アレルギー検査の種類と内容と費用「つらさを解消する最初の1歩」
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アレルギーの治療は、アレルギー反応を起こしている原因を突き止めることから始めます。
原因がわかれば、それを除去したり、そこから離れたりすればよいわけです。
しかしアレルギーの原因追及は簡単ではなく、医学の力が必要になります。
医療機関で行なっているアレルギー検査の種類と内容、費用について解説します。
なぜ原因の特定は難しいのか
アレルギー反応の原因となる物質のことをアレルゲンといいます。
小麦アレルギーの人は、小麦粉がアレルゲンになるので、パンやうどんなどを食べるとアレルギー反応が起きます。
「小麦粉=アレルゲン」であれば単純明快に感じますが、治療現場での原因特定はもっと複雑です。
例えば、パンと牛乳を口にしてアレルギー反応が起きた場合、小麦粉も牛乳もアレルゲンになりえるので、検査しないと特定できません。
また、猫を飼っている家のなかでパンと牛乳を口にした場合、小麦粉、牛乳に加えて、猫のタンパク質、ダニ、ハウスダストもアレルゲン候補になり、特定はさらに困難になります。
アレルギー反応は複雑な経過を経て発生するので、原因特定が難しくなります。
MAST36、MAST48mix検査
MAST36検査とMAST48mix検査の正式名称は、特異的IgE検査といい、患者さんから血液を採取してアレルゲンを調べます。36と48は、特定できるアレルゲンの数です。
MAST36検査でわかるのは次の36個のアレルゲンです。
<MAST36検査でわかるアレルゲン> | |
食物 | 牛乳、小麦、卵白、オボムコイド、ゴマ、そば、大豆、コメ、ピーナッツ、マグロ、サケ、エビ、カニ、豚肉、牛肉、鶏肉、トマト、桃、キウイ、バナナ |
花粉 | スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカバ、ヨモギ、オオアワガエリ、カモガヤ、ブタクサ |
その他 | ハウスダスト、アスペルギルス、カンジダ、ラテックス、コナヒョウヒダニ、犬、猫、アルテルナリア(カビ) |
MAST48mix検査は、上記の36項目に加えて、次のアレルゲンを特定できます。
<MAST48mix検査でわかるアレルゲンのうち、MAST36検査にないもの>
●サバ
●木の実(アーモンドやクルミなど)
●イネ科のさらに詳しい項目
●ブタクサのさらに詳しい項目
●ダニのさらに詳しい項目
●カビのさらに詳しい項目
患者さんの感覚や、医師の見立てから「アレルゲンは恐らくこれだろう」と推定できる場合はMAST36検査を行ない、まったく見当がつかない場合はMAST48mix検査を行なうことになるでしょう。
VIEW39検査
VIEW39検査では、次のアレルゲンがわかります。
<VIEW39検査でわかるアレルゲン> | |
食物 | (MAST36検査と共通) 牛乳、小麦、卵白、オボムコイド、ゴマ、そば、大豆、コメ、ピーナッツ、マグロ、サケ、エビ、カニ、豚肉、牛肉、鶏肉、キウイ、バナナ (MAST36検査になくて、VIEW39検査にあるもの) あり:リンゴ、サバ (MAST36検査にあって、VIEW39検査にないもの) なし:トマト、桃 |
花粉 | (すべてMAST36検査と共通) スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカバ、ヨモギ、オオアワガエリ、カモガヤ、ブタクサ |
その他 | (MAST36検査と共通) ハウスダスト、アスペルギルス、カンジダ、ラテックス、犬、猫、アルテルナリア(カビ) (MAST36検査になくて、VIEW39検査にあるもの) あり:ヤケヒョウヒダニ、ゴキブリ、蛾、マラセチア (MAST36検査にあって、VIEW39検査にないもの) なし:コナヒョウヒダニ |
MAST36検査とほぼ同じですが、なかには、「MAST36検査になくて、VIEW39検査にある項目」と「MAST36検査にあって、VIEW39検査にない項目」がありますので、それも表記しました。
あるジャンルのなかで特定する場合の検査
MAST36検査やVIEW39検査などは、ジャンルがわからないときに行ないますが、アレルギーでは「どうも花粉らしい」「どうもダニらしい」といった見当がつくことがあります。
アレルゲンのジャンルが大体わかっているときは、ジャンルごとの検査を行ない、アレルゲンを特定していきます。
ジャンル別検査には次のようなものがあります。
●樹木の花粉の検査
●その他植物の花粉検査
●甲殻類の検査
●食物の検査
●果物の検査
●屋内系の検査
●動物の検査
例えば、「スギかヒノキのようだ」というところまでわかっていれば、樹木の花粉の検査を行ない、「エビかカニのようだ」とわかっていれば、甲殻類の検査をします。
公的医療保険が使え、10,000円ぐらいかそれ以下
アレルギー検査は、症状が出ていれば健康保険などの公的医療保険を使うことができます。
診察料込みのアレルギー検査の費用は、3割負担の患者さんで数千円~10,000円程度ぐらいです。
どういうときに検査を受けたほうがよいのか:反応が出たらすぐ
アレルギー検査は、アレルギー反応が起きたらすぐに受けたほうがよいでしょう。
なぜならアレルギー反応はつらく、日常生活や仕事に大きな支障を与えるからです。
さらに、我慢して治るものではなく、放置すると悪化するかもしれないからです。
アレルギー検査を早めに受けて、原因(アレルゲン)を特定して、その原因を身の回りから除去したり、それを回避したりする必要があります。
次のような症状が「なぜかわからないが」起きたら、アレルギー検査を受ける「価値」が十分にあるといえます。
<アレルギー検査を受けたほうがよい症状>
咳、目の充血、鼻水、くしゃみ、胸の痛み、息苦しさ、下痢、皮膚の発疹
まとめ~「楽さ」を得ましょう
アレルギー反応は、生活に加わる新たな苦しさといえます。人生は、普通に生活するだけでもいろいろな苦難があるので、新たな苦しさは早々に除去したほうがよいでしょう。
その第1歩がアレルギー検査になります。検査を受けて治療を開始して、早く楽になりませんか。