皮膚が赤く盛り上がる乾癬(かんせん)と治療薬トレムフィアを解説
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乾癬(かんせん)は炎症をともなう皮膚の慢性的な病気です。
目立つ場所に乾癬ができると見た目がとても気になるでしょう。また、かゆみによって生活に支障が出るかもしれません。
この記事では乾癬の症状と原因について説明したうえで、その治療薬であるトレムフィア(一般名、グセルクマブ)を紹介します。
乾癬の症状
日本皮膚科学会は乾癬を「銀白色の鱗屑(りんせつ)をともなう、境界明瞭な盛り上がった紅斑が全身に出る」皮膚の病気と定義しています(*1)。
鱗屑とは皮膚の粉のことで、頭皮のフケのように細かくて白いものがボロボロこぼれ落ちます。
典型的な症状は紅斑、鱗屑、肥厚、
鱗屑以外の典型的な症状は肥厚、紅斑です。
肥厚は皮膚が厚くなる症状です。乾癬では皮膚の細胞が過剰につくられるので肥厚が現れます。
紅斑は、乾癬によって炎症が生じるので、幹部が赤くみえるようになります(*2)。
かゆみ、全身にできる、感染しない、QOL低下
かゆみは約半分の患者さんに現れますが、多くの場合、かゆみの強さはそれほどではありません。
入浴、アルコール摂取、香辛料の強いものを食べる、といったことをして体が温まるとかゆみが生じることがあります。
乾癬は全身にできる可能性がありますが、特にこすれる部分や刺激を受ける部分にできやすい傾向があります。例えば、頭部、肘(ひじ)、膝(ひざ)、臀部(お尻)などです。背中一面に広がることもあります。
頭部は、髪の毛が生える刺激が乾癬を招くこともあります。
乾癬は感染しません。つまり、他人にうつすことはありません。
乾癬が内臓をおかすことはなく、いわゆる「生き死にに関わる病気」ではありません。ただ見た目の悪さが気になって生活に支障が出たり、精神的に傷つくこともあります。かゆみによって活動が停滞することもあります。
生活の質(QOL)が著しく低下することがあるので、早期に治療に取りかかることがすすめられます。
乾癬の原因~完全にはわかっていない
日本皮膚科学会は、乾癬の原因は明確にはわかっていない、としています(*3)。
ただ、家族が発症していると20~40%の確率で発症することがあるので、遺伝的要素があることは明確なようです。
また、免疫に関わっているという指摘もあります。この点は次の章で解説します。
長期的に増加傾向にある
乾癬の発症率は人口の0.1%ほどで「すごく高い」わけではありませんが「すごく珍しい病気」でもありません。
日本皮膚科学会は、患者数は増加傾向にあるとしています。
白人の発症率が高く、2、3%とされています。
乾癬の治療法
乾癬の治療は、ステロイドやビタミンD3などの塗り薬から始まって、それで症状が治まらない場合は飲み薬であるレチノイド、シクロスポリン、メソトレキサートを使います。
また紫外線療法を提案する医師もいるでしょう。
これらの治療で効果が出ない場合、抗体療法に移行することがあります。抗体療法は、乾癬の免疫に関わっている性質に着目した治療法で、薬を使います。その1つがトレムフィアになります。
トレムフィアについて
トレムフィアは液体で、患者さんの皮下に注射して投与します。注射する場所は、二の腕、お腹、太もものうち「乾癬の症状がない部分」です。
トレムフィアの製造販売元はヤンセンファーマ、販売元は大鵬薬品工業です(*4、*5)。
サイトカインの働きを抑制する
乾癬では、サイトカインという免疫に関わる細胞が増加することで炎症が起きていることがわかっています。
トレムフィアはサイトカインの働きを弱めます。
サイトカインの1つであるIL-23細胞が過剰に増えると別のサイトカイン、IL-17細胞が放出され乾癬の不快な症状が発生します。
トレムフィアはIL-23の働きを抑えることでIL-17を減らして症状の改善を目指します。
トレムフィアの副作用
トレムフィアの副作用は次のとおりです。
・風邪や肺炎、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる
・注射した部分が赤くなったり、痛みを感じたりする
・結核の再燃
・アナフィラキシーなどの過敏症
完治する確率は30~70%
乾癬治療の効果は高く、30~70%の患者さんは治療によって発疹が完全に消失します。
また完全に治らなくても、治療によって長期間症状が出ないこともあります。治療で症状が軽減したら、肌に刺激を与えないように生活するとよいでしょう。
まとめ~生活の質を維持するために早期治療を
乾癬は「我慢すれば我慢できてしまう」病気なので、症状が出てもクリニックにかからない方が少なくありません。
しかし乾癬は症状が拡大したり、生活の質を低下させたりするので、皮膚の異常がみつかったら早めに皮膚科にかかることをおすすめします。
ヒロオカクリニックではトレムフィアの治療を行っている東京医科大学病院 皮膚科から専門医の先生を派遣していただき、東京医科大学病院と連携して治療を行っております。
乾癬でお悩みの方で初診の方は金曜日の午後の皮膚科をご予約頂き、ご相談ください。
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