人間ドックの適正年齢は何歳なのか~20歳でも早すぎない理由
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人間ドックは何歳から受けたらよいのでしょうか。
「人間ドックは法定健診(労働安全衛生法により定められた健康診断。以下、「健診」)より詳しく調べる検査なので、いろいろな病気が気になり始める40歳くらいから受け始めればいいのではないか」
漠然とこのようなイメージを持っていたとしたら、日本人間ドック学会が人間ドックの対象者を20歳以上としていることに驚くかもしれません(*1)。
「20歳で人間ドックはさすがに早すぎないか」
そう感じるかもしれませんが、早すぎるということはありません。
その理由を、人間ドックを受ける意義とともに解説します。
なぜ人間ドックか「健診だけでは足りないのか」
「健診を受けていれば人間ドックを受けなくてもいいのではないのか」と感じている方もいると思います。これは完全に間違っているわけではありませんが、完全に正しいともいえません。
健診で異常がない人も人間ドックで異常がみつかることがあるから
人間ドックも健診も、健康な人や健康と思われる人が受けて、体の変化や病気の発症リスクを調べるために実施する点は共通しています。
しかし両者には次のような違いがあります。
人間ドックの特徴 | 健診の特徴 |
任意で受ける。受ける人が受けるかどうか決める。 | 働く人は法律で受けることが義務づけられている。企業には労働者に受けさせる義務がある。
自営業者や専業主婦・主夫などは自治体の健康診査(この略称も健診)を受ける。 |
検査項目は医療機関が決めることができる | 検査項目は法律で決まっている |
費用は自己負担
(公的医療保険は使えない) |
費用は企業や自治体が負担
(公的医療保険は使えない) |
最新の機器を使って高度な検査を行うことがある | 必要最小限の検査を行う。実績が確かな検査のみを行う。 |
健診は必要最小限の検査を行います。そういった意味では、健診は健康チェックの基礎になるでしょう。
健診を必ず受け、それとは別に人間ドックを受診して、健康づくりをより強固なものにしていきます。
健診だけで足りないのは、健診だけではみつけられない病気や体の変化が存在するからです。そこで人間ドックでは、最新の検査機器を使ったり、高度な検査を実施したりして、チェック漏れを補うわけです。
日本人間ドック学会は「健診は検査内容が限られているので、体全体をチェックするには限界があります。健診で異常がない人も人間ドックで異常がみつかることがあります」と説明しています(*2、*3)。
人間ドックの高度な検査とは
ここまでの解説で、人間ドックを受ける目的は、または、人間ドックを受けるメリットは、高度な検査を受けられることであることがわかったと思います。
では、人間ドックで行われる高度な検査とはどのようなものなのか。
その一例として胃がん検査、あるいは胃の検査を確認してみます。
例えば健診には胃がん検査がないが人間ドックにはある
法律で定められている健診の検査は11項目なのですが、そのなかには胃がん検査はありません(*4)。
一方、人間ドックでは、ほとんどの医療機関が胃がん検査を含めています。ヒロオカクリニックの人間ドックにも胃がん検査があります。
胃X線検査より優れている胃内視鏡検査
胃がん検査には、胃X線検査と胃内視鏡検査の2つがあります。
国立がん研究センターによる評価では、胃X線検査も胃内視鏡検査も「推奨グレードB」で2番目に強く推奨される検査です(*5)。どちらも死亡率減少効果を示す証拠があります。
ただ一般的には「胃内視鏡検査のほうが、胃X線検査より高度な検査といえるのではないか」という認識があると思います。
この認識は医療現場でも正しいものと考えられています。
多くの医師が「胃内視鏡検査は死亡率抑制効果が明らかで実現可能な地域や職域では採用されるべきである」という認識や「胃内視鏡検査は胃X線検査より胃がん抑制効果が優れている」という認識を持っています(*6)。
人間ドックの検査項目に胃内視鏡検査が含まれていれば、より高度な検査を実施しているといえるでしょう。
コスト問題
ではなぜ、胃内視鏡検査だけでなく胃X線検査も推奨グレードBになっているのかというとコストと技術の問題があるからです(*6)。
胃内視鏡検査は内視鏡の長い管(くだ)を口または鼻のなかにいれて胃に到達させるので、手間も時間もかかり、コスト高になります。また、医師であっても特別な訓練を受けないと胃内視鏡検査を実施できません。
したがってコストと技術の問題がある場合は、胃内視鏡検査ではなく胃X線検査が推奨されます。
なおヒロオカクリニックでも、胃X線検査は「スタンダード人間ドック」(税込41,800円)に含まれていますが、これを胃内視鏡検査に切り替えるには追加料金(同3,960円)が必要になります。
追加料金という形でコスト問題をクリアしているわけです。
特殊な検査は人間ドックだけ
人間ドックと健診の比較では、もう1つ大きな違いがあります。それは人間ドックでは一般的に特殊と考えられている検査を行っていることです。
人間ドックには「健診の検査項目+高度な検査や特殊な検査」のタイプと、「特殊な検査だけを集中的に行う」タイプがあります。
人間ドックの検査内容は医療機関が自由に決めることができるので、特殊な検査も設定できるのです。一方の健診は、普通は法律で定められた項目しか検査しません。
がんも脳も心臓も詳しく調べることができる
ヒロオカクリニックの人間ドックでも特殊な検査を行っています。
例えばがん検査は、ヒロオカクリニックの精密ドック(スタンダード人間ドックより更に精密な検査を実施)では4種類の腫瘍マーカーを調べることができます。4種類は、CEA、AFP、CA19-9の3種類と、女性はSCC、男性はPSAです。
それぞれの腫瘍マーカーでわかるのは次のがんです(*7)。
■がん検査(腫瘍マーカー)でわかるがん
・CEA:胃がん、大腸がん、食道がん、甲状腺がんなど
・AFP:肝細胞がん
・CA19-9:胃がん、大腸がん
・SCC:子宮頸がん
・PSA:前立腺がん
また、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などの脳の重大な病気をみつける頭部MRI検査と頭部MRA検査も、ヒロオカクリニックの脳ドックの検査メニューにあります。
心臓を中心にみる心臓ドックもあります。
まとめに代えて~受診年齢は意識次第
人間ドックを受ける意義を解説しました。
この意義が、人間ドックを20歳で受けても早すぎない理由になります。
人間ドックを受ける適正年齢は、本人が決めることになるでしょう。
例えば、がんや心臓の病気や脳の病気の原因は、いずれも遺伝の要素があります(*8、*9)。したがって、近い家族にそれらの病気を発症した人がいれば、20歳でも人間ドックを受ける価値はあると考えられます。
そして、30歳や40歳といった区切りのよい年齢で初めて人間ドックを受ける人もいます。
さらに「健康が気になる」「健診で『大丈夫』といわれても心配が残る」と思ったときに人間ドックを予約してもよいのではないでしょうか。
健康を強く意識したときの年齢が適正年齢です。
ヒロオカクリニックでは法定健診の項目を網羅した定期健康健康診断(法定Bコース)をはじめ、協会けんぽの生活習慣病予防健診、人間ドック等の幅広い健診メニューをご用意しております。年度内のご受診のために、早目のご予約をお勧めしております。
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