまで飛ばないので、近づかなければ吸わずに済みます。河原をウォーキングする人などは、ブタクサが生えている場所をチェックしてそこを通らないようにしたほうがよいでしょう。
ヨモギは空き地に注意
ヨモギの花粉も8~10月に飛来します。河原のほか、空き地にもよく生えます。
最近は都会でも都心部を少し離れると空き地があることが多くなっていると思うので油断禁物です。
カナムグラも身近な植物
カナムグラも8~10月に飛散、道ばたによく生えているという点が、ブタクサとヨモギと共通しています。
【冬】早くもスギとヒノキに「やられる」ことも
冬の花粉症の原因になりやすいのは、「日本の花粉症原因の2トップ」であるスギとヒノキです(*2)。
いずれも春の原因のイメージが強いのですが、スギは2月から、ヒノキは3月から花粉を飛ばし始めます。北の地方だと3月はまだ冬だと思います。
スギとヒノキは冬でも強い、と覚えておいてください。
しっかり寒い時期に風邪のような症状が出て、風邪薬を飲んでも効果が出ない場合「冬の花粉症かも」と疑ったほうがよいでしょう。
強さの秘密は飛距離とほぼ全国区であること
スギとヒノキが、花粉症の方を猛烈に苦しめる力を持っているのは、飛散量が多く、飛散距離が長く、ほぼ全国に生息しているからです。
そしてスギで花粉症を発症した人が、ヒノキでも発症するようになると重症化しやすい傾向があります。
スギ対策がヒノキ対策になる場合とならない場合
久留米大学先端癌治療研究センターによると、スギ花粉症の治療法であるアレルゲン特異的免疫療法は、ヒノキ花粉症への治療効果も期待できます。
しかしまれに、このアレルゲン特異的免疫療法が、ヒノキ花粉が飛んでいる時期に効果を生まないことがあります。
スギ対策がヒノキ対策になる場合とならない場合があるのは、特殊な花粉と特殊な体質のせいと考えられています。
同研究センターは、ヒノキの花粉にChao3というアレルゲンがあることをみつけました。このChao3に反応する体質を持つスギ・ヒノキ花粉症患者さんは、スギ対策のアレルゲン特異的免疫療法だけではヒノキ対策にならないことがあります(*2)。
冬は「アレルギーの季節」
人によっては、冬は、花粉症以外のアレルギー症状に警戒する必要があります。
冬は意外に「アレルギーの季節」なのです。
寒暖差アレルギー
冬のアレルギーで注意したいのは寒暖差です。気温差が大きくなると鼻炎、鼻水、鼻づまり、くしゃみが起きることがあり、これを寒暖差アレルギーといいます。
冬は暖かい部屋から寒い外に出ることがあり、この急激な温度変化がアレルギー症状を引き起こすことがあります。
7度以上の差がある場合は要注意です。スキー場では、ポカポカしたレストハウスから外に出ると簡単に7度以上下がります。
暖房器具アレルギー
暖房器具がアレルギー症状を引き起こすことがあります。
風を起こすタイプの暖房器具だと、そのなかにホコリ、カビ、ダニが付着しているとそれが部屋中に飛散してしまいます。
しかも冬は室内を閉め切ることが多いので、なおホコリ、カビ、ダニの被害に遭いやすくなってしまいます。
まとめに代えて~まずは原因の特定、次に対策を
秋と冬の花粉症は意外に思われやすいだけに警戒が必要です。
さらに冬になると花粉以外のアレルギーの原因が飛び回る可能性があるので注意したいものです。
ただ「注意」といっても、何が原因で花粉症やアレルギー症状が起きているのか特定しないことには対策の取りようがありません。
そこでまずは、花粉症のような症状が出たらクリニックにかかり、検査を受けて原因を特定しましょう。
原因がわかれば、その原因に近づかないようにすることができます。