帯状疱疹の初期症状を知って早期治療を~回避したいPHN、予防にはワクチンが有効
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痛みとかゆみをともなう発疹が大量に出現して、その後、水ぶくれになって膿を持つようになる――。
これが帯状疱疹(たいじょうほうしん)の症状です。
帯状疱疹それ自体も苦しい病気ですが、治ったあとに帯状疱疹後神経痛(以下、PHN: Postherpetic Neuralgia)という合併症を発症することがあり、数年にわたって痛みに悩まされることがあります。
帯状疱疹は早期に治療に取り組み、素早く治してしまいましょう。
そのためには帯状疱疹の初期症状を把握しておき、「もしかしたら」と感じたらすぐにクリニックにかかるようにしたいものです(*1)。
また、帯状疱疹には予防効果が期待できるワクチンがありますので紹介します。新宿区(東京都)はワクチンの費用助成を行っています。
ヒロオカクリニックも新宿区の帯状疱疹ワクチン費用助成の指定医療機関になっています。
初期:体の左右どちらかの皮膚に痛みが走る
帯状疱疹の初期症状は、体の左右どちらかに走る皮膚の痛みです。痛みではなく、違和感やかゆみであることもあります。
神経に沿って痛む
帯状疱疹を引き起こすのは、子供のころに感染した水痘・帯状疱疹ウイルスです。このウイルスは水疱瘡(みずぼうそう、水痘のこと)を発症させたあと、治癒後も神経内に潜伏します。そして大人になったとき、再び活動を始めて、帯状疱疹を引き起こします。
そのため帯状疱疹の初期の痛み、違和感、かゆみは、神経に沿って発生します。
皮膚症状は数日~1週間前に起きる
帯状疱疹のメインの症状は皮膚症状になるのですが、痛み、違和感、かゆみの初期症状はその数日~1週間前に現れます。
この時点でクリニックにかかると、早期治療に取り組むことができます。
ピリピリ、ジンジン、ズキズキ、発熱、リンパ節の腫れも
帯状疱疹の初期症状の痛みは、ピリピリ、ジンジン、ズキズキと表現されることが多いようです。
また初期であっても「焼けるように痛い」といった鋭い痛みが起きることもあります。
発熱やリンパ節の腫れを伴うこともあります。
帯状疱疹のメインの症状
初期症状の段階で治らないとメインの症状に移行するわけですが、メインの症状が起きてもやはり早い段階でクリニックを受診したほうがよいでしょう。
そこで帯状疱疹のメインの症状とその特徴を紹介します。
■発疹
・痛み、違和感、かゆみが出た場所に発生する
・発疹が現れる場所は、胸、背中、腹部、腰部、上下肢、顔面、目の周囲など様々です
■水ぶくれ
・発疹のあとにできる
・最初は数ミリのものが数個程度だが、どんどん数が増えていく
■水ぶくれが帯状に広がる
・皮膚上を帯状に広がっていく。これが帯状疱疹の名称の由来である
■水ぶくれに膿がたまる
・膿のほかに、血液がたまることもある
■水ぶくれが破れてかさぶたになる
■色素沈着、傷跡が残る
腕3割、腹と背中2割
帯状疱疹の皮膚症状(メインの症状)が起きる場所の割合は以下のとおりです。
1位:腕から胸、背中にかけて:31.2%
2位:腹や背中:19.6%
3位:頭部、顔面:17.6%
4位:腰、尻、足:17.1%
5位:首から腕:14.5%
このように割合は異なりますが全身に起こりうることがわかります。
治っても痛み続けるPHN
初期症状の解説から離れてしまうのですが、帯状疱疹が治ったあとに起きるPHNについて紹介します。
PHNの「恐さ」を知っておけば、「帯状疱疹を初期段階で治したい」という気持ちが強くなると思います。
PHNの症状
PHNの症状は以下のとおり。
・焼けるような痛み
・締めつけられるような痛み
・ズキンズキンとする痛み
・刺すような痛み
・電気が走るような痛み
・軽く触れただけでも痛む(アロディニアといいます)
・眠れない痛み
・日常生活に支障をきたす痛み
PHNの症状の出方や症状の重さは人それぞれです。
アロディニアでは例えば、シャツがすれるだけで痛みが走ることがあります。これでは生活に大きな支障が出てしまうでしょう。
50歳以上の帯状疱疹患者の1割超がPHN
50歳以上の人が帯状疱疹を起こした場合、その12.5%がPHNに移行するという調査結果があります(*2)。また年齢が高くなるとPHNリスクも高くなります。
*2 慢性の痛み情報センター 帯状疱疹後神経痛のリスクファクターに関する系統的レビューとメタ解析
炎症の痛みから神経自体の痛みに移行
帯状疱疹からPHNに移行してしまうのは、神経が傷つくからと考えられています。
つまり帯状疱疹の段階では炎症が起きそれが痛みを生むのですが、PHNでは神経自体が障害されそれが痛みを生んでいると考えられます。
50歳以上の方にはワクチンがあります
帯状疱疹を予防するには、ワクチンが有効です。ワクチンを打っても帯状疱疹が発症することがありますが、その場合でも症状が軽くなるという研究結果もあります(*3、*4)。
*3 国立感染症研究所 帯状疱疹ワクチンの導入について
*4 国立感染症研究所 帯状疱疹ワクチン ファクトシート平成29年2月10日
保険対象外なので全額自己負担だが自治体が助成することも
帯状疱疹ワクチン接種は公的医療保険の対象外となるので、費用は全額患者さん負担となります。
ただ自治体のなかには費用助成を行っているところがあります。
新宿区(東京都)の費用助成を、次の章で紹介します。
新宿区では自己負担を4千~1万円に
新宿区の帯状疱疹ワクチン予防接種事業の内容は以下のとおり(*5)。
■新宿区の帯状疱疹ワクチン予防接種事業(費用助成)
・対象は50歳以上の新宿区民
・本人の自己負担額:1回4,000円または1回10,000円(ワクチンの種類によって異なる)
・自己負担額以外の費用を新宿区が助成する
・新宿区から予診票を受け取る
帯状疱疹ワクチンには2種類あって、その1つである「ビケン(生ワクチン)」を選択すると、費用助成を使えば自己負担額は1回4,000円になります。ビケンの接種回数は1回。
もう1つの「シングリックス(不活化ワクチン)」の自己負担額は1回10,000円で、最大2回接種します。
費用助成を受けるには、新宿区に申し込んで予診票を受け取る必要があります。予診票を持って、新宿区内の指定医療機関に出向いてください。
ヒロオカクリニックも、新宿区の帯状疱疹ワクチン費用助成の指定医療機関になっています。
まとめ~ヒロオカクリニックも費用助成対象クリニックです
記事の内容を箇条書きでまとめます。
・帯状疱疹は明確な初期症状があるので、その段階でクリニックにかかることをおすすめする
・初期症状の特徴は次のとおり
-体の左右どちらかの皮膚に痛みが走る
-神経に沿って痛む
-痛みのほかに、違和感、かゆみも
-ピリピリ、ジンジン、ズキズキ
-発熱、リンパ節の腫れも
・帯状疱疹の予防にはワクチンが有効とされている
・ワクチンは公的医療保険の対象外なので、費用は患者さんが全額負担する
・自治体によっては費用補助を行っていて、新宿区も実施している
・ヒロオカクリニックは、新宿区の帯状疱疹ワクチン費用助成の指定医療機関になっている
「あれ?」と思ったらクリニックにかかってください。
そして50歳をすぎたら、「あれ?」と感じる前にワクチンを接種することをおすすめします。