乾癬の原因と免疫との関係を解説~治療薬「スキリージ」の作用の仕方をみながら
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肌の一部が赤くなって盛り上がる乾癬(かんせん)の原因について日本皮膚科学会は「まだ完全にはわかっていない」と説明しています(*1)。
ただ、免疫が関わっているらしい、ということまではわかってきました。
そこでこの記事では、体内の免疫の機構に働きかけて乾癬の治療を目指すスキリージ(一般名、リサンキズマブ)という薬に着目し、この病気のメカニズムを解説します。
なお乾癬の基礎知識については記事の後半にまとめました。
スキリージの基礎知識
スキリージを製造販売しているのはアッヴィ合同会社(本社・東京都港区)で、同社はアメリカのアッヴィ・インク社の日本法人です(*2)。
スキリージは処方箋医薬品で、医師の処方がないと投与することができません。液体で、注射や点滴で投与します。
スキリージは乾癬のうち、尋常性乾癬や関節症性乾癬などの治療に使われます。
2019年に厚生労働省が製造販売を承認し販売されました(*3)。
サイトカインとスキリージ
乾癬とスキリージを理解するときにキーワードになるのがサイトカインです。
そこでサイトカインについて先に解説します。これは免疫に深く関わっている物質です。
免疫の立役者
免疫について「よくわからない」と感じることは無理からぬことです。免疫は、ウイルスなどから体を防御する機能なのですが、「何がどう働くのか」といったメカニズムはかなり複雑です。しかも免疫の機能が発揮される仕方は複数あります。
サイトカインが関わる現象も免疫の1つです。
サイトカインは炎症を起こす物質です。
炎症と聞くとよくないことのように感じるかもしれませんが、実はよい現象です。体内にウイルスなどが侵入すると免疫細胞がそれを叩こうとします。このときの免疫細胞の激しい活動で炎症が起きます。
炎症は免疫の機能がしっかり作用している証拠といえ、それを引き起こすサイトカインは免疫の立役者といえるでしょう。
2つのサイトカインからの炎症、そして乾癬
サイトカインにはいくつか種類があり、乾癬に関わるのは主にTNF-αとIL-23とIL-17というサイトカインです。
何らかの刺激によってIL-23の分泌が増え、最終的にIL-17が増えます。
IL-17は、皮膚や血管などに作用して炎症を引き起こし、皮膚の角化細胞の増殖を促します。これが乾癬の症状になります(*4)。
ここまでの流れをまとめるとこのようになります。
刺激
↓
IL-23(サイトカインその1)が増える
↓
リンパ球の過度な活性化(免疫が過度にパワーアップ)
↓
IL-17(サイトカインその2)が増える
↓
炎症が起きて皮膚の角化細胞が増殖し乾癬につながる
このように、乾癬は免疫の暴走(免疫の過度なパワーアップ)によって起きる、と考えることができます。
スキリージはIL-23を抑制する
スキリージはIL-23と結合することでIL-23の働きを抑える薬です(*5、*6)。
IL-23を拮抗するので、IL-17が増えず、炎症が起きず、乾癬の症状が和らぐことになります。これがスキリージの作用機序になります。
スキリージの対象者、治療法、副作用
スキリージは高額で特殊な薬と位置づけられているので、すべての乾癬患者さんにこの薬が処方されるわけでありません。
スキリージの対象者、治療法、副作用を紹介します。
従来の治療で効果が出なかった人が対象
スキリージを使った治療を受けられるのは、次の条件をクリアした人です(*7)。
■スキリージを使った治療の対象者の条件
尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症と診断され、次のいずれかに該当する
・塗り薬や紫外線を用いた治療、飲み薬など、従来の治療では十分な効果が得られず、皮膚の症状が全身の10%(手のひら約10個分)以上にある方
・治りにくい皮膚の症状、関節の症状や膿疱がみられる方
なお、重い感染症にかかっていたり、治療が必要な結核を発症している方や悪性腫瘍の診断をされている方などはスキリージを使うことができません。
治療スケジュール
スキリージは注射器で、お腹、太もも、腕、お尻のいずれかの乾癬が発症していない場所に打って投与します。
最初に投与したら4週間空けて再び投与します。その後は12週間隔で投与していきます。
回数や投与量は医師が検討します(*6)。
副作用
スキリージの副作用は次のとおりです。
■スキリージの副作用
・敗血症や骨髄炎などの重篤な感染症
・アナフィラキシーなどの重篤な過敏症
・注射部位の紅斑、腫脹、かゆみ、痛み、出血など
乾癬の基礎知識
乾癬の基礎知識を箇条書きで紹介します。
■乾癬の基礎知識
・典型的な症状は、紅斑、鱗屑(皮膚の粉)、肥厚(皮膚が厚くなる)、爪の変形や色調変化、時に関節炎を合併し、関節痛が出ることがある。また全身に紅斑が広がり、膿胞を伴うことがある。
・全身に起きるが、特に多い場所は頭部、肘(ひじ)、膝(ひざ)、臀部(お尻)などのこすれる部分
・かゆみが起きる確率は50%ほど
・感染症ではないので人にうつすことはない
・内臓をおかすことはない
・遺伝的要素があり、家族で発症する確率は20~40%
・日本の発症率は0.1%、白人は2、3%
・治療によって完治する確率は30~70%
まとめ~早めに治療に取りかかりましょう
乾癬はいわゆる「生き死にに関わる病気」ではないのですが、その見た目は気持ちに影響を与えますし、かゆみが発生すると生活に支障が出るでしょう。
スキリージは厚生労働省が認可していますが、まだ特殊な薬といえ、これを使う前に従来の治療を受ける必要があります。
従来の治療法でも効果が期待できます。
乾癬は症状が肌に現れるので、発症しているかどうかはみてわかります。早く症状をなくして早く従来の気持ちや生活を取り戻すため、「あれ?」と思ったら早めに皮膚科クリニックを受診するようにしてください。
ヒロオカクリニックではスキリージの治療を行っている東京医科大学病院 皮膚科から専門医の先生を派遣していただき、東京医科大学病院と連携して治療を行っております。
乾癬でお悩みの方で初診の方は金曜日の午後の皮膚科をご予約頂き、ご相談ください。
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