75歳以上の方は健康診断(健康診査)を受けていますか~新宿区の後期高齢者制度を解説
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75歳になると原則すべての人が、公的医療保険が後期高齢者医療制度に変わります。
このとき注意したいのが健康診断(健康診査)です。
75歳の誕生日前までは、国民健康保険や被用者保険に加入し、その運営主体が実施する健康診断を受けていたと思いますが、75歳の誕生日以降は、後期高齢者医療制度のなかの健康診査を受けることになります。
加齢は病気の最大のリスク要因なので、75歳以上の方こそ定期的に健康診査を受けましょう。
この記事では新宿区を例に取り、後期高齢者医療制度の健康診査について解説します。
新宿区の後期高齢者医療制度の概略
ここでは新宿区の後期高齢者医療制度を紹介しますが、ほかの自治体もおおむね同じ内容ですので参考になるはずです(*1、*2)。
*1 新宿区 保健事業のご案内・後期高齢者医療制度該当の方は
*2 新宿区 健康診査(特定健康診査等)
75歳の誕生日から「国民健康保険→後期高齢者制度」になるが手続き不要
後期高齢者医療制度は公的医療保険の一種で、その意味では国民健康保険や被保険者保険と同じです。
後期高齢者医療制度に移行するのは75歳の誕生日からで、新宿区の場合はなんの手続きもせずに、それまでの国民健康保険や被用者保険の被保険者から、後期高齢者医療制度の被保険者に切り替わります。
そして後期高齢者医療制度の被保険者になると、新宿区から後期高齢者医療被保険者証という保険証が届きます。75歳以降はこの保険証を使って医療機関を受診します。
1~3割負担、保険料は年金から
75歳以上の人(後期高齢者医療制度の被保険者)が医療機関を受診した場合、治療費の1~3割を負担します。
また保険料は年金から支払うことになります。
75歳以上の方の健康診断(健康診査)とは
ここまで「後期高齢者医療制度と国民健康保険は違う」と説明してきましたが、実は健康診査の内容はほぼ同じです。
検査内容
後期高齢者医療制度の健康診査(=国民健康保険の健康診査)の検査内容は以下のとおりです(*3)。
・問診:既往歴の調査、現病歴及び家族歴の聴取など
・身体計測:身長、体重、腹囲、肥満度(BMI)の測定
・理学的検査:視診、打聴診、触診など
・血圧測定:収縮期血圧、拡張期血圧
・尿検査:蛋白、糖、潜血
・血液検査:
-貧血:白血球数、赤血球数、血色素量、ヘマトクリット値、血小板数
-腎機能:尿素窒素、クレアチニン、eGFR、尿酸
-肝機能:総蛋白、AST、ALT、ALP、γ-GT、血清アルブミン
-脂質代謝:総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、Non-HDLコレステロール、中性脂肪
-糖代謝:血糖、HbA1c
・胸部X線検査:結核などの早期発見のため必須検査
・追加検査:心電図と眼底検査(医師の判断により実施)
無料
新宿区は、75歳以上の方を含め健康診査はすべて無料で行っています。
健康診査の受け方
新宿区の後期高齢者医療制度の健康診査の受診の流れを紹介します。
■ステップ1:新宿区役所から健康診査票が届く
75歳以上の方には新宿区から郵送するので、それが届くのを待ってください。
■ステップ2:受診する医療機関を選ぶ
ヒロオカクリニックも後期高齢者医療制度の健康診査を実施しています。
■ステップ3:予約する
選んだ医療機関に電話するなどして、受診日時を予約します。
■ステップ4:受診する
予約した日時に医療機関を訪れ、健康診査を受けます。健康診査票と健康保険証を持参してください。
■ステップ5:受診結果の説明を受ける
健康診査の後日、医療機関が受診者に対して受診結果を説明します。
健康診査の日は、10時間前は水以外の飲食物は摂取しないようにしてください。
75歳以上の健康と病気について
75歳以上の方に健康診査の受診をすすめるのは、もちろん元気に生活していただきたいからなのですが、後期高齢者ならではの健康事情と病気事業があるからです。
厚生労働省は前期高齢者(65~74歳)と後期高齢者を次のようにわけて認識しています(*4)。
■前期高齢者の特徴
・後期高齢者と比べると健康度が高く活動的
・後期高齢者と比べると社会的貢献度が高い
・後期高齢者と比べると就労意欲が高く就労率が高い
■後期高齢者の特徴
・前期高齢者と比べると心身の機能の減衰が顕在化している
・前期高齢者と比べると老年症候群やフレイル(虚弱)、認知症が増える
・医療機関受診の割合が高い(85.8%)
・要介護認定者の割合が高い(86.4%)
このように、75歳以上になると健康リスクと病気リスクが急に上がります。
さらに後期高齢者には、次のような生理学的な特徴もみられます。
■後期高齢者の生理学的な特徴
・1人で多くの病気を持ち、しかも慢性的になっている
・病気の完全治癒が難しい
・細胞内の水分が少なく、水や電解質の代謝異常を起こしやすい
・病気の症状が非定型であることが多い
・認知症が隠れていることがある
・薬による副作用などの有害事象を発現しやすい
・社会的・心理的な状態が病気の経過や予後に影響を与えやすい
これらが示唆することは、病気になりやすく、病気が続きやすく、病気が治りにくい、ということです。
いずれも「健康診査を受けてしっかり健康チェックを継続したほうがよい」理由になります。
*4 厚生労働省 後期高齢者の健康(2016年06月17日 厚生労働省 市町村セミナー)
まとめ~ヒロオカクリニックでも75歳以上の方の健康診査を行っています
記事の内容を箇条書きでまとめます。
・75歳以上の後期高齢者になると公的医療保険が後期高齢者医療制度に変わる
・ただ健康診断(健康診査)は国民健康保険のものと同じ
・検査項目も国民健康保険のものと同じ
・健康診査は無料
・新宿区民の場合は75歳以上になると新宿区から健康診査票が届くので、医療機関を選んで受診するだけ
・後期高齢者は健康リスクと病気リスクが急激に悪化するので、健康診査を受けることを推奨します
ヒロオカクリニックでも75歳以上の方の健康診査を実施していますので、なんでもご相談ください。