そういえば「微熱とは」何度からのことなのでしょうか:37.4度以下?
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体温が何度になると微熱と呼ばれるのでしょうか。
体温計測は、最も単純な検査でありながら、かなり確実に病気の有無を調べることができる優れた検査です。
新型コロナウイルス感染症でも熱は重要な指標になっていて、厚生労働省は37.5度以上の発熱が4日以上続く場合、行政機関に相談するよう呼びかけています(*1)。
微熱は発熱の温度より下のはずですので、微熱は少なくとも37.5度よりは下のことを指すようです。
微熱も平熱も定義はない
発熱の温度は定まっていて、先ほど紹介した37.5度以上です。医師は患者さんの体温が37.5度以上だと「何か病気が潜んでいるはずだ」と疑います。
発熱より深刻な体温のことを高熱といい、これは38度以上のことです。
微熱については定義がありませんが、微熱は多くの人が使っている概念なので「何度なのか」を把握しておきたいところです。
微熱:平熱超~発熱未満
発熱と高熱と平熱(異常のない体温)の定義から消去法で、微熱は次のように説明できます。
・平熱を超えているが発熱まで届かない場合、微熱と呼ぶ
「発熱まで届かない」ということなので、微熱は37.4度以下であることがわかります。
問題は「平熱を超え」の部分で、平熱の定義も簡単ではありません。
平熱は健康な人の普段の体温であり、これは人それぞれです。
平熱の説明をいくつか紹介します。
<さまざまな平熱>
・厚生労働省の資料のなかの平熱:36~37度(*2)
・小児科で用いられる子供の平熱:36.3~37.3度(*3)
したがって「37度か、37度を少し超えたあたり」が微熱の始まりと考えてよさそうです。
ここまでの内容をまとめるとこのようになり、これが1つの基準になると思います。
発熱 | 37.5度以上 |
高熱 | 38度以上 |
平熱 | 36~37度、または37度を少し超えたくらい |
微熱 | 37度、または37度を少し超えたあたり~37.4度 |
人々の体感微熱はやや低め?
体温計メーカーのタニタが、体温に関する興味深い調査を行いましたので紹介します(*4)。
タニタが2021年3月に、15~69歳の男女1,000人にインターネットリサーチを行ったところ、次のような結果になりました。
・「自分の平熱は」の質問に、7割が「36.0~36.5度」と回答、平均は36.2度
・熱があると感じるのは何度以上か、の最多回答は、微熱37.0度、発熱37.5度、高熱38.0度
・学校や仕事を休もうと考えるのは何度以上か:37.0、37.5、38度に回答が集中
これはいわば、一般の人の体感体温といえます。医学的な根拠は薄いものの「自分は大体このように思っている」という体温です。
これを、先ほどの医学的な体温と並べてみましょう。
医学的な体温 | 一般の人の体感体温
(タニタ調査の回答) |
|
発熱 | 37.5度以上 | 37.5度 |
高熱 | 38度以上 | 38.0度 |
平熱 | 36~37度、または37度を少し超えたくらい | 36.0~36.5度 |
微熱 | 37度、または37度を少し超えたあたり~37.4度 | 37.0度 |
発熱と高熱は、見事に一致しています。
平熱は、下の値(36度)は一致していますが、上の値は、一般の人の体感のほうが低めになっています。
そのため微熱も、一般の人のほうが低めから「微熱がある」と感じるようです。
37度という大台にのることが「異常かもしれない、微熱か」と感じる切っ掛けになるのかもしれません。
なぜ熱が出るのか
コロナに感染して発熱するのは、身体がコロナウイルスと戦うためです。風邪もインフルエンザもウイルスに感染して起きるので熱が出ます。
熱が出るメカニズム
体内にウイルスが侵入すると、免疫細胞が一斉に動き出してこれを除去しようとします。それと同時に、体温を調節している脳の視床下部にウイルスの侵入が知らされます。
視床下部は体の各部位に、体温を上げるよう指示を出します。
筋肉を震えさせて熱を生んだり、血管を収縮させて熱の放散を抑えたり、「寒い」と感じて室温を高くしたり服を着たりするのは、すべて体温を上げるためです。
ではなぜウイルスが侵入すると、脳(視床下部)は体温を上げようとするのでしょうか。
その理由は解明されていないのですが、ウイルスを叩く免疫細胞が、高温状態のほうが働きがよくなるからではないか、という説が有力視されています。
また、低温を好むウイルスや細菌は、体温が上がると不利になります。
熱が出るメリットとデメリット
微熱や発熱や高熱は、免疫を高めてウイルスや細菌にとって不利な状況をつくるというメリットがあります。そのため、熱が出たからといってすぐに解熱剤を飲んで熱を下げないほうがよい、と考える医師は少なくありません。
熱が出ても元気に動けるうちは解熱剤を使わないほうがよいとする医師もいます。
ただ、発熱が続くと体力を消耗し、脱水症状を引き起こし、心臓への負担が大きくなります。ひきつけや精神障害の原因にもなります。
そのため、苦しくなったら熱を下げたほうがよいといえます。
まとめ~コロナが熱への関心を高めた
先ほど紹介したタニタの調査では、コロナ禍以降、体温測定をする機会が多くなったという人が増えたこともわかりました。
熱への関心が高まっているのは、健康管理上よいことといえます。
体温測定を習慣化してみましょう。
新宿 ヒロオカクリニックでは、「かかりつけ医」として、院長の田原稔医師(内科・循環器内科)と常勤の宮本哲也医師(総合内科・消化器内科)を中心に、循環器内科専門医、消化器内科専門医、整形外科専門医、糖尿病専門医、腎臓専門医等の多くの専門医が協力して各種診察・治療を行っておりますので、体調に不安のある方はお気軽にご相談ください。詳細はこちら