メタボリックシンドロームには「治療法」はある
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メタボリックシンドローム(メタボリック症候群、以下、メタボ)は、放置すると生死に関わる心臓病や脳の病気に進んでしまう、深刻な病態です。
ではメタボと診断されたら、どのような治療が始まるのかというと、食事療法と運動療法がメインになります。
食生活と運動習慣の改善は、メタボに関係なく重要です。つまり、メタボでは、治療法もさることながら、予防も重要になってきます。
この記事では、メタボの食事療法と運動療法を解説したうえで、予防法を紹介します。
次の条件を満たすとメタボと診断されます(*1)。
<メタボリックシンドロームの定義(診断基準)>
●条件Aと条件Bの両方を満たしたとき、メタボリックシンドロームと診断する
●条件A:内臓脂肪面積(ウエストで推定する)
・男性はウエスト85cm以上
・女性はウエスト90cm以上
●条件B:以下の3項目のうち、2つ以上に該当する
1)高トリグリセリド血症(150mg/dL以上)かつ・または低HDLコレステロール血症(40 mg/dL未満)
2)高血圧(収縮期血圧130mmHg以上かつ・または拡張期血圧85mmHg以上)
3)高血糖(空腹時、110mg/dL以上)
メタボ治療としての食事療法
ここからは、国立循環器病研究センターが紹介しているメタボ治療としての食事療法と運動療法を紹介します(*2)。
まず、食事療法を解説します。
和食がよい、欧米食は遠ざけよう
メタボと診断された方は、米飯、魚、野菜、大豆を意識して食べましょう。昔ながらの日本の食事が、メタボ治療になります。
また、食物繊維はインスリンの働きを助けるので、糖尿病予防になるので重要です。
さらに、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった栄養素も意識して摂るようにしてください。食事でこれらの栄養素を摂ることができなければ、サプリメントを使ってください。
逆に、牛乳、乳製品、肉といった動物性脂肪を多く摂る欧米型の食事は回避しましょう。
摂取カロリーを控える
食事療法では、腹八分目も重要です。メタボの診断基準になっている内臓脂肪が多い人は、お腹いっぱい(腹10分目)まで食べる傾向があるので注意してください。
1日に摂取するカロリーは、1日の適正エネルギー量としてください。
1日の適正エネルギー量の計算式は以下のとおりです。
<1日の適正エネルギー量の計算式>
●デスクワークや主婦・主夫など軽い労作の人の適正エネルギー量
・標準体重(kg)×25~30kcal
●立ち仕事が多い普通の労作の人の適正エネルギー量
・標準体重(kg)×30~35kcal
●力仕事が多い重い労作の人の適正エネルギー量
・標準体重(kg)×35~40kcal
●標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
例えば、身長1.7mで立ち仕事が多い人の1日の適正エネルギー量は1,907~2,225kcal(=1.7m×1.7m×22×30~35kcal)となります。1日にこれ以上食べないことが理想です。
身長1.5mで軽い労作の人の1日の適正エネルギー量は1,238~1,485kcal(=1.5m×1.5m×22×25~30kcal)となります。
メタボ治療としての運動療法
メタボ治療としての運動療法の基本方針はこちらになります。
●ややきつめの有酸素運動を1回30~60分、週2~5回
60分運動、週5回を目指そう
「ややきつめ」は、汗はかくが会話ができる程度であり、全力の40~60%程度です。メタボ治療の運動療法は、スポーツのためのトレーニングではないので、「きつめ」や「全力」は避けてください。
有酸素運動とは、酸素をたくさん吸って脂肪を燃焼させる運動で、ウォーキング、ジョギング、サイクリングがそれに該当します。
「1回30分、週2回」と「1回60分、週5回」はかなり開きがあります。自分の体調に合わせて調整してください。
運動習慣がない人や、運動が苦手な人は、最初は少なめから始めて、最終的に「1回60分、週5回」を目指してはいかがでしょうか。
「意識していない運動」をやろう
ウォーキングやジョギングなどは、意識しないとできない運動ですが、「立っている」「うろうろする」「歩く」は意識せずにできる運動です。そして、この意識していない運動も、結構カロリーを使うので運動効果が期待できます。
デスクワークの人も、考えたり、資料を読み込んだりする作業なら、立ってでもできます。
また、会社や駅でエスカレーターやエレベーターを使わず階段を使えば、歩数を稼ぐことができます。
まとめ~メタボ前から始めましょう
上記の食事療法と運動療法の解説を読んで「そんなに大変じゃない」と思った人も多いのではないでしょうか。その感想は正解です。ぜひ、メタボと診断されていない人も、食事療法と運動療法を始めてみてください。簡単なのに効果のあるメタボ予防になります。
国立循環器病研究センターは「メタボ予防10カ条」を紹介しています。
・腹八分目
・脂肪は控えめに
・主食はお米、できれば玄米
・塩分控えめ
・食物繊維多め
・食事は朝、昼、夕、規則正しく、間食はしない
・ゆっくりかんで食べる
・アルコールを飲みすぎない&禁煙
・毎日体を動かす
・座っている時間を短くする、立っているだけでもよい
いずれも、多くの人が「健康のためにやらなければならない」と思っていることだと思います。あとは実行あるのみです。
新宿 ヒロオカクリニックでは、「かかりつけ医」として常勤の宮本医師(総合内科専門医)を中心に糖尿病専門医、循環器内科専門医、腎臓専門医等の多くの専門医が協力して各種生活習慣病の診察・治療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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