蕁麻疹の原因とは?症状や治療法について解説

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蕁麻疹というと、その言葉を聞いただけで、体が痒く感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。一度は蕁麻疹になったことがあるという方も多く、一般に広く認知されています。

その蕁麻疹は辛いかゆみや島状に盛り上がった湿疹が特徴的な皮膚疾患で、特にこれといった理由もなく発症することがあり、対症療法がメインの治療法になります。この記事では、蕁麻疹の原因やよく似た症状との違い、蕁麻疹の治療法などについて詳しく解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

蕁麻疹とは

蕁麻疹とは

蕁麻疹(じんましん)とは、皮膚の上の赤く盛り上がった腫れと湿疹を特徴とする皮膚疾患です。腕や腹部、太ももなどの皮膚が柔らかいところによく現れますが、首や顔、背中、頭の中などにも出ることがあり、体中どこにでもできます。強いかゆみを伴っており、虫に刺されたときのような腫れが連続して現れ、島状に繋がっているように見えるのが特徴です。

皮膚の血管の周囲には「肥満細胞」と呼ばれる細胞がたくさんあります。肥満細胞が何らかの原因で刺激を受けると「ヒスタミン」という物質を放出します。ヒスタミンが血管に達すると血管が拡張し、血漿が漏れ出します。それが皮膚が盛り上がり腫れる原因です。また、ヒスタミンはかゆみ神経を刺激するため非常に強いかゆみが生じます。

急性蕁麻疹

蕁麻疹は急にあらわれますが、数時間たつと腫れや皮疹は消失するのが普通です。あらわれたり消えたりを繰り返しますが、おおよそ1か月以内に症状が消失するものを急性蕁麻疹と呼びます。疲れやストレス、食物アレルギー、寒暖差や何らかの刺激を受けたなど、原因が比較的わかるものが多いタイプです。

慢性蕁麻疹

毎日繰り返し蕁麻疹が起き、かつ1か月以上続いている場合を慢性蕁麻疹と呼びます。何らかの薬や病気が影響していると考えられますが、はっきりとした原因を特定できないのが特徴です。また、夕方から夜間に発症するという傾向があります。

慢性蕁麻疹になると治療にも時間がかかりますし、辛いかゆみが続くのは精神的にもよくありません。蕁麻疹を慢性化させないためにも、早めに医療機関にかかることが大切です。

蕁麻疹の原因

蕁麻疹の原因

蕁麻疹の原因について、はっきりとしたことはわかりません。しかしながら、要因となるものについては明らかになっており、それらを避けることで、ある程度コントロールが可能です。

ストレスや疲労

ストレスや疲労は慢性蕁麻疹を悪化させる要因です。ストレスや疲労で蕁麻疹になるわけではありませんが、ストレスを長期にわたって抱えていたり、疲労がたまっていたりすると蕁麻疹が起こりやすくなるといわれています。

蕁麻疹は体の反応です。ストレスがあったり、寝不足などで疲労がたまっていたりすると、蕁麻疹の原因になるものが体の中に入ったときに体の反応を強めてしまうのです。環境の変化がきっかけで発症したり、逆に環境を変えることでまったく出なくなったりすることがあります。

アレルギー

食べ物や薬に対するアレルギーも蕁麻疹の原因です。私たちの体にはIgEというタンパク質があり、そのタンパク質にどんな物質が結合するかによって、何にアレルギー反応が起きるかが決まります。人によってソバであったり、エビであったりするのです。

アレルゲンとなるものが体の中に入り、IgEと結合した時に肥満細胞からヒスタミンが放出されます。ヒスタミンが末梢血管を膨張させ血漿が血管の外に漏れ出すことが蕁麻疹特有の腫れがあらわれる原因です。

病気

甲状腺疾患やウイルス性肝炎、胃炎などは蕁麻疹の原因になるといわれています。また蕁麻疹は膠原病や、血清病などのアレルギー疾患、血管に炎症を起こす血管炎の症状のひとつです。

なんらかの病気が原因で蕁麻疹が起きているかのかどうかは、症状が出る範囲や頻度などによって判断します。蕁麻疹が数時間のうちに消失する、また蕁麻疹以外に気になる症状が特にないなら、内臓的な疾患を疑う心配はないでしょう。

蕁麻疹の種類

蕁麻疹の種類

蕁麻疹にはさまざまな種類があります。おおよそ発症から1か月以内に治癒するものを急性蕁麻疹、1か月以上続くものを慢性蕁麻疹と呼びます。急性蕁麻疹のほとんどは、命にかかわるようなものではありません。しかしながら、一部の蕁麻疹は症状が強く、死亡するリスクもあるため、急いで受診する必要があります。ここからは蕁麻疹の種類について見ていきましょう。

アナフィラキシー

アナフィラキシーとは、何らかの原因で多くの臓器にアレルギー反応が起きた状態です。食物や薬、蜂などの虫刺されによるものなど、原因は多岐にわたります。

蕁麻疹や肌の赤み、かゆみなどの皮膚症状と共に、気管が狭まったり激しい咳が出たりするなどの呼吸器症状、目のかゆみや腫れ、唇のむくみなどの粘膜症状が特徴です。急激な血圧の低下が起こって意識を失うこともあり、たいへん危険な状態になります。

原因となるものが体の中に入って数分から数時間で急激な症状の悪化が起こるため一刻を争います。蕁麻疹と共に複数の症状が表れた場合は救急病院にかかるなどすぐに医療機関を受診してください。

運動誘発性アナフィラキシー

運動がきっかけでアナフィラキシー症状を起こすことがあります。特に食事をしてから2時間ほどの間にランニングなど比較的激しい運動をした後に発症するのが特徴です。原因となる食物には小麦製品、エビ、カニなどの甲殻類がよく知られています。

食事の後で運動をすることにより、アレルゲンとなったものに対する反応が起きると考えられていますが、原因はよくわかっていません。蕁麻疹とともに呼吸困難や意識の低下などアナフィラキシーと同じ症状が見られます。発症した場合には安静を保つとともに、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。

物理性蕁麻疹

何かでひっかいたり、ひっかかれたりした時、圧迫や寒暖差、日に当たったり、水が付いたりしたなどで発症する蕁麻疹のことです。他の蕁麻疹に比べて原因がはっきりしていることが多く、原因となるものを避けることで回避することが可能です。

蕁麻疹が出る条件はストレスなど他の条件も関係しており、その時の条件によっては蕁麻疹があらわれたりあらわれなかったりします。蕁麻疹のほとんどはこのタイプです。

アレルギー性蕁麻疹

特定の食べ物や薬を摂取したり、植物、動物や昆虫などに触れたりした時にあらわれるタイプの蕁麻疹です。IgEというタンパク質にアレルゲンとなるものが結合すると肥満細胞からヒスタミンが放出され、蕁麻疹反応が起こります。

アレルギー性の蕁麻疹は時にアナフィラキシーショックとなることがあるため注意が必要です。自分が何にアレルギーを持っているのかを把握し、原因になるものを避けることで回避することができます。

コリン性蕁麻疹

「アセチルコリン」という、発汗を促す物質が関わっている蕁麻疹です。入浴後や運動後に汗をかくと蕁麻疹が出ます。一般的な蕁麻疹の症状に加えて、ピリピリチクチクという痛みがあるのが特徴です。

子どもから20代までの若年層に多く見られ、年齢が進むにつれて発症しなくなります。蕁麻疹は手のひらや足の裏、わきの下を除くすべての場所にあらわれます。汗をかきやすい夏場や、入浴後に症状があらわれることが多いため注意が必要です。

イントレランス

イントレランスとは「不耐症」のことです。アスピリン系の非ステロイド系鎮痛剤や色素、造影検査の際に使われる造影剤、ほとんどの野菜や果物に含まれるサリチル酸などに対して反応します。

サルチル酸は多くの食品に含まれており、特に多いのはいちご、トマト、オレンジ、パイナップルなどです。アレルギーとは違い、IgEはかかわっていません。なぜ蕁麻疹が起こるのかについてはっきりしたことはわかっていないため、発症したことのある方は注意が必要です。

血管性浮腫

血管性浮腫も蕁麻疹の一種ですが、蕁麻疹が皮膚の浅いところで起こるのに対し、血管性浮腫は皮膚の深いところで起こるものです。かゆみの伴わない唇の腫れ、むくみが生じます。蕁麻疹はあらわれてから数分から数時間で消失しますが、血管性浮腫の場合は数日間腫れやむくみが残る場合があります。

遺伝性のものと後天性のものとがあり、原因はよくわかっていません。疲れやストレスが要因となって発症することもありますが、特定の薬剤や食品を摂取した後に発症することもあります。

蕁麻疹の治療

蕁麻疹の治療

蕁麻疹がなぜ起きるのかについてはよくわかっていませんが、できるだけ蕁麻疹が出るきっかけとなった要因を特定しそれを避けることが大切です。また、症状が出てしまったら服薬や外用薬による治療をおこないましょう。

蕁麻疹の検査

蕁麻疹がアレルギー性のものなのかどうかは、血液検査で調べることが可能です。他にもアレルゲンとなっていることが疑わしい物質を少量、皮下に注射したり皮膚に塗って押し込んだりする方法によって調べることがあります。

非アレルギー性の蕁麻疹の場合には一般的な内科の検査がおこなわれることもあります。しかしながら、慢性蕁麻疹の場合は検査をおこなってみても原因が特定できないことがほとんどです。特定の物質に対するアレルギー反応があったとしても、それが必ずしも蕁麻疹の原因であると断定できないことも多く、蕁麻疹が出た時の状況を総合的に判断して診断することになります。

蕁麻疹のホームケア

患部を冷やすとかゆみが治まることがあります。冷たい水で絞ったタオルなどを患部に当てて冷やしてみましょう。

ただし、直接氷などを当てるとかえって刺激となり、かゆみを増すことがありますので注意が必要です。冷却シートは粘着部分が肌への刺激となることがあるため、使用は避ける方が良いでしょう。

蕁麻疹はかけばかくほどかゆみが強くなるのが特徴です。かきむしらないよう注意しましょう。かゆみが強い時はそっとなでるようにしたり、ポンポンと軽くたたいたりするのも効果的です。

温めるとかゆみが強くなるため、蕁麻疹が出ている時は湯船に浸からずシャワーで済ませるのも良いでしょう。体を洗う時にはタオルでゴシゴシこするのではなく、手のひらでそっと泡立てた石鹸を転がすようにして優しく洗いましょう。

蕁麻疹の薬

蕁麻疹の薬

蕁麻疹の治療は主に内服薬でおこないます。抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服が治療の中心です。

抗ヒスタミン剤が効かないときには、補助的にトラネキサム酸が処方されるときもあります。アナフィラキシーなど、全身の状態が良くないときにはステロイドの内服をおこなうこともあります。

過去に処方された薬や市販の薬などを使用すると、かえって症状を悪化させることがあります。自己判断で薬を使うのではなく、医療機関で処方してもらいましょう。

抗ヒスタミン剤

蕁麻疹は肥満細胞から放出されるヒスタミンが原因で発症します。そのため、ヒスタミンの作用を弱める抗ヒスタミン剤の内服薬が有効です。抗ヒスタミン剤が配合された塗り薬を処方されることもあります。また、アレルギー性の蕁麻疹の場合は抗アレルギー薬を使用することもあります。

以前の抗ヒスタミン剤は副作用として眠気が強く出る傾向がありました。しかしながら現在は改良され、抗ヒスタミン剤は強い催眠作用を抑えた第3世代が使用されるようになっています。強いかゆみを抑えるとともに副作用を心配せずに使用できるのが特徴です。

ステロイド

蕁麻疹に対してはステロイドが効かないとされていますが、アナフィラキシーなど全身の状態が悪く、抗ヒスタミン剤の効果が十分でないときにはステロイドの内服薬が処方される場合もあります。肌をかきむしって炎症がひどい場合には、ステロイドの軟膏が使用されることもあります。しかしながら、ステロイドは急激な炎症を抑えるのに効果的な一方、漫然と使うと症状を悪化させたり長引かせたりすることがあるため注意が必要です。

よく似た皮膚症状

よく似た皮膚症状

蕁麻疹は肌のむくみや腫れ、湿疹などが特徴的な皮膚疾患です。ここからは、蕁麻疹によく似た症状を持つ皮膚症状との違いについて見てみましょう。

アトピー性皮膚炎との違い

アトピー性皮膚炎は慢性の皮膚疾患です。皮膚のバリア機能が低下しているのが特徴で、肌表面がカサカサと乾燥しています。肌バリアが弱いため、あらゆる刺激に弱く、湿疹や肌荒れを起こします。

特に季節を問わず一年中症状があり、良くなったり悪くなったりを繰り返します。子どもや大人とでは肌症状の出方や広がり方が違う点で蕁麻疹とは異なるものです。強いかゆみを伴う点では蕁麻疹とよく似ていますが、湿疹の出方が異なります。

虫刺されとの違い

虫刺されでも蕁麻疹とよく似た腫れやむくみがありますが、蕁麻疹が数時間もすれば跡形もなく消えてしまうのに対し、虫刺されは何日か腫れやかゆみが残る点で異なります。また蕁麻疹では虫刺されにはない、腫れの境界が赤く縁どられたように見えたり、表面が平べったくなっていたりするのも特徴的です。

まとめ|辛いかゆみは我慢しない

辛いかゆみは我慢しない

蕁麻疹は強いかゆみを伴い、辛いものです。それが繰り返し起こると毎日の生活にも影響を及ぼします。蕁麻疹の辛いかゆみは原因となった物を取り除くことや冷やすなどのホームケアによっても軽減することが可能ですが、根本的な解決にはなりません。

抗ヒスタミン剤が良く効きますが、市販されているものとは適用が異なるため、適切な薬を自分で選ぶのは難しいものです。蕁麻疹を繰り返したり、長引いたりしている方は、ぜひヒロオカクリニックにご相談ください。

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