栄養解析とは?血液検査でわかることやおすすめする方について解説
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「検査で異常なしだったにもかかわらず、なんとなく調子が悪い」「治療を受けていても、なかなか改善しない」という人は、栄養不足が関係しているかもしれません。今回は「栄養解析」という栄養素にフォーカスした精密検査について、検査でわかることや対応できる症状・疾患、一般の血液検査との違いについてわかりやすく解説します。当院でおこなっている栄養解析についてもご紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてください。
栄養解析とは?
栄養解析とは、「オーソモレキュラー栄養療法」で治療をする際におこなう検査をいいます。一般的な血液検査や尿検査と特徴が大きく異なるため、次から詳しくみていきましょう。
栄養解析の基本情報
栄養解析では血液や尿のデータから、体の不調を起こしている原因をオーソモレキュラー栄養療法の理論に基づいて分析します。血液検査では50~70項目の詳細なデータを取ります。得られた検査結果から、タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン類・ミネラルなどの栄養素が、正しく吸収され利用されているのか、どのくらい不足しているのかを細胞レベルで調査するのです。
血液検査による栄養解析からわかること
健康診断や人間ドッグで異常なしと判定されても、なんとなく調子が悪いというときは、栄養不足が関連している可能性があります。血液検査による栄養解析でわかることに以下のものがあります。
- ● タンパク質が不足していないか、必要な量が合成されているか
- ● 鉄分が不足して、隠れ貧血が起きていないかどうか
- ● ビタミンB群が足りているか
- ● 血糖コントロールが正しくおこなえているか
- ● 亜鉛や銅に過不足はないか
- ● カルシウムやマグネシウムに過不足はないか
- ● 酸化ストレスの状況
- ● 交感神経が緊張状態にあるかどうか
- ● 筋肉量に問題はないか
- ● 胃酸の分泌量に問題はないか
オーソモレキュラー栄養療法とは
オーソモレキュラー栄養療法は、「分子栄養学」「分子整合栄養医学」とも呼ばれています。適切な食事・サプリメント・点滴などの栄養素を用いて、人間の体を構成する約37兆個の細胞の働きを向上させることで、心身の不調を改善する治療法です。
オーソモレキュラー栄養療法は、1950年代に北米で精神疾患の治療に利用され始め、現在では生活習慣病や婦人科疾患などさまざまな疾患に応用されています。日本では2000年ごろから治療に取り入れられるようになりました。
オーソモレキュラー栄養療法の特長
従来の栄養療法は、厚生労働省が定める推奨摂取量に基づいており、誰にでも共通したものでした。オーソモレキュラー栄養療法では、一人ひとりの栄養解析の結果をもとに改善へ向けたアドバイスをおこないます。不足している栄養素をサプリメントなどで補うだけではなく、生活習慣や運動についてもアドバイスをおこない改善を図っていくのです。
そのほかのオーソモレキュラー栄養療法の特長は以下のとおりです。
- ● 医薬品に頼らず、食事・サプリメント・生活習慣によって症状改善を図るため、大きな副作用が起こりにくい
- ● 表面化した症状を抑えるだけではなく、病気や不調を引き起こす体質から根本的に治療していく
栄養解析をおすすめする人
以下の項目に当てはまる人に栄養解析をおすすめします。
- ● なんとなく体調不良が続いている
- ● 慢性疾患があり栄養バランスに問題ないか確かめたい
- ● 治療を受けているのに症状が改善しない
- ● 現在飲んでいる薬を減らしたい
- ● 医薬品の副作用が気になる
- ● 休息や睡眠をとっても倦怠感が続く
- ● 慢性的な頭痛や肩こりがある
- ● 風邪をひきやすい
- ● 体質改善して長く健康でいたい
- ● 自分に必要な栄養素やサプリメントを知りたい
栄養解析で対応できる症状・疾患
栄養解析で対応できるものには、冷え性、生理痛、肩こり等の不調や、めまい、ニキビ、シミ、発疹、花粉症、糖尿病、高血圧、自律神経失調症などがあります。
栄養解析のメリット・デメリット
栄養解析をおこなって得られるメリットと、デメリットについて、それぞれみていきましょう。
メリット
栄養解析をおこなうメリットは以下の5つが挙げられます。
- ● 一般的な健康診断ではわからない栄養素の過不足がわかる
- ● 健康診断では基準値内と診断されたケースでも異常の兆しを調べられる
- ● 「かくれ貧血」や「かくれ高血圧」など見た目ではわからない体調不良の原因が判明する
- ● なんとなく体調がすぐれないといった人にも対応できる
- ● 病気の予防や健康維持に役立てられる
デメリット
栄養解析をおこなうデメリットは次の2つです。
- ● 保険適用されないため、全額自己負担になる
- ● 定期的に検査が必要
栄養解析と保険適用の血液検査3つの違い
栄養解析と保険適用の血液検査では以下の3点に違いがあります。
- ● 検査項目
- ● 基準値
- ● 見方
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.検査項目
栄養解析と保険適用の血液検査では、検査項目の数が異なります。保険適用される血液検査は、体調に異変があるときにおこなわれるため、医師の判断で必要とされた数種類の項目のみになります。一般的な健康診断においても、血液検査の項目数は15~20項目です。
栄養解析でおこなう血液検査は50~70項目あります。検査内容は、全身の生化学検査・胃の検査・糖代謝関連・炎症系など多岐にわたります。一般的な血液検査ではあまり調べない甲状腺機能・ビタミンD・ペプシノーゲンなどの項目も栄養解析では検査可能です。
2.基準値
検査項目ごとの基準値も、一般的な血液検査と栄養解析で異なります。一般的な血液検査の基準値は、95%の人に当てはまる値が設定されています。一般的な血液検査で基準値に当てはまるのは、臓器が障害を起こさない範囲である、もしくは病気を発症しない範囲であるという意味です。基準値を外れたときは、すでに臓器が障害を起こしていたり病気を発症している状態になります。
栄養解析の基準値は、一般的な基準値と比べると厳しい値を設定しています。たとえば健康診断で測定するAST・ALTにおいて、一般には基準値を超えると「肝機能に異常がある」となり、基準値以下では問題視されません。栄養解析では基準値を下回った場合も重要視しており、AST・ALTの低値はビタミンB6不足やタンパク質代謝の低下と診断するのです。
3.検査結果の見方
一般的な血液検査と栄養解析では、同じ項目であっても判定するものが異なります。一般的な血液検査で判定するのは、臓器障害の程度です。
一方で栄養解析では、栄養素が正しく利用されているか、または不足していないかを、臓器ごとではなく全身の細胞レベルで判定しています。検査項目と判定する点の違いを下表で比較してみましょう。
一般的な血液検査 | 栄養解析 | |
---|---|---|
AST・ALT | 肝機能 | 全身状態・タンパク質代謝・ビタミン不足・酸化ストレス |
LDL-コレステロール | 動脈硬化、脳・心血管疾患 | 全身状態・タンパク質代謝・脂質代謝・糖代謝 |
ヘモグロビン | 貧血 | 全身状態・タンパク質代謝・ビタミン不足・ミネラル不足 |
栄養解析の実施方法
栄養解析を実際におこなうときの流れと費用についてご紹介します。
診療の流れ
- 1.問診・採血
現時点で感じている不調・既往歴・生活習慣などの必要事項を問診表に記入していただきます。問診表の記載内容に基づいて、採血前に医師より詳しい聞き取りをおこないます。 - 2.栄養解析レポート作成
血液検査の結果から体の状態・不足している栄養素を分析して、レポートにまとめます。レポート完成までに時間がかかる点をご了承ください。 - 3.医師より結果説明
栄養解析レポートをもとに、体の栄養状態や必要な栄養素について、医師より詳しい説明をいたします。さらに一人ひとりに適した食事内容・サプリメント・生活習慣について具体的にアドバイスをおこないます。
希望に応じて、1~2ヶ月ごとに食事やサプリメントのアドバイスをおこなうことも可能です。
費用
栄養解析による治療を受けたい場合におすすめのプランは下表のとおりです。
プラン名 | 基本プラン | フォローアッププラン |
---|---|---|
料金(税込) | 38,500円 | 51,700円 |
内容 |
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医師の診察がなく、検査と栄養解析レポートお渡しのみのプラン(税込29,700円)もあります。
サプリメントは主に(株)MSSおよび(株)BodyVoiceのメディカルサプリメントを提案しております。提案するサプリメントの金額は月2万円~6万円ほどですが、予算に応じて優先順位をつけて提案するなどの相談も可能です。実際のサプリメント購入は、月2万円~4万円の予算の人が多くみられます。
まとめ
栄養解析は、血液検査や尿検査のデータから全身の栄養状態を調べる方法です。検査項目数を増やし、基準値・結果を一般の血液検査や尿検査よりも詳細に深読みしてお身体の状態を分析します。そのため、一般の健康診断や人間ドックで異常なしと診断されても、栄養解析をおこなうと「かくれ貧血」や代謝異常など、見た目ではわからない健康上の問題点を発見できるのです。
そのような栄養解析をもとに行うオーソモレキュラー栄養療法で対応できる疾患は、生活習慣病・婦人科疾患・がん・うつ病など幅広くあります。原因不明の体調不良が続いていたり、治療を受けていても改善がみられなかったりする人におすすめです。
栄養解析による診察や治療を受けてみたい方は、ぜひヒロオカクリニックまでお気軽にお問い合わせください。
なお、診察は毎週木曜日の午後の石井医師が専門医となります。Webかお電話で石井医師をご予約下さい。