誰でも発症する熱中症 原因を知って対策を取りましょう

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毎年7万人が救急搬送され、毎年1,000人が死亡する病気(症状)をご存知でしょうか。
熱中症です。
熱中症は暑い気温に耐えられない弱い人が発症する、と思っていたら、その認識をぜひあらためてください。
熱中症は誰にでも起こり得ます。
熱中症の原因を知って正しい対策を取りましょう。

熱中症の発生状況:7万人搬送、千人死亡

総務省は毎年、5~9月の期間の熱中症による救急搬送状況をまとめています。それによると2019年5~9月の全国の熱中症救急搬送は71,317人でした(*1)。2018年は95,137人と10万人に迫る勢いでした。

厚生労働省の「年齢別にみた熱中症による死亡数」によると、2018年の全国の熱中症死亡者数は1,581人です(*2)。2017年は635人でしたが、2010年は1,731人と2,000人にかなり近づきました。
熱中症の発症は気温と湿度に影響されるので、年ごとにばらつく傾向があります。

高齢者が多いが20~40代、幼児も

2018年の熱中症死亡者1,581人のうち、65歳以上は1,288人で全体の81%を占めます。
そのため熱中症は、特に高齢者が注意すべき病気といえます。

しかし2018年の死亡者のなかには、0~4歳2人、5~9歳1人と幼い子供も含まれています。また20代は8人、30代は13人、40代は61人が亡くなっていて、若い人にとっても恐い病気ということができます。
熱中症に注意しなくて良い人はいません。

熱中症が起きるメカニズム

熱中症の最も根源的な原因は暑さです。日本の夏の暑さは「異常」と呼ばれるレベルに達していますが、春と秋も油断できません。総務省が熱中症救急搬送の状況を5~9月の期間で調べているのは夏(6~8月)だけでなく、春(5月)や秋(9月)も警戒すべきと考えているからです。
熱中症の発症メカニズムをみていきましょう。

体温が高くなって失神、けいれん、意識障害が起きる病気

熱中症は、体温が異常に高くなって失神、けいれん、意識障害が起きる病気です。
そして最悪の場合、死亡することもあります。
ではなぜ、体温が上がってしまうのでしょうか。

恐いのは湿度

熱中症を警戒するときに注意しなければならないのは湿度です。
もちろん、気温は最も重要な要素ですが、高温に関する情報はテレビでもインターネットでも頻繁に流れるので、多くの人が関心を持つことができます。
しかし湿度は、いくら高くなってもあまり騒がれません。そのため自分で気にする必要があります。

気温が高くなると、人は汗をかいて体温を下げます。なぜ汗をかくと体温が下がるのかというと、皮膚の表面で気化熱が発生するからです。

気化熱とは、液体が気体になるときに周囲から奪う熱のことです。気化熱が発生すると、周囲の温度が下がります。
汗という液体が蒸発して気体になるときに気化熱が発生し、それで周囲の熱が奪われて、体温が下がって体が冷えます。

つまり、汗をかいただけでは体温はそれほど下がらず、汗が蒸発したときに大きく体温が下がるわけです。

ところが湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなります。
それで熱中症は「気温と湿度の両方」に警戒しなければなりません。

輻射熱と風のなさにも注意

気温、湿度の次に注意しなければならないのは、輻射熱(ふくしゃねつ)と風のなさです。

輻射熱とは、高温の物体が電磁波で伝える熱のことです。
夏の日差しに長時間さらされたアスファルトは「高温の物体」になり、そこを歩く人に輻射熱を浴びせます。
熱中症の発生場所で最も多いのは住居内ですが、2番目は道路、3番目は屋外でした(*1)。道路も屋外も輻射熱が発生しやすい場所といえます。

も体温に影響を与えます。体温が上がると体の周りを覆っている空気の層の温度も高くなります。風が吹いていると、体の周りの温かい空気が吹き飛ばされるので、体温が下がりやすくなります。

気温と湿度が高い日に、アスファルトの上にいて、しかも風が吹いていなかったら、すぐにその場所から避難しましょう。

水分を摂るだけでは駄目、塩分とミネラルにも配慮を

熱中症対策で重要なのは水分補給ですが、水を大量に飲んでも熱中症を予防できないことがあります。
水を大量に摂取すると、体内の塩分とミネラルの濃度が低下してしまうからです。

塩分とミネラルは体の調子を整える重要成分なので、これらが急激に減少すると、熱中症の症状が悪化してしまいます。
熱中症対策としての水分補給は水ではなく、スポーツドリンクを飲むようにしてください。

熱中症対策を取りましょう

以上、熱中症が起きる原因を紹介しました。
原因がわかると、以下で紹介する熱中症対策が合理的であることがわかります。

水分をこまめに摂る

水分補給は熱中症対策で最も重要なので、もう一度紹介します。
最近は熱中症対策をうたった飲料が発売されているので、スポーツドリンクだけでなく、そのような飲料も利用してみてください。
暑くなってきたら水分補給を意識するようにしてください。

体調を整える

同じ暑い場所にいても、熱中症を発症する人としない人がいます。
その差はやはり体力です。
夏本番に備えて、食生活を改善したり、適度な運動をしたり、快眠を心がけたりしましょう。

暑い場所に身を置かない

毎朝、その日の気温予測と湿度予測を気にしましょう。そして、高温多湿が予測される日は、不要不急の外出を避けてください。
室内はエアコンや扇風機を使って適温を維持してください。
熱中症の発生場所で最も多いのは住居内です。

まとめ~回避できる病気

熱中症は、年代を問わず誰彼構わず襲う恐い病気(症状)です。したがって、誰も油断することはできません。
しかし、正しく警戒してしっかり対策を講じていれば、回避できる病気でもあります。
まずは熱中症を知り、なぜ起きるのかを理解して、合理的な対策を取っていきましょう。

熱中症の症状がある方はヒロオカクリニックの内科でも診察を行っておりますので、下記よりご予約ください。

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