PCR検査の結果はいつ出るのか【新型コロナ】
INDEX
新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大問題において「PCR検査」が注目されているのは、これによりコロナに感染しているかどうかが判断できるからです。
特に、これから何か大事な用事があってすぐに結果を知りたいような場合は、PCR検査を受けてからその結果が出るまでの期間は短ければ短いほど良いということになります。
最初に結論を申し上げると、医療機関でPCR検査を受けた場合、検査結果が出るまでには通常1~2日かかります。なぜこれだけの時間がかかるのか、今回の記事ではそのことを解説します。
PCR検査の結果が出るまでの期間は「翌日」「2~3日」など、医療機関によって異なる
はじめに当院では、受診者様に精度面でのご安心をいただける様、国内最大手の検査機関に検査を依頼しております。結果はPCR検査をした翌日には、電話で受検者様にお知らせしています(*1)。ただし、検査の翌日が休みの場合は、休み明けに連絡することになります。
電話で結果を知らせたあと紙の結果報告書も発行していて、こちらは検査日の2、3日後に受検者の自宅に届きます。(PCR検査のご予約はこちら)
検査結果が出るまでの時間は医療機関によって異なります。
例えば板橋区(東京都)は公式サイトで、区内の医療機関がPCR検査の結果を出すのは、おおむね2、3日かかるとアナウンスしています(*2)。
また、都内のある病院では、結果判明に検査から1、2日を要すると案内しています。
結論として、医療機関でPCR検査を受けた場合、PCR検査の結果が出るまでの時間は「早ければ翌日、長くても3日」の医療機関が大半と覚えておいて間違いないでしょう。
PCR検査の判定に時間がかかる理由
PCR検査の結果判明までに最短でも丸1日かかってしまうのは、次の事情があるからです。
PCR検査を行う場所と、判定を行う場所が異なるから
判定作業が2~4時間かかるから
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
PCR検査を行う場所と、判定を行う場所が異なるから
PCR検査で最も時間がかかるのは、検体の移動時間かもしれません。検体とは、受検者から採取する唾液や粘膜のことです。
検査を行う場所は、クリニックや病院などの医療機関が多いのですが、ほとんどの医療機関は自前では判定しません。
判定をするのは検査機関になるので、検体をそこまで運ばなければなりません。物理的に運ぶことになるので、移動時間はそのまま「待ち時間」になってしまいます。
判定作業が2~4時間かかるから
検査機関は、検体が届いてからPCR検査を行います。この行程では通常2~4時間かかります。
例えば大学病院では、PCR検査を次のように行います(*4)。
●遺伝子を抽出するのに1、2時間
まず、受検者から採取した唾液から、そこに「いるかもしれない」コロナの遺伝子を抽出しますが、これに1~2時間かかります。
遺伝子は、すぐに取り出せるわけではなく、唾液のネバネバを取り除くなどの下準備をしなければなりません。このときは、検体である唾液のなかにコロナがいる可能性があるので、作業者は防護服を着なければならず、これが邪魔をして素早い作業ができません。
次に、検体の唾液のなかに「いるかもしれない」コロナを壊します。もし唾液のなかに本当にコロナがいたとしても、これで感染力を奪うことができます。コロナを壊しても遺伝子は壊れません。遺伝子の抽出は、コロナを壊したあとに行います。
●PCR装置にかけて結果が出るのにさらに1~2時間
「コロナのものかもしれない」遺伝子を取り出したら、PCR装置にかけます。PCR装置内で温度を変化させて遺伝子を増やして判定しやすいようにしてから、陽性(感染している)または陰性(感染していない)の判定をします。これにさらに1~2時間かかります。
その他の時間
検体を移動させる時間と、実際にPCR検査を行う時間の他にも、さまざまな時間がかかります。
例えば、クリニックで1人の受検者の唾液を採取しても、すぐに運ぶわけにはいきません。唾液が入った容器を1個1個運ぶわけにはいかないので、運搬する時間まで待たなければなりません。
検体が検査機関に到着しても、順番待ちが発生します。さらに、PCR装置が結果を出しても、検査機関はその結果をクリニックに報告できる形にまとめなければなりません。つまり、クリニックに連絡するまでに、さらに時間がかかることになります。
このような「短い時間」を積み重ねると、トータルすると「長い時間」がかかってしまいます。検査の効率化や安全面を確保するために必要な時間ということになります。
コロナの遺伝子を特定する方法
唾液のなかにコロナの遺伝子があるかどうかを確認するのは、簡単ではありません。
例えば、ある液体が酸性かアルカリ性かをチェックするには、そこにリトマス試験紙を差し込むだけで終わり、それで瞬時に答えが出ます。しかし、コロナの遺伝子探しには、リトマス試験紙のような便利グッズはありません。
DNAまたはRNAの塩基の配列をみる
コロナの遺伝子は、DNAまたはRNAという物質で構成されています(*4)。DNAは、アデニン、チミン、シトシン、グアニンという4つの塩基でできています。RNAも4つの塩基でできていますが、チミンの代わりにウラシルが入っています。
コロナの遺伝子のDNAまたはRNAの4つの塩基は、固有の配列で並んでいます。したがって、検体から抽出した遺伝子の塩基の配列をみて、それがコロナ特有の並び方であれば陽性と判定できます。
なぜ遺伝子の数を増やすのか
先ほど、唾液のなかの「コロナかもしれない」遺伝子を、PCR装置内で増やしてから判定する、と説明しました。
遺伝子を増やす必要がなければ、つまり、1個でも遺伝子が含まれていれば陽性と判定できるのであれば、PCR検査の時間を短縮できるでしょう。しかしそれはできません。
PCR装置は、コロナの遺伝子を検知すると光る仕組みになっていますが、光らせるには一定量の遺伝子が必要になります。受検者から採取した唾液のなかのコロナ遺伝子だけでは、例えそれが本物であっても、PCR装置を光らせることができません。そのため遺伝子を増やさなければならないのです。
まとめ~時間短縮は確実に進んでいる
コロナ禍が深刻化するなかで、PCR装置のメーカーは判定時間を短くしようと必死に技術開発に取り組んでいます。例えば富士フイルムは2020年7月に、検査時間を1時間に短縮できるPCR検査の販売にこぎつけました(*5)。
陽性であることが早くわかれば、受検者を素早く隔離できたり治療できたりします。それは、感染拡大を抑制したり、重症化を抑えたりする効果を生むはずです。そして陰性であることが早くわかれば、受検者は安心して日常生活を継続できます。
新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大問題において「PCR検査」が注目されているのは、これによりコロナに感染しているかどうかが判断できるからです。
特に、これから何か大事な用事があってすぐに結果を知りたいような場合は、PCR検査を受けてからその結果が出るまでの期間は短ければ短いほど良いということになります。
最初に結論を申し上げると、医療機関でPCR検査を受けた場合、検査結果が出るまでには通常1~2日かかります。なぜこれだけの時間がかかるのか、今回の記事ではそのことを解説します。
PCR検査の結果が出るまでの期間は「翌日」「2~3日」など、医療機関によって異なる
はじめに当院では、受診者様に精度面でのご安心をいただける様、国内最大手の検査機関に検査を依頼しております。結果はPCR検査をした翌日には、電話で受検者様にお知らせしています(*1)。ただし、検査の翌日が休みの場合は、休み明けに連絡することになります。
電話で結果を知らせたあと紙の結果報告書も発行していて、こちらは検査日の2、3日後に受検者の自宅に届きます。(PCR検査のご予約はこちら)
検査結果が出るまでの時間は医療機関によって異なります。
例えば板橋区(東京都)は公式サイトで、区内の医療機関がPCR検査の結果を出すのは、おおむね2、3日かかるとアナウンスしています(*2)。
また、都内のある病院では、結果判明に検査から1、2日を要すると案内しています。
結論として、医療機関でPCR検査を受けた場合、PCR検査の結果が出るまでの時間は「早ければ翌日、長くても3日」の医療機関が大半と覚えておいて間違いないでしょう。
PCR検査の判定に時間がかかる理由
PCR検査の結果判明までに最短でも丸1日かかってしまうのは、次の事情があるからです。
PCR検査を行う場所と、判定を行う場所が異なるから
判定作業が2~4時間かかるから
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
PCR検査を行う場所と、判定を行う場所が異なるから
PCR検査で最も時間がかかるのは、検体の移動時間かもしれません。検体とは、受検者から採取する唾液や粘膜のことです。
検査を行う場所は、クリニックや病院などの医療機関が多いのですが、ほとんどの医療機関は自前では判定しません。
判定をするのは検査機関になるので、検体をそこまで運ばなければなりません。物理的に運ぶことになるので、移動時間はそのまま「待ち時間」になってしまいます。
判定作業が2~4時間かかるから
検査機関は、検体が届いてからPCR検査を行います。この行程では通常2~4時間かかります。
例えば大学病院では、PCR検査を次のように行います(*4)。
●遺伝子を抽出するのに1、2時間
まず、受検者から採取した唾液から、そこに「いるかもしれない」コロナの遺伝子を抽出しますが、これに1~2時間かかります。
遺伝子は、すぐに取り出せるわけではなく、唾液のネバネバを取り除くなどの下準備をしなければなりません。このときは、検体である唾液のなかにコロナがいる可能性があるので、作業者は防護服を着なければならず、これが邪魔をして素早い作業ができません。
次に、検体の唾液のなかに「いるかもしれない」コロナを壊します。もし唾液のなかに本当にコロナがいたとしても、これで感染力を奪うことができます。コロナを壊しても遺伝子は壊れません。遺伝子の抽出は、コロナを壊したあとに行います。
●PCR装置にかけて結果が出るのにさらに1~2時間
「コロナのものかもしれない」遺伝子を取り出したら、PCR装置にかけます。PCR装置内で温度を変化させて遺伝子を増やして判定しやすいようにしてから、陽性(感染している)または陰性(感染していない)の判定をします。これにさらに1~2時間かかります。
その他の時間
検体を移動させる時間と、実際にPCR検査を行う時間の他にも、さまざまな時間がかかります。
例えば、クリニックで1人の受検者の唾液を採取しても、すぐに運ぶわけにはいきません。唾液が入った容器を1個1個運ぶわけにはいかないので、運搬する時間まで待たなければなりません。
検体が検査機関に到着しても、順番待ちが発生します。さらに、PCR装置が結果を出しても、検査機関はその結果をクリニックに報告できる形にまとめなければなりません。つまり、クリニックに連絡するまでに、さらに時間がかかることになります。
このような「短い時間」を積み重ねると、トータルすると「長い時間」がかかってしまいます。検査の効率化や安全面を確保するために必要な時間ということになります。
コロナの遺伝子を特定する方法
唾液のなかにコロナの遺伝子があるかどうかを確認するのは、簡単ではありません。
例えば、ある液体が酸性かアルカリ性かをチェックするには、そこにリトマス試験紙を差し込むだけで終わり、それで瞬時に答えが出ます。しかし、コロナの遺伝子探しには、リトマス試験紙のような便利グッズはありません。
DNAまたはRNAの塩基の配列をみる
コロナの遺伝子は、DNAまたはRNAという物質で構成されています(*4)。DNAは、アデニン、チミン、シトシン、グアニンという4つの塩基でできています。RNAも4つの塩基でできていますが、チミンの代わりにウラシルが入っています。
コロナの遺伝子のDNAまたはRNAの4つの塩基は、固有の配列で並んでいます。したがって、検体から抽出した遺伝子の塩基の配列をみて、それがコロナ特有の並び方であれば陽性と判定できます。
なぜ遺伝子の数を増やすのか
先ほど、唾液のなかの「コロナかもしれない」遺伝子を、PCR装置内で増やしてから判定する、と説明しました。
遺伝子を増やす必要がなければ、つまり、1個でも遺伝子が含まれていれば陽性と判定できるのであれば、PCR検査の時間を短縮できるでしょう。しかしそれはできません。
PCR装置は、コロナの遺伝子を検知すると光る仕組みになっていますが、光らせるには一定量の遺伝子が必要になります。受検者から採取した唾液のなかのコロナ遺伝子だけでは、例えそれが本物であっても、PCR装置を光らせることができません。そのため遺伝子を増やさなければならないのです。
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まとめ~時間短縮は確実に進んでいる
コロナ禍が深刻化するなかで、PCR装置のメーカーは判定時間を短くしようと必死に技術開発に取り組んでいます。例えば富士フイルムは2020年7月に、検査時間を1時間に短縮できるPCR検査の販売にこぎつけました(*5)。
陽性であることが早くわかれば、受検者を素早く隔離できたり治療できたりします。それは、感染拡大を抑制したり、重症化を抑えたりする効果を生むはずです。そして陰性であることが早くわかれば、受検者は安心して日常生活を継続できます。
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