高血圧は予防も治療もとにかく食事が重要
INDEX
高血圧の予防法と治療法はさまざまありますが、どちらにも深く関与するのが食事です。
高血圧の人も、高血圧になりそうな人も、高血圧を心配する人も、高血圧になりたくない人も、とにかく食事に注意しましょう。
高血圧対策の食事のポイントは、次の5点です。
・減塩
・低脂肪
・カロリー
・栄養バランス
・食物繊維
1つずつ解説します。
減塩
食塩は、うまみの源泉とはいえ、どうしても「もう少し」摂りたくなってしまいます。しかし高血圧対策の食事では、減塩が第1位になります。
食塩の成分であるナトリウムには、水を保持する作用があります。そのため、食塩を多く摂ると体内に水分がたまってしまいます。
水分は血液の原料なので、体内の水分が増えると血液量が増えてしまいます。血液量が増えると血管を押す圧力が強くなり、高血圧へとつながってしまうのです。
1日の食塩摂取量は、健康な場合で男性8g、女性7gが目安になります。
ところが高血圧と診断されると、目標値は1日6、7gとなりさらに厳しくなります。
1日6、7gの減塩に我慢するのが嫌な人ほど、1日男性8g、女性7gを守って高血圧にならないようにしましょう。
ちなみに8gや7gは、調味料や漬物、みそ汁、スポーツドリンクなどに含まれる食塩やナトリウムを含む数値ですので注意してください。
低脂肪
脂肪は重要な栄養素なのですが、摂りすぎると高血圧につながる危険な食材に変わります。
脂肪が危険性をはらんでいるのは、1)カロリーと2)コレステロールの2つを問題があるからです。
例えば、同じ量の場合、炭水化物より脂肪のほうが高カロリーになってしまいます。一定量を食べないと満足できない人は、脂肪で満足感を得ようとするとカロリーを多く摂ってしまいます。
カロリー過多になると肥満を招き、その結果、脂肪細胞にレプチンというホルモンがたまり、それが血圧を上げます。
脂肪に含まれるコレステロールは、動脈硬化のリスク要因になります。動脈硬化とは血管(動脈)が硬くなる病気で、これも血圧を高めてしまいます。
低脂肪の食事ができるようになると、カロリー問題とコレステロール問題の2つの解決につながります。
カロリー
カロリーは脂肪だけでもたらされるものではありません。すべての食事、すべての食材にカロリーが含まれています。
カロリー(cal)とはエネルギーの単位で、1,000cal=1kcalは1リットルの水を1度上げるのに必要なエネルギーです。
ただ医療領域では、カロリーは「食事の量」という意味で用いられることがあります。
人が生きていくためには食事が欠かせませんが、これはカロリーを獲得するため、と言い換えることができます。
しかしカロリーを摂りすぎると、つまり食事をしすぎると、肥満になってレプチンが増えて高血圧になってしまいます。
また摂取カロリーが増えると、大体の場合はコレステロールも増えてしまうので、動脈硬化から高血圧に進んでしまいます。
自分の適切なカロリー量を知る
適切なカロリー量は人によって異なり、1日の適切なカロリー量(エネルギー量)は次の計算式で算出できます。
・1日の適切なカロリー量(kcal/日)=標準体重×指数
標準体重は次の計算式で算出します。
・標準体重=身長(m)×身長(m)×22
指数は次のとおりです。
・軽い仕事をしている人の指数:25~30
・中程度の仕事をしている人の指数:30~35
・重い仕事をしている人の指数:35~40
例えば、身長1.6mで中程度の仕事をしている人の1日の適切なカロリー量は1,690~1,971 kcal/日となります。計算式は以下のとおりです。
・1.6×1.6×22×(30~35)=1,690~1,971 kcal/日
このカロリー内で食事を摂っていれば肥満を予防できるわけです。
栄養バランス
ここまで減塩、低脂肪、カロリー制限と「減らす」ことを紹介してきましたが、食事は外から体内に摂り入れる行為なので、そもそもプラスの作業です。
そのため、高血圧対策の食事には積極的な姿勢も必要です。
それが、栄養バランスを考えた食事です。
1)主食、2)主菜、3)副菜、4)その他、の4要素が栄養バランスのカギを握ります。
主食とはご飯やパン、麺のことです。これら炭水化物は効率よくエネルギーを獲得できるので食事のメーン(主)になります。
主菜は、肉、魚、大豆など、体の元になる食事です。タンパク質や脂質(脂肪)を摂ることができます。また、主菜は、おいしさやうまみが豊富に含まれるので食事の楽しさや華やかさを演出します。
副菜は、野菜、海草、キノコなどビタミンやミネラルが豊富に含まれている食材のことです。いずれも苦手にする人が多いのですが、副菜を充実させることによって栄養バランスは格段に向上します。
副菜は特に強く意識したいメニューになります。
その他には果物やデザートなどが含まれます。その他を工夫すると食事の楽しさが増します。しかしその他を充実させすぎてしまうと栄養過多に陥るので注意してください。
栄養バランスは高血圧だけでなく、すべての生活習慣病対策によい効果をもたらすでしょう。
食物繊維
食物繊維も広い意味では栄養バランスに含まれるのですが、高血圧対策では重要な要素なので抜き出しています。
食物繊維とは、消化されない成分のことで、つまり最終的には大便のなかに含まれて体外に排出されます。
口から入って体の外に出てしまうので、昔は食物繊維は余計なものと考えられていました。健康に貢献しないとみなされていました。
しかしその後、消化されないことに意味があることがわかりました。食物繊維は、胃や腸のなかにある、体にとって余計なものを吸着して体外に出してくれます。
食物繊維が吸着する物質で重要なのが、胆汁酸です。胆汁酸は、十二指腸のなかで、高血圧の敵であるコレステロールからつくられます。
食物繊維が胆汁酸を吸着して体外に排出すれば、十二指腸は体内のコレステロールを使って胆汁酸をつくるので、体内のコレステロールの総量が減ります。
この作用によってコレステロールが消費されるので、高血圧対策になります。
まとめ~食事から始める意義
高血圧対策には適度な運動やストレスを減らすことなどがありますが、まずは食事から変えていきましょう。
食事は血圧に大きな影響を与えています。しかも人は、毎日3回、間食を入れればさらに多い回数、食事に接します。そのため、食事を改善できれば、その人の行動様式がかなり変わります。
行動様式が変われば、次のステップである運動やストレス対策も取り組みやすくなるでしょう。
新宿 ヒロオカクリニックでは、「かかりつけ医」として常勤の宮本医師(総合内科専門医)を中心に糖尿病専門医、循環器内科専門医、腎臓専門医等の多くの専門医が協力して各種生活習慣病の診察・治療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
健診などで何かしら検査数値の異常を指摘された方もお気軽にご相談ください。ご予約はこちら