高血圧は症状が出たら相当進行していると考えて
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病気やケガの痛みや苦しみはとても嫌なものですが、言い方をかえれば、そのおかげで早く治療に取りかかることができます。
痛みは病気のアラームといえますが、そのアラームが働かない病気もあります。
高血圧です。
高血圧には、初期症状はほとんどありません。症状が起きたら相当進行していた、ということも珍しくありません。
この記事では、高血圧の症状を解説したうえで、「警戒しにくい高血圧を警戒する」方法を紹介します。
頭痛、めまい、肩こり
日本臨床内科医会は高血圧の症状として次のものを挙げています。
・頭痛
・めまい
・肩こり
この症状を意外に思う人もいるでしょう。「高血圧っぽくない」症状といえいます。日本臨床内科医会も、「頭痛、めまい、肩こりは血圧とは関係なく現れるので、高血圧は自覚症状があてにならない病気」と指摘しています。
無症状が長いうえに自覚症状があてにならない怖い病気
高血圧はれっきとした病気であり、放置すると脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる病気につながってしまうのに、発症してもしばらくは無症状のままです。
静かに忍び寄って人の命を奪うことから、高血圧はサイレントキラーと呼ばれることがあります。
多くの人は、痛みが走ることが病気の兆候と思っているので、痛みがない状態を病気がない状態と勘違いしてしまいます。
痛みを出さないので病気であると自覚できず、治療に取りかかるモチベーションが生まれず悪化させてしまうのが、高血圧の恐いところです。
さらに、症状が出ても「頭痛、めまい、肩こり程度」なので、警戒しづらいという恐さもあります。
高血圧の次に起きる病気の症状
高血圧の症状は無症状か頭痛、めまい、肩こりですが、その次の病気の症状はこんなものでは済みません。
高血圧は、多くの重病の元になります。
高血圧の次の病気のことを合併症といいます。合併症は血管の支障が出やすい臓器に現れます。
高血圧の合併症
高血圧の状態が長く続くと血管がボロボロになってしまいます。そのため高血圧の合併症は、まず、細くて弱い血管が多く集まる脳や目、腎臓に現れます。
脳梗塞、脳出血、高血圧網膜症、慢性腎臓病などは、高血圧の合併症です。
脳梗塞の症状は次のとおりです。
・手足のしびれ
・ものが二重に見える
・話せなくなる
脳出血の症状は次のとおりです。
・手足のしびれ
・激しい頭痛
・嘔吐
・意識障害
高血圧網膜症の症状は次のとおりです。
・網膜の出血
・網膜のむくみ
・視力低下
慢性腎臓病の症状は次のとおりです。
・無自覚
・腎機能の低下
・尿量の低下
・夜間尿
・むくみ
・貧血
・倦怠感
・息切れ
高血圧の症状と比べると、格段に種類が増え、格段に痛みや苦しさが増します。
無自覚のときに治療を始める
高血圧には、痛みや自覚がない段階から治療を始めなければならない、という難しさがあります。痛くないのに治療することを、病気がないのに治療を始めるようなもの、と感じる人もいるでしょう。
高血圧の敵は放置です。
では、どのようにして「つい放置してしまうこと」を解決したらよいのでしょうか。
解決策の1つは血圧を測ることです。
血圧を毎日測ろう
健康診断で血圧が高めであると指摘されたら、血圧測定機を購入して毎日測るようにしてください。
血圧の正常値、高値、異常値(高血圧)は次のとおりです。
以下の数値は、家庭で測る家庭血圧です。単位はmmHgです。「上」は収縮期血圧で「下」は拡張期血圧です。
・血圧の正常値:上115未満、下75未満
・正常高値血圧:上115~124、下75未満
・高値血圧:上125~134、下75~84
・高血圧(異常値):上135以上、下85以上
「正常」といえるのは正常値だけです。
正常高値血圧は、一応「正常」とついていますが、要注意レベルになります。
高値血圧は「異常」とはいえませんが、もう内科や循環器内科などのクリニックにかかってもよいレベルです。
そして高血圧は異常値なので、なるべく早くクリニックにかかってください。
高血圧の治療は簡単
高血圧は恐い病気ですが、救いもあります。それは治療が簡単であることです。
医療機関が提供する高血圧の治療は、原則、血圧を下げる薬を飲むだけです。血圧を下げる薬を飲むことで、合併症を引き起こさないようにします。
また、それほど深刻な状態でなければ、治療は薬すら要りません。
減塩と減量は高血圧の2大対策といわれるほど、効果が期待できる治療法です。治療法といっても、自分で自宅でできます。普段の食事の塩分を減らして、ダイエットに取り組んで体重を減らします。
また、運動も大切です。運動をすると血管が広がりやすくなるので、血圧が正常に近づきます。
まとめ~知ることが警戒の第1歩
高血圧については、次のことを忘れないでください。
・痛くなくても発症し、痛くなくても進行する
痛くなくても危機感を持つようにしてください。
危機感を持つには、血圧を測ることが欠かせません。数値が高くなったら警戒するようにしてください。
高血圧は、血圧計に腕をとおすだけでわかります。高血圧ほどの恐い病気が、たったこれだけでわかるのは「とても助かること」といえます。採血も、CT検査も、内視鏡検査も要らないのですから。
しかも高血圧になっても、治療は薬、減塩、減量、運動で済みます。
ぜひこうした知識を身につけて、「高血圧にならないこと」と「高血圧で踏みとどまること(合併症に進めないこと)」を実現してください。
新宿 ヒロオカクリニックでは、「かかりつけ医」として常勤の宮本医師(総合内科専門医)を中心に糖尿病専門医、循環器内科専門医、腎臓専門医等の多くの専門医が協力して各種生活習慣病の診察・治療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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