花粉症の症状とは?治療法や対策について解説

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花粉症は国民病ともいわれ、症状で悩んでいる人は、この20年間で2倍以上にもなりました。花粉の飛散シーズンが到来すると、鼻や目のつらい症状で日常生活に支障が出てしまい、なんとかしたいと思って悩んでいらっしゃる人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、以下のポイントについて分かりやすく解説します。

  • ● 花粉症で引き起こされるさまざまな症状
  • ● 一般的な花粉症の治療方法
  • ● 花粉症の症状が悪化しないための対処法

 

ほかにも花粉症にまつわる疑問や噂についても解説しますので、ぜひ最後までチェックしてください。

花粉症とは

花粉症とは

花粉症は、植物の花粉が原因となって、鼻や目などにアレルギー症状を起こす病気です。発症するメカニズムや原因となる植物についてみていきましょう。

花粉症が起こるメカニズム

花粉症は過剰な免疫反応によって引き起こされます。体のなかに異物である花粉が入ると、本来は無害であるにもかかわらず花粉を外敵とみなし、体を守るために「抗体」と呼ばれる物質が作られるのです。抗体は花粉が体に入り込むたびに量が増えていき、体内にだんだん蓄積されていきます。

抗体が一定量を超えると、次のタイミングで花粉が体内に入ったときに抗体が働いて、くしゃみや鼻水を引き起こして花粉を体から排除しようとするのです。これが花粉症を発症するメカニズムになります。

花粉症の原因植物

花粉症の原因となる主な植物は以下のとおりです。

スギ

スギは本州・四国・九州まで広い範囲に分布しているため、花粉の飛散量が非常に多くなります。日本における花粉症の原因植物でもっとも多いのがスギです。

ヒノキ

ヒノキはスギより少し遅れて花粉の飛散が始まります。スギと同じく花粉の飛散する範囲が広く性質も似ているため、スギ花粉症とヒノキ花粉症を同時に発症する人が多くみられます。

シラカンバ

シラカンバは、本州の中部から北部と北海道に分布しています。北海道では、スギ花粉症よりもシラカンバ花粉症の方が患者数が多いです。

イネ科

イネ科は種類によって異なりますが、初夏から秋まで長く花粉が飛散します。スギ花粉症より目の症状が強く、イネ科花粉に触れると皮膚症状もあらわれる特徴があります。

ブタクサ

ブタクサは日本中に分布している秋の花粉症の代表植物です。花粉粒子がほかのものより小さいため、気管支まで入りやすく、咳や喘息発作を起こしやすい特徴があります。

ヨモギ

ヨモギは繁殖力が強く、全国に分布しています。ブタクサと同様、花粉粒子が小さい特徴があり、呼吸器症状が起こりやすいです。

花粉症が発症する主な時期

花粉症が起こりやすい時期は、原因となる植物の花粉が飛散する時期と深くかかわっています。主な原因植物の花粉飛散時期を表にまとめました。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
スギ
ヒノキ
シラカンバ
イネ科
ブタクサ
ヨモギ

花粉症でみられる症状

花粉症でみられる症状

花粉症でよくみられる症状は次のとおりです。

  • ● くしゃみ・鼻水
  • ● 鼻づまり
  • ● 咳
  • ● のどのかゆみ・イガイガ感
  • ● 目のかゆみ
  • ● 頭痛・頭重

 

それぞれの症状について詳しくみていきましょう。

くしゃみ・鼻水

くしゃみ・鼻水は、鼻の粘膜に花粉がついたことで、体内の免疫システムが働いて「ヒスタミン」という化学物質を放出し、花粉を体から排出しようとするため発症します。

鼻づまり

鼻づまりは鼻の粘膜に花粉がついたことで、体内から「ロイコトリエン」という化学物質が放出され、血管が広がり粘膜が腫れてしまうため起こる症状です。

花粉症の時期は、鼻だけではなく気道や気管支の粘膜も敏感になっているため、わずかな刺激にも反応して、咳が出やすくなっています。花粉症で出る咳は、痰のからまない乾いた咳であることが特徴です。もともと喘息持ちの人は、花粉によって症状が悪化しやすい傾向があります。

のどのかゆみ・イガイガ感

のどのかゆみやイガイガ感は、のどの粘膜に花粉が付着してアレルギー反応を起こしている状態です。イガイガ感は風邪と似ていますが、風邪のときは1週間ほどで症状が改善します。ほかにも風邪の場合、目のかゆみは伴わない点、鼻水は粘り気があり黄色っぽい点で、花粉症と区別できます。

目のかゆみ

目のかゆみは、目の粘膜に花粉が付着して「ヒスタミン」という化学物質が放出することで発症します。目の症状はかゆみのほかに、ヒスタミンが目の血管を広げるため、充血が起こることもあります。

頭痛・頭重

花粉症で鼻水や鼻づまりが出ているときは、鼻の粘膜が炎症を起こしている状態です。鼻の粘膜の炎症が、鼻の奥の副鼻腔まで広がり副鼻腔炎を起こすと、頭痛や頭重があらわれます。

花粉症でおこなわれる検査

花粉症でおこなわれる検査

花粉症が疑われたときにおこなう検査は主に4種類あります。それぞれの検査について詳しく解説します。

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血中IgE検査

IgEとは、アレルギーの原因物質から体を守る働きをする抗体です。血中IgE検査では、血液中に含まれるIgEの全体量と、特定の花粉に対するIgEの量を調べます。アレルギー体質であったり、特定の花粉にアレルギーがあったりすると、IgEの量が増えることで花粉症であるかどうか判定できます。

皮膚反応検査

皮膚反応検査はプリックテストとも呼ばれています。実際の手順は、花粉エキスを皮膚へ乗せたあと、その表面を軽く引っかき15分ほどおいてから、皮膚の反応を調べます。該当する花粉にアレルギーがあると、引っかいた部分が赤く腫れたようになるのです。

鼻粘膜誘発テスト

鼻粘膜誘発テストは、花粉エキスを含んだ紙を鼻の粘膜につけて、鼻水やくしゃみなどの反応があるかどうかを確認するものです。

鼻鏡検査

鼻鏡を使って、鼻の粘膜や鼻水の状態を直接観察する検査です。ファイバースコープという細い内視鏡を使用することもあり、ポリープや副鼻腔炎を発症しているかどうか確認するときに重要な検査となります。

花粉症の治療方法とは

花粉症の治療方法とは

花粉症の治療方法は、薬物療法・アレルゲン免疫療法・手術療法があります。ひとつずつ詳しくみていきましょう。

薬物療法

花粉症では薬物療法が基本となります。よく使われる薬剤は以下のとおりです。

抗ヒスタミン薬

くしゃみ・鼻水・目のかゆみを引き起こす「ヒスタミン」の働きを抑える薬です。抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代があります。

第一世代はヒスタミンの働きを抑える作用が第二世代より強力ですが、内服すると眠気や口が乾くなどの副作用が起こりやすい特徴があります。第二世代は薬剤によって差はありますが、内服しても眠気や口が乾くなどの副作用が起こりにくいです。第二世代はヒスタミンの働きを抑える作用のほかに、ヒスタミンが放出されないようにする作用もあります。

抗ロイコトリエン薬

ロイコトリエンは、血管を拡張させ粘膜の炎症や腫れを起こすため、花粉症では鼻づまりの原因となります。抗ロイコトリエン薬は、ロイコトリエンの働きを抑えて鼻づまりの症状をやわらげます。抗ロイコトリエン薬は喘息症状があらわれたときにも使用される薬です。

ステロイド薬

抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬を使用しても、鼻や目の症状が改善しないときにステロイド薬が使われます。ステロイド薬は、炎症を抑える作用が強力です。点鼻薬や点眼薬のように限られた範囲の使用にすると、感染症や胃潰瘍など全身の副作用が起こりにくくなります。

アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因物質をごく少量ずつ摂取して、体を徐々にならしていく方法です。アレルギー症状を長期的にやわらげたり、薬の量を減らしたりする効果が期待されています。

花粉症治療では、原因となる花粉成分が含まれた錠剤を舌の下で溶かす舌下免疫療法と、原因となる花粉成分を注射する皮下免疫療法がありますが、現在は主に舌下免疫療法が行なわれています。治療期間は3~5年かかります。アレルゲン免疫療法の治療効果は、スギ花粉について約70%の患者さんに有効性が認められています。

舌下免疫療法

舌下免疫療法は初回のみ医療機関で服用し、その後は自宅での服薬治療となります。問題なければ、通院間隔は月1回程度で治療可能です。

毎日欠かさず服薬しなければならないため、治療に対する患者さんの深い理解が必要となります。花粉症で舌下免疫療法の治療ができるのは、現在スギ花粉のみです。

手術療法

薬物療法で症状が改善しない場合に、手術療法が検討されます。手術では鼻の粘膜を切除したり、後鼻神経を遮断したりして、鼻水や鼻づまりの症状をやわらげるのです。

手術の手法には、凍結手術、化学剤手術、レーザー手術、超音波凝固など複数あります。花粉症における手術の多くは、日帰りでおこなえます。

症状がひどくならないための花粉症対策

症状がひどくならないための花粉症対策

花粉症は出ている症状を治療するだけではなく、症状がひどくならないように予防することも大切です。日ごろから取り組める対策方法を紹介します。

花粉から身を守る

花粉を体内に入れないようにすることがもっとも重要です。花粉が飛散している時期は、マスク・メガネ・ゴーグルで鼻や目をカバーしましょう。顔周りが花粉にさらされないように、帽子をかぶるのもひとつの手です。

花粉を家の中に持ち込まない

花粉から身を守る対策をおこなっても、衣服などについた花粉が屋内に入ってしまうと花粉症の症状が出てしまいます。外出から帰宅したときに玄関先で衣服を払ったり、洗濯物や布団を取り込む前に花粉を払い落したりしましょう。

外出するときの衣服は、表面がなめらかな素材の方が花粉がつきにくくなります。また花粉の飛散量が多い日は、洗濯物を外に干すのを控えるとよいです。

花粉飛散量が多い日の外出を控える

花粉飛散量が多いと、花粉にさらされる確率が高くなるため、不要不急の外出は控えましょう。テレビやインターネットで報じられる花粉飛散量の予測を確認するとよいです。ほかにも次の条件では、花粉がより多く飛散するため参考にしてください。

  • ● 風が強い日
  • ● 気温が高く、湿度が低い日
  • ● 雨が降った翌日

バランスのよい食生活を心がける

花粉症にかかわる免疫システムの悪化を防ぐため、栄養が偏らないように主菜・副菜・主食をきちんととりましょう。アルコールの飲み過ぎも、鼻粘膜の状態を悪化させる因子となるため注意してください。

花粉症などのアレルギー症状には、腸内環境がかかわっています。腸内環境を悪化させる脂肪分や糖分の多い食品のとり過ぎに注意しましょう。

花粉症のよくある質問

花粉症のよくある質問

花粉症にまつわる疑問や噂をQ&A方式で解説します。

花粉症になりやすい人はいるの?

花粉症になりやすい人の特徴は、次の2点があげられます。

  • ● アトピーや食物アレルギーを持っているなど、遺伝的にアレルギー体質である
  • ● 排ガス・黄砂・PM2.5など大気汚染されている環境で長期間過ごしている

花粉症で熱が出ることはある?

花粉症で高熱が出ることはほとんどありません。花粉によって起きた鼻やのどの炎症反応で微熱が出る人がいます。

症状がつらいときだけ薬を使用すればよい?

花粉症では、症状がつらいときのみの服薬では効果が不十分になる可能性があります。症状の軽いうちから治療を始めて、シーズンが終わるまで継続するようにしましょう。

いったんアレルギー反応を起こすと、鼻や目の粘膜が過敏になり、わずかな花粉の刺激にも強く反応してしまうのです。花粉症の症状が出始めてすぐに抗アレルギー薬の治療を開始した方が、花粉の飛散量がピークに達しても重症化せず過ごせることが期待できます。

まとめ

花粉症は年間を通して発症

花粉症はスギ・ヒノキ・ブタクサなど、年間を通してさまざまな植物の花粉が原因となって発症します。主な症状は鼻水・くしゃみ・目のかゆみがあり、人によってはのどのかゆみや頭痛もみられます。

花粉症の治療方法は、薬物療法が基本です。長期的に症状をやわらげるアレルゲン免疫療法や、薬物治療などで十分な効果が得られないときの手術療法もあります。

花粉症は、あらわれている症状の治療だけではなく、症状が悪化しないように予防も大切です。体内に花粉を取り込まないためにマスクやメガネを着用したり、花粉飛散量が多い日は不要不急の外出を控えたりして対策をとるようにしましょう。

ヒロオカクリニックでは、花粉症の診察・治療をおこなっております。花粉症でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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