高血圧は初期症状がない、だから2重に恐い

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高血圧を放置すると、心筋梗塞や脳梗塞といった生死にかかわる重大な病気につながる危険が高くなります。
そのため、高血圧症と診断される前であっても、血圧が高くなり始めたら予防策に取り組みたいものです。

これだけ危険な病気でありながら、高血圧は放置されやすい病気の1つです。それは初期症状がないからです。痛みがないどころか、体調の変化すら感じない人もいます。

高血圧は、危険でありながら気がつきにくい、2重に恐い病気といえます。

高血圧とは

血圧の値は、心臓が縮まっているとき(収縮しているとき)と、広がっているとき(拡張しているとき)で大きく異なります。
そのため収縮期の血圧と拡張期の血圧を同時に測定します。

基準は細分化され厳格化された

高血圧はかつては、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上のどちらか一方に該当したとき、と定義されていましたが現在は基準がより細分化されています(*1)。
日本高血圧学会は血圧の「降圧目標値」を次のように定めています。
降圧目標値とは望ましい血圧の値のことです。つまり、下記の数値をクリアしていれば「まだ高血圧ではない」ということになり、この数値を超えたら「治療を開始したほうがよい」ということになります。

診察室血圧 家庭血圧
若年や中高年者(75歳未満の成人) 130/80mmHg未満 125/75mmHg未満
糖尿病患者や慢性腎臓病患者など 130/80mmHg未満 125/75mmHg未満
高齢者(75歳以上) 140/90mmHg未満 135/85mmHg未満
脳血管障害患者など 140/90mmHg未満 135/85mmHg未満

 

診察室血圧とは、クリニックなどの医療機関で測定したときの血圧の値です。家庭で家庭用血圧計を使って計測するときより、診察室血圧のほうが高く出やすいので、家庭血圧の基準より高めに設定してあります。

若年や中高年者は、高齢者より低めに設定されています。これは基準が厳しいということです。若い人は血圧がそれほど高くないうちから警戒しなければなりません。

そして糖尿病患者や慢性腎臓病患者は、年齢に関係なく厳しい基準になっています。こちらも血圧に十分注意する必要があります。

高血圧はなぜ危険で、どれくらい危険なのか

血圧とは、血液が血管を押す圧力のことで、水道の水圧と同じです。
血圧が高くなると健康を害するのは、強い圧力で押された血液が血管を傷つけるからです。

血管が硬くなってもろくなる

健康な血管は柔軟性があって柔らかいのですが、高血圧にさらされ続けた血管は硬くなります。これは一般的によく起こる物理現象で、例えば柔らかいゴムも長期に渡って圧力がかかると硬化します。
そして硬くなった物質はもろくなり、それは血管も同じです。
高血圧が長期化すると、動脈硬化という血管が硬くなる症状が起き血管がもろくなります。

動脈硬化がアテロームをつくる

動脈硬化によって血管が傷つくと、そこにコレステロールが溜まっていきます。
そのコレステロールは「ぐじゅぐじゅ」してきて、お粥(かゆ)状になります。この状態を粥状(じゅくじょう、アテローム)といいます。
アテロームは血管の内側を狭くするので、血圧はさらに上がります。ホースの口を絞ると水の勢いが増すのと同じ原理です。
そしてアテロームができると血小板が付着して、さらに血管の内側を狭めます。
このように、高血圧はさらなる高血圧を引き起こすことになります。

なぜ高血圧は自覚できないのか

高血圧になっても自覚症状が起きないのは、血管の傷を痛みとして感じる仕組みが体に備わっていないからです。
例えば皮膚の痛みやかゆみは、神経が感知して脳に信号を送ることで認識できます。
採血検査で血管に注射を刺されるときも、皮膚を刺されたときは痛みを感じても、血管を刺されたときの痛みは感じないはずです。

また、高血圧になったとしても、血管がそれほど太く膨らむわけではありません。つまり、血管が異常に太くなってそのほかの臓器や器官や組織を圧迫するということは起きません。そのため、血圧が高くなった現象は感知しにくいのです。

高血圧は、自覚症状を起こさないようにしながら生死にかかわる病気を引き起こすことから、サイレントキラーとも呼ばれています。

高血圧が症状を引き起こしても気づきにくい

大抵の高血圧は無自覚のまま進行しますが、高血圧が症状を引き起こすこともあります。
その症状とは、頭痛、めまい、耳鳴りです。

しかし、これらの症状を、血圧を測ったことがなく「自分が高血圧のはずがない」と思っている人が引き起こしても、「血圧が上がったせいかもしれない」とはなかなかイメージできないでしょう。
頭痛、めまい、耳鳴りだけではほとんどの場合、気のせいと思ったり「寝たら収まるだろう」と思ったりしてしまい、深刻な事態が起きているとは考えません。

無自覚高血圧と突然死

サイレントキラーと聞くと、静かに忍び寄る恐怖をイメージしやすいのではないでしょうか。
症状を出さず少しずつ血管を傷つけて、最終的に心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす高血圧は、まさにサイレントキラーです。

しかし高血圧は、人を突然襲うこともあります。
突然死です。

突然死とは、症状が出て24時間以内に死亡することのうち、外因死を除いたものです。
高血圧の人が、朝目覚めて突然死亡してしまうことがあります。

血圧は、眠りから目覚める瞬間に向かって徐々に上昇します。これは健康な人にも起きる現象ですが、高血圧の人は、許容範囲を超えて早朝に血圧が高まることがあります。これを早朝高血圧といいます。
早朝に発生する突然死のなかに、早朝高血圧が原因と考えられる事例があります。

自覚症状がないまま高血圧になっていて、しかもそれを自覚していない人は、早朝高血圧に警戒できません。
高血圧に自覚症状が伴わない恐さは、高血圧それ自体への恐さと同じくらい強いものであると認識しておいてください。

まとめ~血圧測定を習慣にしましょう

高血圧は、治療を受ければ薬でコントロールできます。もしくは、初期の高血圧であれば、食生活を改善したり、適度な運動をしたりすることで治すことができるかもしれません。
血圧測定を習慣にし、血圧を測り続けていくうちに高くなる傾向がみえ始めたら、生活習慣を改善し、それでも上がり続けたらクリニックにかかって治療に取りかかってください。
高血圧対策は、血圧測定から始まります。

新宿ヒロオカクリニックでは、「かかりつけ医」として常勤の宮本哲也医師(総合内科専門医)を中心に糖尿病専門医、循環器内科専門医、腎臓専門医等の多くの専門医が協力して各種生活習慣病の診察・治療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
健診などで何かしら検査数値の異常を指摘された方もお気軽にご相談ください。

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